月夜の農村⓵
2話目です。
ついにキラーズ・サクラメント、第一試合の火蓋が落とされました。
「はいはい!!こちら組み分けルーレットが終了しました!!まずはAブロックからジャンジャン死闘をやってくぞ!!」
「うぉぉぉぉぉ!!」
周りの観客が叫ぶ
「だいぶ人気なんですね?このキラーズ・サクラメント?」
山田は疑問を投げる
「そうじゃの、数が少なくなった娯楽ごとだからの。ジャイアント・キリングとかもみれるし、スリルがあっていいのよ。」
さらっと答えが返ってきた。
「戦うのはキラーズということはどのような人物なのですか?」
「ドブのようなに汚く、自身の欲に忠実な奴らじゃよ。おっと、Aブロックの組み分けが発表されたな。」
Aブロック
第一試合
アルバート・フィッシュVSヤン・シンハイ
第二試合
ハイルブロンの怪物VSベーラム・ジェメダー
第三試合
ジョン・ゲイシーVS山田
第四試合
アルバート・デザルボVSアナトリー・オノプリエンコ
「ほうほう、第一試合から白熱しそうじゃな。これは盛り上がる。」
「アルバート?フィッシュ?ヤン?シンハイ?・・・名前かな?あっ、名前だ。」
「異国の土地の人物じゃよ。しかもおまえさんが死んであとにある意味活躍した人物たちじゃよ。」
「死んだあとにある意味で活躍?未来の人物ですか。それは楽しみですね。」
「あまり期待するなよ。」
「それはどのようなことですか?」
「まぁ、おまえさんがいつも切って切って切ってきた人物と同じような欲に忠実な狂人たちということじゃ。特にこの2人はどちらも同じぐらい狂人なんじゃよ。」
このことを話す閻魔大王の顔は笑っていなかった。
ザワザワザワザワ
キーーーン
「さぁさぁみなさん、第一試合を始めますよ!!準備はいいですか!!」
ミミーは観客に向けてマイクを差し出すすると。
「うおおおおおおおおおおおあぉぉぉ!!!」
観客たちは歓喜の声をマイクに向かってあげた。
「ではでは罪人の紹介ダァ!!まずは東!!
1910年から1934年まで多くの少女少年を自身の欲のため殺した男、満月の時犯行を重ねたためついた異名は-満月の狂人-!!また彼は満月に身を落とし暴れるのか!?アメリカ史上最悪殺人鬼 アルバート・ハミトン・フィッシュ!!」
ギギギギギギギギギ
重々しいドアが開き。スポットライトが照らせる男がそこに映った。青いスーツに黒の皮ベルトを全身に所々巻き、腰に刃物を持つ男。アルバート・ハミトン・フィッシュという人物というその顔は恍惚にそまっていた。
「そして西!!うん?」
ミミーが紹介を止めるなぜなら指された扉が揺れていたのだ。
ドゴンドゴンドゴンドゴン、バギーゴン!!
扉が何者かの手により破られる。
「げっ!?あぁすいません!!改めて、殺人67件!!この記録戦後の中国最多のキル数!!中国にて大暴れをした男!!"モンスターキラー"楊心海”!!」
「グォアァァァァァァアァ」
巨躯の体に重々しい扉破る怪力そして何より手に持つのはどれも重そうなシャベルやハンマー、斧。赤いボロボロの服を着た男ヤン・シンハイの顔にはドロドロとした血のような狂気が映っていた。
「殺人鬼!?あれはそういう意味だったのですね!!」
「うむ、罪人だからな。わかったじゃろ!!」
「はいはい!!そしてみなさんステージに注目です。今回お二人のリクエスト通りに作成してみました!!」
ミミーの実況がそういうと。
周りを見渡すとそこは転々と家がある農村だった。
「あれ作ったんですか?」
「フフフフフッフ神様はなんでもできるのじゃよ。」
「すごいですね。でもなんでわざわざ?」
「罪人に最大の力を使って欲しいからじゃ!!対戦する罪人同士からどんなところがいいか?と聞き、なるべくそれに沿ってステージを作る。そういうルールなのじゃ」
閻魔大王は嬉々として語った。
フューーーー
農村に風が吹きつける中2人の殺人鬼は中心に向かい歩く。
「2人とも準備はできていますね。両者共々正々堂々なんて溝に捨てての動機を見せよ!!」
ゴォーーーーン
ドラが鳴った。これが戦いの始まりの合図だったようだ。
両者とも最初よりはかなり落ち着いたように見える。
「さぁ!!どのように仕掛けるか?......??
うん?まさか!!ノーガードだぁ!!ノーガードで近づいていく!!」
ザザザザザザ
渇いた土に靴が乗るたびなる独特な音。この音はこの会場中に淡々と響き渡る。観客たちもこれを見て全員が固唾を飲んでいた。これに終止符を打ったのはヤン・シンハイだった。
グォォオンッ
体をのけぞらせてハンマーを持ったのだ。そしてそのハンマーを勢いよく振った。
「うぉおおおおぉぉ」
ブッンドガッギ
バギバギバギバキバギバギバギバキ
道がせんべいのように割れる、ヒビはフィッシュの足元で止まった。
「どうだ!!降参するなら今のうちだぞ!!」
しかしそんなことは関係ないといわんばかりにフィッシュは冷静だった。
「戦後の中国でしたっけ?もっとも人を殺した人物というから期待しましたが、道にハンマーでヒビを入れる。」
フィッシュは話しながら、腰の刃物を抜く。
「そんなこと、誰にでもできますよ。」
スーーバシュッ
空を切る彼の刃物は何も切っていないように見えたしかし
ベキベキッベギドォゴゴゴォォン
隣の雑木林の木がほとんど切り倒されていた。
「どうしました?怖いなら降参してよろしいですよ。」
侮蔑の表情で笑ってるフィッシュに比べてシンハイの表情は怒りが入っていた。
「なぁっ!?なんてやつだ。あの刃物よく見たら調理道具の包丁!?地面にヒビを入れる怪力もすごいがあれ桁違いだぞ!!」
「さすが、試し切りなどをやっていたダケはあるのぉ。おまえさんは同じようなことはできるかい?」
「今の身体は小刀ではいけそうだが。調理道具はちょっと無理ですね。」
「・・・あんたもたいそうな化け物だね。でもねあれはまだ重箱の隅よりも小さい力を使っているだけ、ここからが本番だよ。」
「ウオオオオオ」
「みなさん、見たでしょうか、一瞬ほんとに刹那のような時間でのアピール!!しかしこの勝負はまた褄競り合いに入ってしまった!!」
今回この褄競り合いに終止符を打ったのはフィッシュだった。
「どうしましたか。あなたの鼻をへし折ってしまいたか、私....すいませんねぇ。でもあなた バカそうでしたのでねぇ。」
フィッシュはシンハイに冷たく優しく侮蔑を言った。挑発を受けたシンハイは怒った。
プルプル
「ブッゴロス!!罪恩を使ってやるよ!!」
「罪恩とは?」
閻魔大王に質問すると
「見ればわかるわい。」
閻魔大王はゆっくりと返した。
「我が狂気よ、血に流れ、肉を湧き、精神を沸かし、我を血中流欲に染めよ!!」
そう唱えるとシンハイの体の周りから血のような液体と別のドロドロした黒い液体が混ざったものがシンハイの体を包み始めた。
その液体が全てシンハイの体の中に入るのが確認でき、それが終わるとなんと。シンハイの体は変質していた。
罪恩 血中流欲の殺人装 化け物の革。
シンハイの姿は元の服装から程遠いほど変貌した。赤と黒を基調とした。革の鎧のようなものに限界まで引き締まった細い筋肉と赤い涙を流す眼。特に持っていたハンマーはその巨躯に合うような赤黒く重々しい凶器へと変質した。
その姿を見た観客は各々の反応をしていた。
「あれが罪恩の力、、我々神ですら殺しそうだぞ。」
「なんで禍々しい姿だろうか。」
「怖いな。あれはほんとに人間か?」
そんな中、1柱の神が豪快に笑っていた。
「グワッハハハハハ!!豪快にいけよ。シンハイ!!それこそ、俺が中華で見た最恐の殺人鬼だからな。」
「おいあれ誰だっけ?」
「馬鹿!!あの方は中国の神の四凶の一柱饕餮様だぞ。」
饕餮と呼ばれた。その神は豪快に笑っていた。
ググググガチッ
「避けろよ。一発で終わりは一番つまらないからな!!」
大きく横に振りかぶっていた。
「ほう、いいですよ。遠慮なくどうぞ。Mr.ヤン。」
「よしゃ、いくぜ!!血欲滅天撃!!」
ブォン!! バゴドドドォォォォォォォォォォ
この一撃は赤い一撃で道が割れて爆ぜて隆起陥没するほどだった。
「おっと、これは少しまずいですね。」
そういうとフィッシュはバックステップで避けようとする。しかし赤い一撃はとてつもない速度でフィッシュに近づいていた。
バゴォォンバコッ
吹っ飛ばされたフィッシュはそのまま農村の家に激突した、
「おっと!!ここでヤン・シンハイの強烈な一撃がフィッシュに激突!!これは痛く生々しい一撃をもらった。」
解説がそう実況すると観客は盛り上がるところを盛り上げられなかった。それもそのはず人類のそれも罪人が恐ろしい力を手に入れてしまったのだからだ。
フィッシュは空を見ていた。フィッシュがリクエストした満月の夜。
「あぁこれが、私が望んだ、一生に一度しか味わうことがスリル、極上だぁ。月も綺麗だ。」
瓦礫から起き上がったフィッシュは立ち上がった、一呼吸をおいた。
シュルッ
ネクタイを取り、刃物を月に掲げた。
「主よ、感謝します。本当にぃ感謝します。・・・・月は満ちて、我を自身の狂気と本能のまま殺しましょう。我を狂食満月に染めよ。」
「閻魔様、私も彼と同じような力があるのでしょうか?」
「あるぞい、罪恩。それはキラーズの動機からできた恐ろしい力。」
「動機?」
「その通りの意味じゃよ。あいつらの場合は一人は自身の血に流れる欲を得るため。もう一人はスリルともう一つはまぁこれは言わんくていいか。」
「言ってる意味が理解しかねますね。」
「まぁ、何事もまずは見よう。それから感想を聞こう。」
閻魔様はとびきりの笑顔で私に語ってくれた。
ビカッピリッゴゴゴォォォォォォォォ
「なんだぁ!!月が!!月が!!フィッシュの目の前に!!」
月が分解されて、フィッシュにまとわりつきその姿は変質した。
罪恩 狂食満月殺人装 満月の狂人正装〈ルナティック・レガリア〉
夜空を彷彿させる黒いスーツ、ネクタイピンは満月を思わせる金色のもの。目は月のように金色になり、彼の表情は煌々に煌めき興奮したようなものだった。
「これ、いいですよね。自分はかなり興奮してます。」
ズゴォォォ
乾いた風が再度吹く。
「・・・・Mr.ヤンへ。」
フィッシュが一言呟く。
「あぁん。ボソボソと何を言っている・・・」
ズバババババババ ザンッ
次の瞬間だった。ヤンの腕が飛んだ。比喩でもなんでもない、まるで鞠を投げるように高く高く飛んだ。
ドシュ
フィッシュがその腕をキャッチする。そして腕を見ながら恍惚な笑顔をしていた。
「ふふふ、前々から思っていたのですがいい腕をしてますね。私は若い子が好みの味でしたがこれもまたいい肉ですね。あぁ齧り付きたいしかし生だとダメですからね。・・・そうだ。この家に多分・・・」
ガチャガチャ
「オットーー!!フィッシュが家を漁り出した!!ついに盗みを覚えたのかぁ!!この光景にヤンは呆然だぞ。」
「・・・・・」
「失礼な、解説ですね。私は探し物をしているだけ・・・・ありましたぁ!!」
フィッシュが探し出した物、それは中華鍋であった。
「これはチャイニーズ鍋ですか。しかしチャイニーズいや東洋人は小説で散々胡散臭い役で出ましたよね。確か誰でしたっけ、えーと、ノックスでしたか、ミステリー小説の十戒を作った男、怪しい東洋人を登場させてはならない。と言うものができたぐらいです。でもあなたは違うみたいだ。怪しい東洋人というより、私と同じ気の狂った殺人鬼まぁ同業者ですかね。少し話しませんか?Mr.ヤン。」
「・・・・、あぁ?」
ヤンはすごい混乱しているようであった。当たり前である。そもそも、ちょっと前まで死闘を繰り広げた相手が今は民家の中で自身の腕を調理しようとしているのだ。肝の据わった人間でも犬の真似をしたくなるぐらいには混乱する。しかしヤンも殺人鬼だ。こんな程度じゃへたらない。そんなことを考えているとフィッシュに動きがあった。
ポンッ
ワインだ。ワインをポーチから取り出し腕を入れた中華鍋に入れた。
トポトポトポトポ
適当な板で蓋をして、火をつけて煮込んでいる。
「さて、これで30分ぐらい放置です。あっ、そうそう、これを。」
フィッシュはベルトを投げ渡す。
「それで止血してください。死なれたら困るのでね。」
「あっ、ありがとうございます。」
ヤンはどんなことを言えばいいかわからず、ベルトを素直に貰い受けた。
「あなたはなぜ、殺人をしたのですか?」
「あっ、えーと。」
「あっ、最初の時の暴君みたいな感じで話してください。感じが悪いので。」
「・・・・・・・」
「なんだ!!この空気は、死闘ではないぞ。これは珍しくクラスで発言したら周りが静まり返った時の空気に似ている。というか圧迫面接の面接官並みにマイペースだぞ。やめて!!フィッシュ!!ヤンのHPはもうゼロよ!!」
実況がこの空気を割るためにマイクで大きな声で叫ぶ。
「はぁー、あのそこの実況。こいつの動機ぐらい、掴んでいるだろう。話してくれませんか?」
「えーわかりましたでは、ヤンの・・・」
「待って、それは俺が話す。」
ヤンはコンテニューした。
質問があれば答えられる限り答えます。
ここまで読んでいただきありがとうございました。