Episode 6: 決断
「…は?」
拓斗は、カイの方を振り返る。
「だからさ、君より強いことを証明できれば納得でしょ?じゃあ、勝負しようよ。」
カイは再度拓斗へ向けて言った。
「なるほど……」
佐々木が小さくつぶやいたそのとき、藤原が一歩前に出て制止する。
「個人戦をしている時間はありません。次に訓練場の使用予約も入っています。」
その一言で場の空気がやや冷えかけた瞬間、意外な人物が口を開いた。
「じゃあ……グループ戦にしたらどうだ?」
そう言って前に出たのは、リアムだった。
「2対2、あるいは2対1で分ければ、2戦で済む。」
「それに俺たちが強いことを証明できなければ、地球人は納得しないんだろ?」
リアムは続けてルシアに向かって問いかけた。
「ルシア…戦えるか?」
少しだけ戸惑ったような表情を見せながらも、ルシアはカイの背後から顔を覗かせて答える。
「リアムかカイと一緒なら……いい。」
「おっと、なんか俺、かっこいいとこ君に取られてない?」「うるさい」「……そういうとこも好き~」
カイがリアムに抱き着き、リアムが嫌そうな顔をしながら、抱き着いた手をどかそうとしていた。
その時、パンッ!と大きく手をたたく音が聞こえた。
「勝手に君たちで話しを進めない。」
呆れた表情を浮かべながら、ロアが惑星人の3人を一瞥する。
そして佐々木へ向き直り、静かに尋ねた。
「そちらは……どうする? 無理にとは言わないが。」
地球人側に視線が集まる。
これは、もはや "やらざるを得ない” 雰囲気になっている。
しばしの沈黙ののち――
「俺はやる。お前らは無理してしなくていい。」
拓斗は、前に出た。
「……拓斗と同じ組でお願いします。」
大翔もゆっくり前にでる。
朋佳と私は視線を合わせて、一泊置いて頷いた。
「こんなの断れるわけないじゃない…。」
朋佳が前に出る。
その後を追うように、私も一歩踏み出した。
「私も、お願いします。」
「じゃあ、決まりだな!チーム決めをして、地球人・惑星人それぞれ分かれてこの訓練場の左右に待機。地球人は模擬戦の準備を行うように!」
佐々木の声とともに緊張が走り、それぞれが模擬戦の準備へ向かった。