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死神だった俺、暗黒魔法の転生者として平和な時代で再び戦いに巻き込まれる  作者: バッチョ
魔導大会三日目

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魔撃墜決勝戦、開始

『昼食で英気を養ってから迎える魔撃墜ホープ・シューティング決勝戦! ここからは魔導大会も折り返しだァ!』


『これまでの試合は各々の選手が的を射抜(いぬ)く個人競技でしたが、決勝の舞台ではチーム戦になります。これまで以上に熾烈(しれつ)を極める戦いになるでしょう』 


『では選手たちの出場とともにチーム発表を行います! 会場の皆さまは盛大な拍手でお迎えください!』


 サイベルに促され、会場は拍手の渦に包まれる。


『まずはこれまでの三試合無失点という圧巻(あっかん)の魔法力を披露(ひろう)し、個人総合ポイント暫定(ざんてい)一位――――アルム=ライタード選手!」


 アルムは軽快な足取りでフィールドの真ん中に進む。


『次は今大会で三連続出場を成し遂げ、一層磨かれた紫電(しでん)(いかづち)はあらゆる敵を撃ち抜く! カルティア=エンドリアス選手!』


 カルティアは入場とともに一礼し、ゆっくり真ん中に歩みを進める。


『次は――――』


 その後もサイベルの軽い紹介が行われ、選手たちがフィールドに姿を現した。


「あれっ、なんかあいつ遅くね?」

「この調子で行くとさぁ……」


 選手紹介が進むに連れてエンドリアス学園を中心に観客席で私語が目立ち始める。


『最後に一年生ながら決勝の舞台まで駒を進め、撃破数は同校のアルム選手に続いて二位! 並々ならぬ覚悟を背負っての出場、セロブロ=ジクセス選手!』


 セロブロは長い金髪をなびかせ、肩で風をきるように歩いた。


『タリオナ選手とセロブロ選手はチームで出場します』


「何考えてんだよ、お前はァ!」

「アルムとカルティア様たちと一緒に出るのが普通だろォ!」 


 エリアの声明とともにエンドリアス生から怒りの声が漏れる。


「ずいぶん批判されているようだけど大丈夫なの?」


「心配するな、競技に支障はない」


「……大丈夫では無さそうね」


 しかし一試合だけの関係、タリオナもそれ以上追及することはなかった。


「彼と組めなかったのは残念ですが、あんなに批判されるとは……」


「決勝戦で同じ学園の者が居るのは想像以上に大きなアドバンテージだと思います。そのチャンスを活かせなければ、怒る気持ちもわかりますよ」


「わ、私もそう思います!」


 黒髪の少女は身を乗り出して何度も頷く。


(だが今は競技よりもさきにこの女を対処しなければ……)


 アルバレス学園四年生エミリー=トロストル。

 彼女がアルムから黒玉所持者の容疑を掛けられている人物《《だった》》。


「しかしエミリーさんが私たちにチームに来てくれたお陰で数ではこちらが有利です。お互いに支え合って優勝しましょう!」


「はいっ! カルティアさん。アルムさんも一緒に頑張りましょう!」


(どこだ⁉ どこに隠していやがる!)


「あ、アルムさん……?」


 鬼の形相で睨みつけるアルムに彼女は困惑(こんわく)する。


(確かにミリエラとの試合は感じたはずなのに、今じゃその気配は微塵(みじん)も感じない……まさかもう手元には無い――――)

「――――アルム君! どうされたんですか!」


「え……ああっ、すみません! 少し緊張していて」


 カルティアの呼び掛けに応じ、自分の不審な行動を客観視した。


「本当に申し訳ありません、エミリー先輩」


「いえ、他校の私を歓迎(かんげい)していないのは分かっていますから。せめて足を引っ張らないように頑張ります」


「お声を掛けさせて頂いたのは私たちです。どうかそんな事を(おっしゃ)らないで下さい」 


 落ち込む彼女を手をカルティアは優しく包み込んだ。


(チームに引き入れたほうが近付けると思ったが、肝心の黒玉が見つからねェ。このままじゃ回収の時間が……)


『それでは決勝の舞台となる森林地帯へ転移させるのはこの御方! エンドリアス学園理事長、レイゼン=シュベルバルク殿です!』


「……どうも」


 サイベルの発表と同時にフィールド内に転移し、上品な所作で一礼する。


『戦いの場となる森林地帯では数十名の監督者が動員され、魔物の駆除は勿論、周辺被害を抑えるための結界や回復薬(ポーション)も用意されており、選手の皆さんが競技に集中できる環境は整っております』


「それぞれの転移先に水晶球(クリスタル)が置いてあるので全員の転移を終わり次第、ルールに(のっと)って競技を始めてください」


「「「はいっ!」」」


「では構築式を展開します」


 レイゼンは地面に手をかざし、魔法発動の準備を始める。


「俺たちが組めば勝利は確実、そうだろベレス?」


「ああ、アルムの相手は任せておけ」


 そう言ってアルムを一瞥(いちべつ)する。


「…………」


 しかしアルムは返答どころでは無く、黒玉の所在を必死に探し考えていた。


「……アルム」


「なんだ、今は話したい気分じゃ――――」


「敵を見誤るなよ、お前を倒すのはこの僕だ」


「「「……⁉」」」


 本人を除き、その言葉を聞いた全員が大きく目を見開く。

 彼に敵対心を剥き出しにするベレスに対してその発言の危うさはセロブロ自身が身をもって知っていた。


「――――くっ! ははははははははははっ! 懇親会で()りてねぇみたいだな、ついでにイジメてやるよ」


「……やれるものならやってみろ!」


 ベレスに向けられる敵意に瞳孔(どうこう)が揺らぐも毅然(きぜん)とした態度で答えた。


(セロブロ、お前……)


 鋭い眼光で睨み合う両者、その光景を見てアルムは静かにため息を吐く。

  

「……悪い、回収は中止だ」


「「「……?」」」


「エルビィス先輩、タリオナ先輩、エミリー先輩、カルティア先輩、ベレス、そしてセロブロ……」


 アルムは名前を呼びながら彼らの顔を見つめる。


「良い試合にしよう」


「当然!」

「やる気を出してくれて嬉しいよ」

「それはこちらのセリフだ」

「ええ、三人で一位を獲りましょう」

「が、一緒に頑張りましょう!」

「……そうですね」


 意外な行動に驚きつつも各々が返答した。


(それが貴方の答えなのですね……)


 そしてレイゼンも心の中で答えつつも彼の判断を肯定する。


「――――出発します」


 構築式が白く光り出した直後、フィールド内の八人は忽然(こつぜん)と姿を消す。


「では魔撃墜ホープ・シューティング決勝戦! 開始です!」


 人々は映し出された映像に注目を集めた。

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