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死神だった俺、暗黒魔法の転生者として平和な時代で再び戦いに巻き込まれる  作者: バッチョ
魔導大会三日目

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思わぬ会敵

 その後、一緒に回りたいというマインの要望を快く受け入れ祭りを楽しんでいた。


「わぁあ! 凄く大きいね、オジサン!」


 2メートル近い大柄なライザの肩に乗せられたマインは屋台を見渡しながら正直な感想を口にした。


「ちょっっっとマイン! 失礼だろ……」


「気にする事はないアルム、子供の言うことだ」


 兄として肝を冷やすアルムだが慈愛の笑みを浮かべながら答える。


「本当にすみません。でも何かあったらすぐに声を掛けて下さい。マインも迷惑を掛けるんじゃないぞ!」


「はぁい」


(ライザは度量が大きい人だから余程の事がなければ問題ないだろう。ラビスも他の連中と話しているようだし、俺は俺のやるべき事に集中するか)


 アルムは不安を募らせながらもカルティアたちが待つ先頭へ移動した。


「お待たせしました」


「遅いぞアルム、ここからの話はお前にとって大事な話になるんだからな」


「す、すみません……」

 

 余裕が無いのかテイバンの表情には僅かに焦りを感じさせた。


「少し落ち着きなさい、 妹さんを気に掛けるのは仕方のない事でしょう」


「……冷静さを欠いていました」


 呼び出したカルティアがすぐに諭すと彼は自分を責めるよう下を向く。


「気を悪くしたようなら謝ります。テイバンは明日の試合で少々気が張ってしまして」


「俺なら大丈夫です、それでお話というのは一対一(ワオン・デュエル)ですよね?」


「……お話が早くて助かります。現在の個人総合ポイントの暫定順位では同率一位でタリオナさん、そしてセロブロ君のお二人で100ポイント。次いで三位のアルム君が84ポイント。四位がトールズ君で72ポイント……そこから下の順位は省かせていただきますね」


 毎年の恒例では三日目まで百キロ走の優勝者が個人総合ポイント一位なのだが、今年度の魔撃墜優勝チームは二人組と非常に少なく、ポイントの掛け率が跳ね上がってしまったのだった。


「これまでの大会記録から複数の競技に出場した選手はいないため、アルム君が明日以降の競技に出場しない場合、一対一(ワオン・デュエル)の優勝者と準優勝者の選手に順位ポイントで抜かされる事になります」


「現状の説明には感謝しますが、そんな遠回しに言わなくて結構です。カルティア先輩が訊きたいのは明日の競技に出場するか否か、それだけではないのですか」


「……お察しの通り、貴方が全種目出場を目標に掲げ、その発言に見合うだけの実力と実績を積み上げてきました。その甲斐(かい)あってもしアルム君が明日の出場を前向きに検討するというなら出場を確約したいと……」


「先生方から言われたんですね」

 

 彼女の言葉に続くようアルムは付け足すとカルティアは僅かに首を縦に揺らした。


(先んじて選手指名が行われることは百キロ走(ハンドレッド・ラン)で知っていたが……この違和感は何だ……?)


 彼が導き出した結論と大きく乖離(かいり)した現実に頭を悩ませる。


「――――ルム君、アルム君?」


「……⁉ すみません、少し考え事をしてました」


「本人に自覚が無くともかなり疲労が溜まっているのでしょう。早めに休息を取った方が良いと思いますよ」


「そうします。あと先ほどの話ですが出場する気は――――失礼しますっ!」


 アルムは彼女たちから立ち去り、人混みのあいだをかき分けながら両親たちの下へ走って行く。


「アルム……?」


 学友の隙間から走って行く彼の背中を深緑色の瞳は捉えた。


「――――買い物は無事に終わったの……?」


「ああ、美味しそうな食べ物沢山買ったからみんなで食べよう!」


 空腹で走って来たのかと勘違いするロイド、しかしアルムが疾走した理由は他にあった。


「それと屋台を回っていたら貴方のお友達を見つけたのよ。名前は確か……」


「ベレスです。アルムのお母さん」


「……とりあえず、そこで立っていろベレス」


 レイナたちの背後からひょっこりと姿を見せる彼にアルムは睨みつけながら威嚇(いかく)する。


「友人に対してその言い方は無いだろっ!」


「まあまあお父さん、数時間前まで戦っていたんですから彼も緊張が解けていないんですよ」


そう言ってベレスは二人の背中を押し、息子に明け渡す。

アルムは両親の体に魔法や仕掛けがないか隅々まで観察した。


「そんな警戒するなんて悲しいじゃないか、俺たちの仲だろ?」


(うるせ)ェ、俺の両親を人質に取りやがって……!」


「それはアルムの被害妄想だ、現に俺は何もしていない」


 両手を上げて身の潔白を証明するベレス、しかし彼は警戒を解く素振りを見せない。


「それで俺の親に接触して何がしたかったんだ⁉」


「お前の強さの秘密が何なのか知りたかっただけだ。だけど両親は魔力も乏しい普通の人間で、入学前まで目立った出来事は無いっぽくてよく分からなかったけどな」


 アルムは転生者であることや実力を隠し続けており、年齢の割に賢かったくらいでそれ以上に彼が知りたい情報は得られなかった。


「だけど過去がどうだったとか正直どうでも良いんだよ。今のお前が最高に面白くてイカれた奴なら――――それ以外は本当にどうでも良いんだよなぁ」


 邪気を孕んだ笑みを浮かべるベレスに友好的だった両親も思わず引いてしまう。


「明日の戦いは殺す気で来いよ。そうじゃねェと……」


(こいつ、まさか街中でやるつもりか⁉)


 ベレスは魔法を発動させよう右手を握り締め、アルムは両親より前に立ち守ろうとした。


「――――あっ……⁉」


 しかし両親の少し後ろに控えていたラビスが標的にさせてしまった。

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