表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/14

Episode3 : 始動

新入隊員4人が揃ってから、5分ほど経った頃だった。

会議室のドアが静かに開き、ひとりの男性が入ってきた。


赤みがかった短い茶髪を後ろに流し、黒縁の眼鏡越しに鋭くも落ち着いた視線を投げかける。

その立ち姿には、どこか軍人らしい潔さが漂っていた。その口元は固く引き締まり、表情があまり変わらなかった。


「この度は、オルビス・コード宮城県仙台支部への配属、おめでとうございます。」


彼は無駄な言葉を一切省き、淡々とした口調で言葉を続けた。


「私は、仙台支部・司令部所属の藤原聡(ふじわらさとし)です。これからよろしくお願いします。」

私たち4人は立ち上がって一礼した。

藤原(ふじわら)は、間を置かずに話を続ける。


「本日のスケジュールについてお伝えします。

配属通知のメールでもお知らせした通り、これから訓練場へ移動して、模擬戦を行っていただきます。」


全員の表情が一気に引き締まる。


「模擬戦では、戦闘訓練用の魔法ロボットを相手に、それぞれ一対一で戦ってもらいます。仙台支部の現役隊員たちも見学に来る予定です。」


一拍置いて、藤原はさらに続けた。


「皆さんの実力が、ここで評価されます。どうか、力を出し切ってください。」


言い終えた藤原が、眼鏡をクイッと上げながら問いかける。

「では、訓練場へ移動しますが、何か質問はありますか?」


すると、拓斗(たくと)がゆっくりと手を挙げた。

「1点、質問いいですか。」

「どうぞ。」と、藤原は静かに頷いた。


「今回の人事担当は、誰ですか?採用について、少し確認したいんですが。」


藤原は小さくため息をつき、ぼそっとつぶやいた。

「やはり、そう来ましたか…。」


そして、眼鏡を押し上げながら答える。

「今回の人事は、支部長本人が担当しました。彼も今日、訓練場に顔を出す予定ですので、詳細は直接お聞きください。」


(支部長が……?)


通常、人事採用についての質問は、人事部が答えるはず..。

支部長本人に確認なんて、前代未聞だ。

少し不満そうな表情を浮かべながらも、拓斗は「はい」と一言だけ返した。


「それでは、訓練場へ移動します。私に続いてください。」


長い白い廊下を渡り、エレベーターへと乗り込んだ。

行き先は──地下10階。

静かに動き出すエレベーター。


そして、到着と同時に目の前に現れた光景に、私は思わず息をのんだ。

そこはまるで、サッカースタジアムのような広大な訓練場だった。

模擬戦闘のために設計された空間で、周囲には休憩スペース、さらに上部には観覧席のようなものまである。


藤原は、新入隊員をの訓練場の中央へと案内した。

「これをつけてください。」

手渡されたのは、耳に装着するアクセサリー型デバイス。

惑星人と地球人との意思疎通のために使われる翻訳機能付きイヤーデバイスだった。


ということは──


「まもなく、あなたたちの惑星人の同期が到着します。彼らが揃い次第、模擬戦を開始します。」


その時、背後から声が響いた──。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ