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死神だった俺、暗黒魔法の転生者として平和な時代で再び戦いに巻き込まれる  作者: バッチョ
魔導大会三日目

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抗い続ける者たち

「タリオナっ⁉」


 彼女の異変に勘付いていたセロブロは地面に触れる前に彼女を受け止める。


「当たって!」


 飛ばした岩弾と水晶球を交互に見つめるエミリー。

 しかし意識を失い彼女の魔法が解除されると水晶球は自由落下を始め、囲っていた四角形の水晶を砕く程度に留まってしまう。


「えェ、そんな気付かれた⁉」


 向こうの状況を知らない彼女はタリオナたちが自身の存在を認知したと思い込む。


(万が一外した時は……逃げるんだっけ⁉)


 狙撃が失敗した場合の動きはカルティアと別れる前に打ち合わせをしており、彼女は水晶球を抱え足早にその場から逃げ出した。


「よしこのまま――――エルヴィス、後ろ!」


「――――えっ?」


 タリオナの攻撃が止まった隙に仕留めようとするベレスだが彼に差し迫る電撃に声を荒げる。

 しかしエルヴィスとの距離は無いに等しく、回避も防御も間に合いそうになかった。


(これなら、当たる!)


 彼ごと水晶球を破壊できると確信するカルティア。


「ッ――――!」


 急すぎる展開に体を硬直させるエルヴィス、しかし『壊されてはならない』と本能が働き、水晶球を掴んでいた左手が僅かに緩む。

 

「【引手(スナッチ)】!」

「ギャアああああああああァァ――――‼」


 落とされた水晶球を電撃に巻き込まれるギリギリのところで回収し、エルヴィスだけが感電させられた。


「余計なことを……!」


「お前の死は無駄にしない!」


 カルティアは珍しく怒りを露わにし、ベレスは素直に彼の活躍を褒める。


(この場は一旦下がって――――)

「いいや無駄死にだ」


 ベレスは撤退を試みるも魔力を纏った長剣を片手にアルムが急接近した。


「アルム、最高に最悪なタイミングだぜ」


 ベレスは素早く左手に水晶球を持ち替えて手中抹消を発動させる。


「【雷撃(ライトニング)】!」


 しかしカルティアは反対方向から二射目の電撃を放ち、ベレスを完全に挟み込んだ。


(あぁ待って、これ詰みだ……でも――――)


「爪痕は残してやらァ!」


 ベレスは体勢を反転させ、迎撃に伸ばしていた右腕をアルムからカルティアに向ける。


(私の魔法を消すつもり……? なら三射目を――――……)


「ッ――――⁉」


 更なる追撃を繰り出そうとしたカルティアだが突如として目の前が歪み、次の瞬間には胸部が斬り裂かれていた。


「……⁉ おらァ!」


 完全に背中を見せた彼に対し、アルムは躊躇(ためら)うことなく水晶球をかち割る。


『なんか色々とありましたが――――ベレス選手とエルヴィス選手の水晶球(クリスタル)破壊により失格ゥ!』 


 突然の急展開に実況が追いつかないサイベルは彼らの敗退を宣言する。


「楽しい試合もこれで終わりか……まあ明日はもっと楽しくなるから今日はこれでお暇しとく。生きてるかエルヴィス?」


 自分たちのチームの負けが決したにも関わらず、飄々(ひょうひょう)とした態度で彼の下へ向かった。


「少しは悔しがれっつーの、じゃなくて……!」


 不愉快そうな態度を見せるアルムも怪我を負ったチームメイトの下へ駆け寄る。


「しっかりしろ、タリオナ! まだ僕たちは勝ってないぞ!」


「……ッ――――分かっているわ」


 必死に呼び掛けるセロブロの声が聞こえたようで何とか意識を取り戻す。


「はぁ、水晶球(クリスタル)は無事なんだ――――」

「黙って私の話を聞きなさい……!」


 タリオナは意識が混濁(こんだく)しながらも勝つための最後の作戦を伝えた。


「カルティア先輩、大丈夫ですか⁉」


「うっ……! 私は大丈夫です、それよりもエミリーさんを助けに行ってください!」


「エミリー先輩が……⁉」


 なぜ彼女たちがこの場にいるのか? 


 カルティアの怪我は大丈夫なのか?


 訊きたいことは次々に思い浮かぶアルムだが、今は彼女の言葉に従ってエミリーを探すことに集中する。


「お前、そんな状態で……⁉」


「大丈夫、あの男を出し抜く策はあるから」


 弱々しい姿ながら自信に満ちた表情を見せる彼女を信じ、エミリーの居場所を突き止めたセロブロは一足先に駆け出した。


「おい待て、影移(シャドウ)――――」

「待ってください! 彼女たちの水晶球(クリスタル)は空に浮いてあります、タリオナさんを倒したほうが早いはずです!」


「……分かりました」


 状況をイマイチ掴めていないアルムは彼女の指示に従う他なかった。


「私たちが勝つまで付き合ってもらうわよ……!」


 鮮やかな水色の前髪は汗で濡れ、今にも倒れそうな足取りだが真っ直ぐにアルムを見つめた。


(どのみち炎が纏われたままじゃ追跡は難しいか)


「すぐに終わらせてやる」


 アルムは再び剣に魔力を纏わせると地面を蹴って剣を交える。


「……あとは、お願いします……」


 カルティアは視界の端で彼らを捉えたが最後、試合を彼らに託して意識を失った。

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