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時の高原の砦⓵

ベーラム・ジェメダーVSハイルブロンの怪物が開始した。実在しないはずのハイルブロンの怪物の正体とは?深淵とは?深まる謎に対する答えとは。対するベーラムの動機とは、どんな戦いになるのか楽しみにしていてください。

ザワザワザワザワ

「なぁ、おかしくね。」

「ハイブロンの怪人だし、そもそもあんな人物は。」

「「存在しない。」」

「じゃあ、なんであそこに居る。なんであそこで息をしている。」

会場を渦巻いているのは彼女に対する存在していることの懐疑などである。まるでそれはいるはずのない異端者を目の前に出された教祖のようだ。この空気に何かを察したのかミミーは慌てて資料を探していた。

「どこだ?どこだ?資料が多すぎるよ。」

バサバサ

髪を捲り探す音がマイクを通して会場に響きわたる。そしてバザッという音が鳴り資料が発見されたことが音で皆わかった。

「はぁ?!これは・・・ちょっとえっと。」

戸惑いと混乱が数秒で観客にも伝わる。そして次の瞬間再度会場に響き渡ったものは

「みなさんすいません。ちょっと、議論のために召喚します。ニャルラトホテプさんニャルラトホテプさん来てください。」

するとミミーの真後ろが黒い影と触手が凝縮したようなものが出現した。そしてそれは胎児のように人の形を成していった。そして仕上げかのようにスーツを着た。

「呼んだ?呼んだよね(^_^)」

「はい、呼びましたよ。では彼女の存在に関する説明をお願いします。」

「あー、いや。彼女の存在はまぁいわゆる大衆の認知ってやつかな。その認知を実体化させてそのままドーンってやって完成した。終わり以上」

「ドーンってなんですか?ドーンって。うん?すいません、今、えっ?あっはいわかりました・・・・・ゴホン、皆さん大変長らくお待たせいたしました。今からキラーズ・サクラメントを開戦します!!」

社長命令を受けた平社員のような手のひら返しのような開戦をした。

「なんか、色々と迷惑かけたから解説に入ります〜ニャルラトホテプです。」

「頼んでないですけど、まぁいいですよ。さぁベーラム・ジェメダーVSハイルブロンの怪物・・・レディー」

ゴーーン

教会の鐘の音が鳴り響いた。

「ファイト!!」


教会の鐘が鳴り、ベーラムはルマールを取り出した。

「我は女神を信奉すべく、女神に血を捧げるために我を女神献殺に成れ。」

罪恩 聖布の絞殺縄(ルマール・ガロット)

無限に絶えることがないようなルマールを持ったターバンを巻いた盗賊のような姿になっていた。

「さて、カーリー様に捧げようか、未知の女の血と肉を・・・」

女神献殺 聖布の大蛇ルマール・ナーガラージャ

「オットー、ベーラムの腕に纏うルマールが蛇のように動き、建物の窓を突き破り、曲がり角を曲がって、ハイルブロンの怪物へと近づいく!!」

「ベーラム・ジェメダーらタギーたちは旅人を装って他の旅人に接近し、油断させた後に絞殺して金品を奪うという手口を用いる組織でしたからね。そのためベーラム・ジェメダーの戦闘スタイルも奇襲などをベースとしたものなのでしょう。この入り組んだ地形は偶然にも彼に有利な地形になったのでしょう。」

ニャルラトホテプはしっかりと解説をしていた。

「なるほど、対するハイルブロンの怪物はどうでるか?おや、ハイルブロンの怪物はどこへ?」

「彼女なら・・・・・いましたよ。」

ハイルブロンの怪物は教会の中にいた。落ち着いて冷静な雰囲気で立っていた。

「ハイルブロンの怪物は何を考えているのか?どう出るのか!!というかあなたちゃんと解説しますね。」

「そりゃ、僕ね。これでもトリックスターてやつだから平等に見ないと勝ち負けとかは関係ないね。」

「なるほど、わかりました。おや?動きがあったようですよ。」

少しの雑談の間に場の空気は一変していた。


教会の周りをルマールが獲物を囲み喰らいつく蛇のように囲んでいた。

「ルマールが教会を取り囲んでいます!!さすがは“タギー”ですね。狙った獲物は逃さない。」

「すごいね、そりゃ、カーリーさんが推薦するわけだ。」

観客席でも轟々とした歓声が上がるなか一人彼を知る者がジェームス・パットンは語っていた。

「当たり前だ。あのジェメダーは化け物の一角なのだからな。」

東インド会社、それはイギリスがアジア貿易を目的に設立されたイギリスの勅許会社である。アジア貿易の独占権を認められ、イングランド銀行及びインドの商業資本から貸付を受けながら17世紀から19世紀半ばにかけてアジア各地の植民地経営や交易に従事した。そしてその植民地経営という名の支配をしていた。その会社は国家を運営していたのだ。

それを武力を裏で担当していたのが、“騎士団”であった。騎士団は精鋭中の精鋭の軍人が集まった集団であり一人一人が伝説になるような英傑である。そして彼らはタギーを殲滅するべく警察と100名の騎士団を引き入れてアジトへと突入した。しかしその100名と警察50名は全滅した。死因は絞殺による窒息死。血は一滴も流れていなかった。ベーラムはその後、逮捕された。この時のことで騎士団は壊滅している。この時のベーラムなんと75歳の老人であった。これは後に都市伝説として闇に消えている。

「あの時、老人だった奴が若い全盛期いやそれ以上の力を得ている。もう奴は止まらない。あの時はなんとか手錠を繋ぐことができたがどうなんだ。」

教会の中では彼女は佇んでいた。祈ってはいない、何も考えず、静かにその教会にいた。

「・・・・・・」

ヒュッルヒュッルヒュルパパパリン

ルマールがステンドグラスと一つの窓ガラスを割って侵入してきた。そして彼女に向かって噛みついてきた。

バギッッッバギッッッ

彼女は教会の長椅子を引きむしり、ルマールに叩きつけた。砕けた地に沈んだルマールは何事もなかったように動き始めた。そんなことも気にせずモグラ叩きのようにルマールを叩いていた。

「ラッシュ!!ラッシュ!!ラッシュ!!ハイルブロンの怪物がルマールを叩く、叩く、叩く。教会がメチャクチャになっていております!!ベーラムから余裕の表情は消えております。」

「いやーどうですかね。彼女の方も限界はきていると思いますよ。」

「えぇ、どういう意味ですか?」

長椅子とルマールの正面衝突がしばらく続いていた。それは蛇とマングースの戦いのようであった。

「チッ、鈍器で俺のルマールを叩きつけているな。どんな馬鹿力だよ。」

「・・・・・・・」

長椅子の鉄槌がルマールを撃ち落とす最中、限界がやってきた。

ベキッ

「・・・・・・・」ピクッ

「チャンス。」

女神献殺 聖布の纏縛ルマール・ムチャリンダ

二枚のルマールがハイルブロンの怪物を囲んだ。ジワジワと近づいていた。しかし彼女は何もしていない。先と変わらずただ立っていた。

タッン バゴォン ストッ

彼女はこの音が鳴り響き終わったときにはルマールを長椅子の一部の下敷きにして、その椅子に座っていた。


ウォォォォォォォォォ!!

「さぁ、皆様方、何が起こったかはこの歓声を聞いていればわかると思います!!一言でいうと開始から2分でとんでもねことが刹那の間に起こってしまいました。解説のニャルラトホテプさんお願いします。」

「そうですね。まず長椅子(武器)が根本ぐらいから折れたことで拮抗していた状況が動きましたね。ベラームが聖布の纏縛ルマール・ムチャリンダという技をしましたが、これはおそらく木乃伊のようにして絞殺する技なんでしょうね。しかし包む上で上に穴があった。その穴に跳躍で包囲から脱出して、ドロップキックの要領で長椅子をルマールに叩きつけて、ルマールを無力化して。着地する上で座ったといった感じでしょう。」

「聞いても何やっているのか、よくわかりませんね。それよりも恐ろしいのは彼女はまだ一切も罪恩を使用していないことですよ。」

「まぁ、彼女の動機は特殊ですから。」

会場からダダ漏れの実況と解説にベーラムは複雑な気持ちを思った。

「なんか、これやだな。こっちにまで聴こえるの。そんなことは置いておいてルマールに乗られてるから動けないな。ヨシっ」

すると彼は駆け出した。それは少年のように無邪気で天衣無縫なその様はとても100人も殺した殺人鬼のようには思えなかった。

「ハハハ、楽しみだ。あの方にいいのが献上できそうだ。」

笑いと溢れたそのセリフは先ほどとは矛盾しているようで似合っているセリフである。この矛盾に観客が静寂する中、一柱の神は違う表情をしていた。

「行ってこい。我が信者の中で最も人を殺して私に血肉を献上した者よ。」

カーリーは静かに微笑みながら応援をした。

そして、教会のステンドグラスが今度はバリィンと大きな音を立てながら派手に割れた。

「勝負だ。ハイルブロンの怪物!!」

カラフルなガラスに包まれながら、ベーラムはにこやかに突撃をした。

バキャッ

渾身の蹴りは椅子を破壊するだけの結果となった。少し脚に細かいささくれが刺さり痛いが後悔はない。

「すげぇ、あれを避けるかい。何を食べたらそう動けるようになるのかい?」

「茹で卵・・・」

「茹で卵かぁ〜、うまいよな。」

「・・・・ねぇ、わたし、一つあなたに聞きたいことがあるの。」

「うん?なんだい?」

「・・・・・・あなたの動機(信念)はどんなものなの?」

動機(信念)はどんなもの?簡単だよ。カーリー様に見てもらいたい、楽しんでいただきたい、喜んでいただきたい、信仰したい。極端にいうならカーリー様に一番に見てもらいたい人間になりたいという自己顕示欲!!それが我が動機“女神献殺”だ。」

ベーラムはとても生き生きした顔になった。

「・・・・・・自己顕示欲、良い動機だね。うらやましい。」

「はぁ?嬢ちゃんの動機(信念)はなんだ?存在しない殺人鬼の動機(信念)はどんなものなんだよ。」

素朴な疑問を静かに質問した。教会には重い空気が流れていた。

「わたしは存在しない。でもここに今存在する。Why、Pourquoi、Warum、Perché、Por qué、Почему、为什么、なぜ、왜、لماذا、क्यों、למה、ለምን、কেন、Bakit、Kaapi、Mengapa、Kutheni、Kwa nini、Pamali、Чому、Czemu、Proč、Varför、Hvorfor、Waarom、Γιατί、De ce、Per què、Miksi、Zakaj、Por que、Kial、Dėl ko、Pse、Ngano、Anuani、Bwanji、Neden、Чаро、Чаму、Kvôli čomu、Kas ma、Adiyen、Wieso،کیو、Nakofei、Cur、Përse、Pošto、Pourqoui、Doshike、Муборак、Защо、Miks、Pentru ce、Miért、Zergatik、چرا、Ինչու、Kodėl、Dlaczego、Por quê、Vì sao、Minkä täh、これをわたしはわかりたい。真を見たい。われ、渇仰真究を求める。」

下からWhy、Pourquoi、Warum、Perché、Por qué、Почему、为什么、なぜ、왜、などの文字が浮かび上がる。そしてこれが形を成していった。黒いスーツと黒い長めのスカートを着た女性の姿だが、最も異質なのは顔がない、いや顔が黒いのである。

「あれが、ハイルブロンの怪物の罪恩か?」

「そうですね。その名も・・・」

顔のない女マウンテンズ・オブ・マッドネス

観客席でもその姿は異常、異質、異物、という感情が渦巻く。先ほどの歓声は無くなっていた。その中で、数人の者たちはその黒の正体がわかっていた。

「ニーチェさん。あれは深淵ですよね。」

「あぁ、あれは深淵だ。ところで貴方は?」

「あぁ、失礼、私はエドガー・アラン・ポーと申します。ポーとお呼びください。」

「ポー君。深淵とは見る、見えるものではない。飲む、呑まれるものだよ。私はそれに気づけなかった。そして彼女をみて初めて理解できた気がするよ。」

「深淵・・・・・いや彼女は大衆イメージにという名の真意いや悪質なプロフィールに囚われているように見えます。」

「その中でもがいて、足掻いて探しているのだろう。己という物。しかし己を見つけるのはどんなに有能な哲学者でもわからないものだぞ。」

「確かにそれは著名な作家でもわかりません。」

彼らは深淵を静かに見守っていた。


「それが、あんたの本気か。お嬢ちゃん。」

「・・・うん。」

「カーリー様に献上するべく、」

「わたしを見つけるために、」

「「死ね」」

女神献殺 聖布の纏縛ルマール・ムチャリンダ

(前回は遠距離だったからな。近距離で素早く仕留める。)

ルマールで視界が塞がれる。見える限り全てがルマールの色になっている。しかし彼女は冷静に人差し指と親指を立て前に出した。

「パンッ」

渇仰真究 真実の成形炸薬弾ミスカトニック・エクスプロレーション

緋色の弾丸が指先から発射される。その一線の赤はルマールの色を撃ち破り、さらに加速する。赤き一線が鋭くなったと思ったら、ベーラムの眉間を貫き、背後の教会のボロボロのスタンドガラスを完全に破壊してしまった。

「・・・カーリー様・・見てくれ・・まし」

たくさんの血を頭から出しながら、ベーラムは死亡した。体からは絶命を意味する炎が煌々と燃え盛っていた。

『決着!!勝者!!ハイルブロンの怪物!!」


キラーズ・サクラメント 第二試合

ベーラム・ジェメダーVSハイルブロンの怪物

勝者 ハイルブロンの怪物

試合時間 8分23秒

決め技 真実の成形炸薬弾ミスカトニック・エクスプロレーション


「ベーラム・・・・呆気なかったわね。」

「おいおい、それだけか。自慢の信者じゃなかったのか?」

「シヴァ様。なんでわたしの足元に横たわっているのですか。」

「お前が悔しくて地団駄を踏んでここを破壊されたら困るからな。」 

「そんなことはしません。まぁ、悔しいですよ。人間の中では1番のお気に入りでしたから。」

「ふーん」

静かな音が辺りを包んでいた。


「ハイルちゃん。お疲れ様〜どうだった。ベーラムは強かった?弱かった?」

「興味深かったです。自己顕示欲・・女神献殺という名のあれは、とても。」

「強弱じゃなくて興味深いか、君らしいね。僕を信仰しても良いんだよ。混沌献殺なんちゃって」

「・・・・ごめんなさい。」ペコッ

彼女は振り返らずに控え室へ入ってしまった。

「ニャルラトホテプさん、見つけましたよ。解説を受けてくれるなら最後まで付き合ってください。」

「はーい。わかったよ。」

ニャルラトホテプはミミーに連れてかれた。


山田控え室

「いよいよ、じゃな。お主のデビュー戦じゃ頑張ってこい。」

「はい。勝ってきます。」

「うむ、良い心がけじゃ・・」ピピロン

閻魔様の通信機が鳴る。閻魔様は通信機を取り出して画面をみた。

「おぉ、決まったか!!」

神妙深く激励をしていた顔が嬉しそうな顔に変化した。

「決まった?」

「キラーズ・サクラメントの完全な対戦表が決まったのじゃよ。」

今度はなんとも渋みがある笑顔へと変わった。


To Be Continued

なんと決着。次回は第3試合、山田の正体がついにわかります。

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