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1 プロローグ

フツー男なんかに好きになるか?


そう、到底ありえない。


―――普通なら。




俺、杠 束(ユズリハ ツカネ)



俺だって別に最初から男が好きだったわけじゃない。

実際、ちゃんと女の子に興味はあるし

それなりに付き合った事だってあるさ。


好みの子が通れば振り返えったり、

見るとこは見てる。



「はぁ」


ため息が出る。


こうやって必死に言い連ねてる辺りが、

空しい限りだ。


……今となっては全てが言い訳過ぎない。


幾ら御託を並べた所で

常識など無視できるくらい特別。



それが俺にとっての近衛という男で、

不本意ながら、俺が本気で好きになった相手だった。






ソイツに会えるのは年に一度、とある期間のみ。



なぜならソイツは他校生で、

さらに詳しく言えば

俺達、サッカー部が全国大会まで立ち上がって

行かなければ直に会えない奴だったからだ。


無論、そこまで勝ち上がっていかなければ

その一回すら危ういのだが。




滅多に会えないこの距離感っていうのは

なかなかに曲者で、湧き上がる感情の曖昧さを

更に増幅させることにしかならないから、

お陰でこれが恋だと気付くのに

かなりの時間を要する羽目になってしまった訳だけど……











出会いは中学の一年の全国大会。


俺は小柄ながらも俊敏性を買われ

希望叶ってGKになれた。


本当は三年の先輩が出るはずだった大会だけど

その先輩が練習中に捻挫をし、その交代要員として

急遽俺が出場することになった。


最後の大会だったのに先輩は俺に任せたぞ、と

背中を押してくれた。


俺は、先輩に優勝旗を渡したい一心で

この大会に臨んでいた。


不戦敗等の運もあり

俺達の中学は辛くも、決勝まで勝ち上がった。


決勝戦。


相手は中高一貫のサッカーの名門で

目下、全国大会十二連覇中の常勝校。


こっちは優勝の経験もなければ

大会すら初めての無名校で。


下馬評では圧倒的向こうの優勢。


応援団だってこちらの即席のモノとは違い、

向こうは大規模の凄い応援で、気分だけでも

完全アウェーだった。




しかし始まってみれば、意外と

一点を争う展開となり、

向こうは後半になるにつれ控えの選手を

どんどん正規メンバーと入れ替えてきた。


曲りなりとも、決勝戦だというのに

どれだけ甘く見られていたんだ、と怒りが湧く。


その正規メンバーの相手にソイツがいた。




―――近衛 緑(コノエ リョク)




試合が始まる前、ここのFWの15番には

気を付けろと先輩からアドバイスを

貰っていた奴だった。



聞けば今大会の一番の注目株ルーキーらしく

しかも俺らと同学年ともなれば

こちらも俄然、力が入る。


昨日全試合のスコア確認したら一回戦から全て

ハットトリックしてやがった。


そこまでやれられれば、逆に

15番だけには絶対点数を入れられたくないって

思うさ、当然。


(……やっと出てきたな)




後半四十分、スコアは0-0


俺はGKだから試合の流れがよく見えていた。


個人技が勝るアイツに翻弄されながらも

よくDFがプレスをかけ、食らいついてる。



(アレで同じ年とかバケモノかよ)



それでも再三、ゴールを狙われはしたが

まだ一点も許してない。


……しかし、今のコーナキックからの攻めは

流石に危なかった。


本当、指先がたまたま運良く触れて防げたけど、

次同じようなものが来て同じ事をしろって

言われて、出来るかと言われたら到底不可だ。



マジであの15番、ゴールコースかなり

際どい所というか、

嫌なところばかりついて来やがる。



ボールを蹴って味方に渡した後

その視線に気が付いた。



サッカーネタ書いてたら熱くなってしまいましたが、スポ根にあらず。

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