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死神だった俺、暗黒魔法の転生者として平和な時代で再び戦いに巻き込まれる  作者: バッチョ
魔導大会三日目

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開戦のひかり

「……さて、駆け出したのはいいもののどう動こうか」


 アルムは周囲を警戒しながら中心に向けて走り続ける。

 

(最優先事項は水晶球(クリスタル)の破壊、ならば発光する瞬間まで身を隠すほうが戦闘を最小限に抑えられる……だが)


『単身で戦地へ出向いたアルム選手ですが、どのように判断したと考えられますか?』


 会場でアルムの様子を見ていたサイベルは解説役のエリアに尋ねた。


『そうですね。アルム選手は個人戦やチーム戦、そして攻守においても高い能力を発揮すると考えられます。しかし水晶球(クリスタル)の守備をチームの彼女らに任せ、自身と完全に切り離したということは共に行動することが大きなリスクを抱えると踏んだのでしょう』


『なるほど、確かにあのベレス選手に目を付けられているという事実はアルム選手にとって不安の種になっているでしょう。ではアルム選手は単独で行動したほうがチームの勝率が高いと判断したという事ですね』


『とは言え多対一の状況を自ら作っている自覚はあるでしょうから、このリスクをどう対処するのかが楽しみですね』


『ええ、では他の2チームは――――おおっと! 試合開始から10分後が経過したところで3つの水晶球(クリスタル)が白く光り出しました!』


 解説させようと試みるサイベルだが広大な森に光が灯され、目の前の映像に釘付けになった。


「ようやく光ったか……!」


 アルムも水晶球の光を捉えたようでその場で立ち止まり思考を巡らす。


(堅実なセロブロとタリオナはこのタイミングで動くことはないはず、動くとすればベレスチーム――――うん?)


 彼は明かりから水晶球の位置を把握しようとするがおかしな点に思考が止まる。


「ひとつ、ふたつ……見当たらない」


 彼の後方、自チームの明かりが一つと左前方に小さな明かりが一つ……()()()()()


水晶球(クリスタル)を隠したのか? いやそれは不可能だ」


 アルムは見当たらない原因を探そうと試合規則を振り返る。


『水晶球を地中に埋める、もしくはそれらに該当する行為はしていけない』

『試合開始から10分を経過するごとに各々のチームに配布された水晶球が光る』


(規則がある以上明かりを隠すことは容易じゃない)


「ひとまずさっきの明かりを見に行く――――」


 再び歩き出そうとした時、視界の端に無数の火球が映る。

 収束された炎はアルムの眼前で炸裂(さくれつ)し、赤き炎が森ごと彼を飲み込んだ。


「……仕留められたかしら?」


「分かっていることをわざわざ聞くな」


 薄暗い森の奥からタリオナとセロブロが姿を見せる。


「こんな魔法で始末できる相手ならあんたと組んでいない」


「……早くも俺の予想が外れたな」


 煙が晴れると黒色の大盾を構え、何事も無かったかのように立っていた。


『不意を突かれたアルム選手だが一瞬で頑丈な大盾を作り出し、セロブロ選手の火球を防ぎ切る!』


「――――はあぁ……!」


 熱狂するサイベルとは裏腹に観客席に座るレイナは不安そうな表情を浮かべる。


「あの子が凄いと分かってても怖いものは怖いな……」


「お兄ちゃん頑張れ! ほら、お父さんも応援して!」


「おお! そうだな、アルム頑張れェ!」


 自身の膝上に乗っているマインに促され、ロイドも声援を送った。


「おっ! 早速やってんな、俺たちも行こうぜ!」


「さっきの発言忘れたのか! ここらを捜索するって言ってただろォ!」


「敵の位置が分かったなら捜索する必要ねェだろ。それに飽きた」


「そっちが本音じゃねえかよ! なぁ、もう少し様子を見ようぜ!」


 結界付近まで移動したエルヴィスは彼の説得に必死な様子だった。


「もしかした俺たちを誘い込む罠かもしれないだろ?」


「……分かったよ、そこまで言うなら」


「分かってくれたガッ――――⁉」


 (さと)された様子から一転、エルヴィスの顔に右フックをお見舞いする。


(いて)ェ……何すんだよ!」 


「どうせ自分一人じゃ水晶球(クリスタル)を守れる自信がないから俺に居て欲しいんだろ。だったら簡単な話だ」


「お前、まさか……!」


 殴られた左頬を撫でるエルヴィスを余所(よそ)にベレスは水晶球を抱えた。


「俺がこれを持って向こうに行くだけだ!」


「おいちょっと待て! 行って良いから、行って良いからそれだけは持っていくなぁァァァァ――――!」


 意気揚々と走り出すベレスを追いかける形で涙目になりながらエルヴィスも走り出す。


『先の攻防を聞きつけてベレス選手たちも行動を開始する。これは早くも三つ(どもえ)の戦いかァ!』


(……これはさっさと決着(ケリ)を付けたほうが良いわね)


 会場に仕掛けた伝承石から実況役の声を傍受(ぼうじゅ)したタリオナは軽くため息を吐いた。


「どうした?」


「いいえ、何でも無いわ」


「……ひとつ訊きたい。お前らの水晶球(クリスタル)は大丈夫なのか?」


 勝敗を決する水晶球を持っているどころか(かば)う様子も一切見られない態度にアルムは懐疑的(かいぎてき)な視線を向ける。


「答える訳ないでしょう。そんなに聞きたいなら今すぐ降参してくれない? そうしたら答えてあげる」


 そう言ってタリオナは魔法を発動させ、構築式から長槍や(おの)など多様な武器を出現させる。


「あっそ、なら勝った後の楽しみに取って置くよ」


 アルムは右手に長剣を生成し、彼らに剣先を向けた。

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