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死神だった俺、暗黒魔法の転生者として平和な時代で再び戦いに巻き込まれる  作者: バッチョ
魔導大会五日目

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数多の幕引き

 表彰式、晩餐会、そしてラビスと婚約を誓い合い翌朝を迎える。


「帰り支度が済み次第、受付前に集合しろっ!」


 バルデンたち教師陣は選手が宿泊した部屋を確認しながら指示を飛ばした。


「観光地図を置きっぱなしヤツ誰だ⁉」「す、すみません!」

「はァ――――朝7時は早過ぎるって」「いくら混むからって早いよな」

「あったま(いって)ェ……」「少し浮かれ過ぎたか」


 所持品を忘れている者、眠い目を擦る者、二日酔いの者と様々だ。

 ちなみに俺は既に荷物をまとめ受付前で待機中だ。


「アルム、昨日の夜中に起きなかったか? 変な声が聞こえたぞ」


 同じく荷物をまとめたセロブロは鋭い目つきで尋ねて来る。


「気付いた? 寝返ったら壁に右腕が激突した」


「だから緩衝材を置けと言っただろう、お陰で叩き起こされて寝不足だ」


「悪かったよ、代わりに荷物は俺が持ってやるから許してくれ」 


「いや両腕が使えないだろ……待て、貴様どうやって身支度を整えた?」


「それはあれだよ、魔法とか……とにかく色々だよ」


 彼の疑問にそれらしい答えを言えず目線を泳がせる。 


 じつを言うと荷物整理に適したの魔法は持っていなかったため、脚や口を器用に使い何とかまとめることが出来た。

 まあ想定以上に作業が進まず宿舎で食べられる最後の朝食は逃す羽目になったが。


「自業自得、と言ってしまうのは簡単だがあまりに惨めだ。今回だけは特別に僕が貴様の荷物も持ってやる」


「セロブロ……この借りはジクセス家の専属騎士の就任を以て返したと思います」


「なぜ僕が雇わなければならないんだ、貴様が我が屋敷に居座られてはオチオチ眠れもしない……」


 珍しく軽口に乗りながら溜息を漏らすセロブロ。


「それこそ『緩衝材を敷け』とご命令を頂ければ、じゃなくて」


 何故こいつの想定じゃ俺の両腕は完治していないんだよ。


「そうですね、ジクセス家の専属騎士になられては困ります」


「カルティア様っ!」「カルティア先輩」


 話を盗み聞きしていたのか軽口を叩いてはならない人物が参入する。


「お二人とも朝から重大な話し合いができるなんて凄いですね。セロブロ君は結構なお酒を飲んでいたというのに」


「僕は翌日に影響しない範囲で嗜みましたので……」


 同級生から王家の人間と惑うことなく、切り替える彼に僅かに尊敬の念を懐く。


「アルム君は飲まなかったんですか? 私も少量しか飲みませんでしたがとても美味しかったですよ」


「俺はまだ成人じゃないので飲めないんですよ」


 それに仮に飲める年齢だとしてもラビスに頼むのは気が引ける。


「ということは14歳、誕生日はいつですか?」


「ええェと、今日からちょうど三週間後ですね」


「では生徒会の加入も合わせ、みんなで祝わせてください」


「えっ?」「はっ⁉ アルム、貴様生徒会に入るのか?」


「ああァ……まあ、そうそう」


 さらっと生徒会新メンバーの公表にセロブロは食い気味に問い詰める。

 誰も加入するとは言っていないが、生徒会に所属したほうが彼女たちとの接触も容易いか。


「という事でテイバン先輩と話したかったら俺を通してくれよな」


「もう生徒会面か、あとあんな奴に用など無い」


「相変わらず不仲だな、そう言えばテイバン先輩は大丈夫ですか?」


 晩餐会は体調不良で欠席、表彰式も浮かない顔をしていたから気になっていた。


「……ええ、単なる疲れでしっかり療養をさせたので心配には及びません」


 いつもの口調で話すカルティアだが全快という感じでは無さそうだ。

 準決勝戦でベレスと試合、そして昨年の順位を下回り彼の心労は計り知れない。


「遅れて申し訳ありません」


「テイバン、お前らしくもない……いや次からは気を付けろよ」


 出立の時間が迫り選手のほとんどが集まる中、テイバンが姿を見せる。

 体調は悪くなさそうだが確かに生徒たちの見本となって行動する彼らしくない。


「では私はここで失礼します」


 カルティアは察したように足早に立ち去った。


「貴様が悩んだところで時間の無駄だ。暫くは様子を見るしかないだろう」

 

 冷たく突き放すセロブロもどこか思うところがあるように見える。

 それに対等に接していたライザとカルティアも晩餐会で距離を置いているようにを感じられた。


「俺が寝てる間に何があったんだよ……」


 どうやらみんなで頑張った楽しい大会で幕引き、という雰囲気ではないな。


「ラビス=ベルティーネ! 集合時刻を2分も過ぎているじゃないかァ!」


「ご、ごめんなさいっ!」


 そして婚約者である彼女も最後の最後に説教で幕引き、という結末を迎えた。

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