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弐ノ話:刹那の出会い

「やっと来たか、そこに座りなさい。」

 そこには奥様も居た。

「単刀直入に言うが、彩月。お前には、他の家に嫁いでもらうことにした。」

 それは、突然な報告だった。

「...私が...他のお家に...」

「どうやら、お相手はとても厳格なお人だそうだ。くれぐれも、粗相がないようにしなさい。わかったか。」

 そう言われても、私に選択肢なんてある訳がない。

「かしこまりました。」

 私はそう言い、部屋を去ろうとした時だった。

「言っとくけど、追い出されたからって使用人に帰って来る場所なんてありませんからね。」

「...失礼しました。」

私は、何も言い返すことが出来なかった。



「...私は...不幸だ...」



次の日、私は自分の荷物、と言っても、袋一つ分くらいの荷物量しかない。着物も、化粧道具も、嫁入り道具すらない。静かに、私はここを去るしかないのだ。

「...お世話になりました...」

 私は頭を下げ、この家を後にした。名家の出なら、お付きの者や、その家全員で行くのが普通だ。だが、私にそんな待遇はない。ただ一人、誰の目にも触れず、望みすら薄い地へ行くのだ。


「...確か...このあたりのはず...」

 渡された住所を頼りに、私は町をうろうろしていた。その刹那、

「!」



◇◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「...相変わらず、暇な町だな。」

 俺はいつも通り、ただただ街を散歩している。考えてみればここ数か月、ただそこらを歩き回るだけの日々を繰り返しているだけだった。

「...飯すら食べてないしな...」

 そんなことを考えながら歩いていると、

「...お、団子屋か...たまには甘味もいいだろう。」

 そう思い、俺は団子屋に入ることにした。

「いらっしゃい、ご注文は?」

「団子と茶をくれ。」

「あいよ」


「...はぁ」

 考えてみれば、数か月ぶりの食事が甘味って、傍から見たらやばいやつじゃないか?そんなことを思っていると、他の客の話声が聞こえてきた。


「ねぇ、知ってる?」

「ん?どうかなさったんですか?」

「最近、ここらで“人さらい”が出るんだってさ。」

「あぁ、若い子を狙っては、持ち物や身ぐるみをはがし、好き勝手する、あの人さらいでしょう。」

「そうそう、ほんと不気味よねぇ」


「...人さらい...か...」

 そんな噂があれば、警備隊が動くはずだが、そんな動きは見られていない。なら、また別の理由があるはずだ。

「お待たせしました。お団子と、お茶になります。」

「あぁ、ありがとう。」

 考え事をしているうちに、頼んだものが運ばれてきた。ひとまず考え事は後にし、俺は団子食うことにした。

「...うまいな...」

 数か月の飯と言うこともあるだろうが、自然と体が甘味を欲しがっていたようだ。

「...もう少しまともな食事をするか...」

 今はそう考えているが、どうせ実行しないのがいつも通りだ。そうして食べ終わり、銭を置いて行こうとした時だった。


「...」


「...今...何かが通って行ったな。」

 それは、ほんの一瞬のことだった。今わずかに、俺の目の前を誰かが通って行った気がした。だが、視界には映らない。ただの気のせいかと思ったが、

「...わずかな声...」

 だが、確証がなかった。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



それは、立った一瞬の出来事だった。気づくと、私は手足と口を縛られ、一人の男に押し倒されていた。

「!!!」

「は、結構かわいい顔してんじゃん。」

「!?!?!?!?」

「状況がわかってないみたいだなぁ。教えてやるよ。俺はなぁ、能力者なんだよ。」

「!?」

 聞いたことがある。世の中には生まれつき、不思議な術を持ち、実力はもちろん、富や財を統べる者がいると。

「まぁ、聞いたところで、お前にはどうすることも出来ねぇけどなぁ」

 男がそう言うと、私の服の中に男の手が入りかけた、

「!!!!!」



その刹那



「お前か、最近ここらで噂されてる人さらいは。」

一人の男の人が、私たちの後ろに立っていた。

「誰だ貴様!」

「まったく、名家の次期当主が聞いてあきれる。若い娘をさらい、己の欲を満たしているなんてな。」

「貴様...誰に口をきいているのか、わかっているのか!?」

「うるさい...」

 そういうと、男は携えていた刀を抜き、

「ひ、ま、待ってくれ!あんたを怒らせる気はなかったんだ!」

「...そうか」

 男は構えの姿勢を取り、



「ぐは...」



「...え?」

 気づくと、私を襲ってきた男は倒れていた。

「単に気絶してるだけだ。何も心配は要らない」

「あ、ありがとうございます。」

私は、頭を下げた。

「ここには、どういった用件で」

男の人は、何処か不思議そうに聞いてきた。確かに、このような町はずれの場所に、若い娘は珍しかったのだろう。そう思い、私は、

「...嫁ぎに行くんです。」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



驚いた。俺の目に映ってるのは、手入れが施されていない髪、薄汚れた着物、化粧もしておらず、それよりも、若すぎる。だが、それは俺の考えに過ぎない。

「ひとまず、疲れただろう。ついてきなさい。」

今回はご愛読ありがとうございました!

投稿は遅いかもしれませんが

     よろしくお願いします('ω')ノ

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