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死神だった俺、暗黒魔法の転生者として平和な時代で再び戦いに巻き込まれる  作者: バッチョ
大会始動

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選手たちの懇親会

 昼前に転移したアルムたちは各々の競技種目の調整に時間を()てたが、あっという間に時間が流れて18時を迎えた。


今宵(こよい)は同性代たちと親睦(しんぼく)を深め、明日に控える魔導大会に向けて英気を養ってくれ。では――――乾杯!」


「「「乾杯っ‼」」」


 ベルモンド王国国王の挨拶とともに王城に集められた選手候補生たちは一斉にグラスを挙げた。


「乾杯、アルム!」


「ああ、乾杯」


 アルムとラビスはお互いのグラスを当てて甲高い音を鳴らす。


「こんな豪華な料理、見たことないよ! さっきの国王様は毎日こんな感じなのかな」


 そう言って彼女は丸テーブルに配膳(はいぜん)された料理に視線が釘付けになった。


「美味しそうなのは分かるが、食べるのはもう少し待てよ」


「ん、それぐらい分かってるよ。私の事、小さい子供か何かだと思ってるの!」


 そんな彼女にアルムは軽口をたたくと顔を膨らませた。

 王城の広場に集められた選手候補生は300人近くにのぼるにもかかわらず、並べられた料理に手を出す生徒は居なかった。

 何故ならこのような会食の場で率先して食事を取ろうとすることは常識が無いと判断される。それは即ち学園そのものの品位が無いと見られるも同義であるため、最初の数十分は他校生との交流が主なのだ。


「ちょ、ちょっとライオス! いい加減にして!」


「邪魔すんなよ、タリオナ! 俺は夕飯の為に昼飯食ってないの知ってんだろ!」


 しかしそんな常識など知った事ではないと皿を持った男子生徒と、彼を引き留めようと制服を引っ張る女子生徒のふたりが居た。


「恥ずかしいから大きな声で言わないで!」


「あぁクソ! あっ、こんにちわ! 『先生』!」


 振り解けないと思ったライオスは突然後ろを振り返って挨拶する。


「こんばんわでしょ、馬鹿! ですよね、『先生』――――って、あれ?」

 

 不適切な挨拶を注意し、タリオナも振り返って挨拶するがそこには誰も居らず、後ろを向いた拍子に制服を放してしまった。


「にくにく肉ウウウウゥ‼」


 結局、持っていた皿を投げ飛ばして骨付きの大きな肉にかぶりつく。


「――――はぁ! やっぱ飯抜きは飯の美味さをさらに引き出してくれるぜ!」


「騙したわね、ライオス!」


 タリオナは鬼の形相で追いかけ、彼は料理を次々に手を出しながら逃げ続けた。


「「…………」」


 そして彼らの自由過ぎる言動にアルムとラビスは絶句していた。


「また性懲(しょうこ)りもなくやっていますね」


「ったく、少し大きくなったと思ったが中身は変わらないな」


 そんな彼らの後ろでテイバンとライザが懐かしむように呟く。


「お知り合いですか?」


「あのふたりは去年の魔導大会に出場し、好成績を収めた優秀な選手なんだ」


 アルムの質問にテイバンは答えると彼らは再びライオスたちに目を向けるが、懐疑的な視線を送る事しか出来なかった


「「とてもそういう風には見えないですね……」」


「はははっ! 確かにデカい子供が暴れているようにしか見えないかもな! でも、全種目出場するならあの二人は避けては通れない相手だぞ」


「一応、彼らの事を教えてください……」


 魔導大会で優秀な成績を収める彼らにここまで言わせるふたりがどんな人物なのか気になってアルムは尋ねた。 


「グレニア魔法学園二年生、ライオス=シュレイン。去年の魔導大会一対一(ワオン・デュエル)に出場し、上位八位(ベストエイト)の成績を収めている」


「もう一人もグレニア魔法学園二年生、タリオナ=クルバルト。魔撃墜ホープ・シューティングに出場し、4回戦目まで勝ち抜いたあと4人編成のチームを作って勝利を収めた優勝候補の一角だ」


 ライザとテイバンは昨年の記憶を頼りに後輩の質問に答える。


「えぇーと、つまりポイントは……」


「ライオスは個人総合で40ポイント、タリオナは60ポイントになる。一年生でこれは凄いな……!」


 ラビスは獲得ポイントに頭を悩ませ、アルムは驚嘆(きょうたん)の声を漏らした。

 事実、魔導大会に出場すること自体が非常に困難であり、選手候補生に選ばれるだけでも栄誉(えいよ)のある事なのだ。そこから更に優秀な成績を収めることが出来れば自国の魔法教育と軍事力の高さ、そして自身が特別な存在だと近隣諸国にアピールできるのだ。


「お前が言うのか、って感じだけど……それだけお前が成し遂げたい事は険しい道のりだって事だ」


 テイバンはアルムの覚悟を試そうとそんな言葉を投げかける。


「アルム……」


 ラビスは心配した表情で彼に視線を向けた。

 彼女も初めての大会で様々な競技種目を経験したからこそ彼の目標がいかに難しく、熾烈(しれつ)を極めることか十分に理解していた。

 それでもアルムなら……そんな希望的観測も同時に抱いていたが、他国の選手たちを見てそんな希望は(つい)え、同時に不可能な目標だと確信してしまっていた。


「……そんなこと、貴方と戦った時から分かっていました。だから誰が何位だとか、何点取ったとかどうでも良いんですよ。もう後には引けない……俺は一位をとります!」


 アルムは彼らに答えるように、そして自分自身に言い聞かせるように覚悟を口にする。


(もう後には引けない。この大会で結果を出してカルティアの真意を知り、証拠を見つけてレイゼンの正体を白日の元に晒してやる)


「……ライオスのせいで我慢するのも馬鹿らしい、俺はひと足先に食べるとするわ」


「ですね……」


「私は別に良いけど、アルムはお腹減ってるでしょ……?」


 食い意地が張ってると思われたくない彼女はアルムを建前に提案する。


「ああ、食べようか」


 彼らも食事を取ろうとテーブルに向かった。


「アァルム、アルム、エンドリアスのアルム=ライタードは何処だ?」


 そして一人の青年が懇親会の場に姿を現した。

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