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死神だった俺、暗黒魔法の転生者として平和な時代で再び戦いに巻き込まれる  作者: バッチョ
魔導大会四日目

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見直すきっかけ

 俺たちは観客席から会場内の廊下まで移動した。


人気(ひとけ)もありませんしそろそろ話してくれませんか?」


 やましい事は何もないが居心地が良いとは言えない。

 話の内容に見当が付くとは言え、できるなら早く開放されたい。


「はぁ、誰のせいでこんな事をしていると思ってるんだよ」


「誰のせい?」


 吐き捨てるように発言すると先行していたライオスの足が止まる。


「まあいいだろう。今日の夜にせんせ……レイゼン先生の部屋に来い、例の話について有益な情報を得たからな。役立たずのお前にも教えてやるから感謝しろよ」


「例の話?」


「その様子だと忘れているのかよ……⁉」


 ライオスは俺の記憶力低さに呆れ、大きくため息を吐いた。

 

 例の話、れいのはなし、レイノハナシ――――ああっ!


「死神教かっ⁉ 申し訳ありません、すっかり忘れていました」


「ったく、こんなアホに信者から黒玉を盗るように頼むなんて先生も何を考えてんだか……」


 あーあ、と言いながら再び大きなため息を吐くライオス。

 ムカつく野郎だが今回ばかりは俺の身勝手な行動で招いた結果だから反論の余地は無い。 

 しかしベレスの事で一杯になっていたからとは言え、普通忘れるものか……?


「ちなみに情報の出処はどこなんですか?」


「お前とチームを組んだあの女から、確かエミリーだったかな」


「……それって彼女の口から割らせたんですか?」


 俺は沸き立つ怒りを抑えつけ、自然な流れで尋ねる。

 彼女との交流は少ないがカルティアから活躍を聞いて、死神教を抜きにしても好感の持てる選手だ。


 もし手荒な手段を用いていたのなら、俺はレイゼンたちを許さない……!


「いや仲間の魔法であの女の記憶を覗かせてもらった。まあ彼女から得られた情報自体は少なかったけど、お陰で信者を探し出せたぜ」


 ライオスは薄っすら笑みを浮かべ、朱色の瞳を細めた。

 しかし他者の記憶に干渉する魔法師まで手元に置いているとは……。


「なにか死神教に恨みでもあるんですか?」


「ああ? いーや、俺個人としての恨みは無い。ただ先生が躍起になっているから俺たちはそれを手伝いたいだけだ。逆にお前はなんで俺たちに手を貸す?」


「……世界中に死と不幸を振り撒いた死神を崇めているような教団は存在しちゃいけない。俺はそんな連中を叩き潰すためにお前たちに手を貸しているだけだ」


「へぇ、ずいぶんご立派な大義を抱えているんだな」


「大儀だなんてとんでもない……」


 これは死してなお五百年後まで残してしまった死神(ギール)の不始末なのだから。


「まあ実力はあるから許容できるけど、これ以上俺たちに迷惑を掛けるんじゃねェぞ」


 伝え終わったのかライオスは反対方向に歩き出す。


「そしてこれは覚えておいて欲しいんだが俺はお前が嫌いだ。訳も分からず先生に気に入られているのもそうだし、何より得体が知れない」


「……そうですか」


 すれ違いざまに嫌悪感を示された俺は適当に返事をした。


 先程の理由が気に入らなかったのか知らないが、これで俺はグレニア学園の有望選手ふたりに嫌われている事が確定した。


 しかしそんな事はどうでも良い。利害関係の上で行動してくれるのならどう思われようと勝手だ。


「レイゼン一派の戦力は想像を遥かに超えていた。死神教を解体するまでは友好的に接したほうが良いな」


 だが俺の平穏を邪魔するのなら、周囲の人間に手を出そうというのなら……。


『……くふっ、そんな屈辱(くつじょく)を噛み締めなくても協力くらいします』


『なんで向き合ってあげないの! なんでも理解しようとしないの! なんで、その優しさを……先生にも向けようとしないのよ……』


「その時は敵として排除する……!」


 脳裏にチラついた言葉を押し退け、覚悟の言葉を口にした。

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