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死神だった俺、暗黒魔法の転生者として平和な時代で再び戦いに巻き込まれる  作者: バッチョ
大会始動

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ベレスの暴君

「マジで刺しやがった⁉」

「ヤバ過ぎだろ!」


 周囲の生徒たちは騒然(そうぜん)としながら巻き込まれないよう距離を取る。


「……ありゃ?」


 アルムに突き刺したナイフをぐりぐりと押し当てるベレス、しかし人の身体を刺している割に手応えが感じられなかった。


 直後、シャンデリアの影が揺らぎを見せるとアルムが姿を現す。

 アルムはそのまま影から出る勢いを利用してベレスの頭上に蹴りを入れようと試みた。


「……!」


 しかし自身の頭上にうごめく影を察知し、間一髪で回避されてしまう。


「チィ!」


「……俺の追撃を逃れたうえで意識の外からの反撃、詰めは甘かったが良い動きだ」


 ベレスは嬉しそうな笑みを浮かべた。


「晩飯の腹ごなしには丁度いい、続きをやろう」


「いいや、無しだ!」


 拳を突き出すベレスの腕をライザが掴み、セロブロは火球を展開して彼に狙いを定めた。 


「……これ何の真似?」


「後輩が危険に晒されているなら手を貸すのは当然だろう」


「そんな奴でも同級生なんだ、これ以上の暴行を容認するのは僕の良心が痛むんだよ」


「ッ……!」


(何を突っ立っているんだ俺は……! 年下のセロブロにまで遅れを取って……) 


 テイバンは震える足を必死に抑えつけ、無力感に打ちのめされた。


「……とりあえず良かったぁ」


 一部始終を見ていたラビスは事態が収拾したのを見て胸を撫で下ろす。 

 彼女だけでなく、ライザたちが介入してくれたことで騒ぎが収まったと他の選手も()()()()()()()


「お前、名前は?」


「……セロブロ=ジクセス」


 ベレスは反抗するわけでも諦めるわけでも無く、目の前の生徒に名前を尋ねる。


「セロブロ君さぁ、その魔法は撃たないの? それとも人に撃てないだけ?」


「……撃つ必要のない状況だから撃たないだけだ、必要だったら容赦(ようしゃ)なく撃つがな」


「うん、きみは人を撃てる人間だね。強者(おれら)以外には」


「……何が言いたい?」


「きみは自分よりも弱い相手にしか魔法は撃てないってこと。ライザやテイバン、さっきの彼とかにはね」


 ベレスの言葉に彼の瞳が揺らぐ。


「――――それは貴様も同じだろう……」


「同じ? いいや違うね。俺なら自分より強い相手でも喧嘩を売るし、誰であろうと態度も一貫して変わらない。仕返しが怖くて弱火を突き立てる事しか出来ないセロブロ君と一緒にしないで欲しいね」


「何だと‼」


「挑発に乗るのは止せ。ベレスもいい加減しろ!」


 激昂した様子のセロブロを見てライザが止めに入る。


「図星を突かれて怒ったのか? それとも嘘を吹聴(ふいちょう)されたのが不快だったか? だったらここで証明して見せろぉ!」 


「ッ――――!」


「止せセロブロ!」


「――――【火球(ファイヤーボール)】!」


 アルムの呼び掛けを無視してセロブロは構築式を展開し、炎の球を繰り出した。


「な⁉」


 しかしベレスに向けて放たれたにもかかわらず火球の向きが反転し、術者のセロブロに向けられる。


「はいお疲れ」


 回避できなかったセロブロは火球に触れ、爆発音とともに大きく後ろに吹き飛ばされた。


「馬鹿野郎……!」


 アルムは吹き飛ばされた彼を受け止めようと着地地点に先行する。


「ベレス、貴様ァ!」


 終始冷静であったライザも後輩が怪我をさせられ、怒りを露わにした。


「お前とは最終日に遊んでやるから後回しだ」


「【高圧熱水(ヘブル・ポンプ)】」


 復帰したエルヴィスはライザの後方から沸騰したお湯が噴出(ふんしゅつ)される。


「【岩盾(ロックシールド)】!」


 右腕に分厚い岩の盾を生成し、凄まじい勢いの水圧に耐え(しの)ぐ。


「ライザの足止めは頼んだぞ」


「任させた!」


 邪魔者は先輩に任せてベレスは戦いを再開しようとアルムの元へ足を運ぶ。


「おいっセロブロ! しっかりしろ!」


 制服に引火した火の粉を払い呼び掛けるアルムだが、至近距離で自身の魔法食らった彼は気絶していた。


(火力は抑えてて重症ではないが、さっさと治療しねぇと魔撃墜ホープ・シューティングに出場も危ういぞ……!)


「とりあえず先生たちを――――」


「アルム=ライタード! そんなカスは放っておいてさっさと続きをしよう」


「何でおれの名前を、じゃなくて! 今はそんな暇は無いんですよ。あとにして下さい」


「そうか、なら――――」


 手首を軽く動かすとアルムの腕の中に居たセロブロが消え、ベレスが彼の首を掴んでいた。


「はっ⁉」


「へし折って俺に集中して貰おうか――――なんだ……?」


 ベレスは握力を強めてセロブロの身体がミシミシと音を立てる――――が、背中に突風を浴びせられ、姿勢を崩してしまう。


「そいつを放せ」


 その隙を見逃さずにアルム短剣を作り出し、セロブロの反対側から斬り掛かる。

  

「何も《《纏わないで》》俺に斬り掛かるとか自殺行為だぜぇ」


「ッ⁉」


 再び手首を動かすと彼に突き立てたはずの短剣がアルムの首元に向けられた。

 

「――――ばぁか!」


 アルムは短剣の結晶魔法を解いて自身の安全を確保するとベレスの腹部に飛び蹴りを食らわす。


「かはっ――――⁉」


 衝撃が体を突き抜け、ベレスは掴んでいたセロブロを放して距離を取った。


「アルムっ!」


「ラビス、さっきの魔法はマジで助かった! あと悪いけどセロブロを頼むわ」


「うん! 先生たちも呼んでくるから!」


 ラビスは彼らに近付き、怪我を負ったセロブロを回収してその場を離れる。


「痛い目を見るのはもう良いだろ、さっさと退け」


「……ふぅ、ここまでされて我慢できる訳ないだろ。アルムが悪いんだからな、最後まで付き合えよ」


 腹部を押さえながら嬉しそうな表情を見せるベレスに軽蔑(けいべつ)の眼差しを向ける。


「……知らねぇつーの!」


 アルムは体表に魔力を(まと)わせ、仕方なくベレスとの戦いに応じた。 

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