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死神だった俺、暗黒魔法の転生者として平和な時代で再び戦いに巻き込まれる  作者: バッチョ
魔導大会二日目

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暗躍する者たち

 魔導大会二日目は何の問題もなく28位決定戦まで執り行われ、すっかり夜になっていた。


「3回戦進出おめでとう、アルムっ!」


「貴方飲み過ぎですよ、でも本当に凄いわ!」


「お兄ちゃんスゴイっ!」


 宿泊施設の一室、先程ベルモンド王都に到着したロイドたちは口々に俺を褒め称えた。


「いやいやぁ、それ程でもあるよ」


 そして俺は周りの言葉に持ち挙げられ、かなり調子に乗っていた。


「毎年見ていた訳じゃないから分からなかったけど、うちの国って強いんだな」


 ロイドが言うように我が校の学園総合ポイントは、他の追随(ついずい)を許さない圧倒的な差をつけている。

 初日の百キロ走では二位から五位とほぼ上位を独占して261ポイント。

 そして今日の魔撃墜では俺を含め、カルティア、ミリエラ、セロブロの四名が3回戦、他二名が2回戦まで駒を進めたことで現在は365ポイントだ。


「わたしも大会に出たい!」


「はいはい、マインも大きくなったらね」


「お兄ちゃん! 魔法ってどうやったら出来るの?」


 俺の活躍を見ていたら妹も出場したくなったようだ。

 しかし俺は少々特殊だから使えたが、普通に両親から生まれた彼女が魔法を使えるのかと問われれば難しい……。


「うーん、そうだな……心身ともに成長して、構築式を習得して、野菜が好きになれたら使えるようになるよ」


「えっ⁉ そ、そうなんだぁ……」


 乗り気だったマインも野菜という単語を聞いた瞬間に微妙な反応を見せる。


「どうしたの、お兄ちゃんみたいに魔法が使いたくないの?」


「別に魔法が使えなくても、お兄ちゃんのお嫁さんになるから良いもんっ!」


「そうだぞ! マインまで魔法が使えたらだれが家業を継ぐんだ!」


 マインを納得させようとしたら余計な酔っ払いまで引っ掛かってしまったが、話を逸らせたから良しとしよう。


「アルム、明日の競技が終わった後って時間ある?」


「ん? 多分問題ないと思うけど、何か用でもあるの?」


「じつは明日から魔導大会の開催を祝して、屋台とかお店が並ぶの! 良かったらラビスちゃんも誘ってみんなで回りたいなと思って!」


「なるほど……」


 そう言えば大会や黒玉の事ばかり考えていて、観光とか遊びとか全然頭になかった。

 明後日も大会は控えているけど、他国の地に足を踏み入れたのなら少しくらい羽目を外しても影響を少ないだろう。


「分かった、宿舎に戻ったらラビスに聞いてみるよ」


「うんうん、誘ったらラビスちゃんもきっと喜ぶわ!」


「母さんは本当にラビスが好きだね」


「当然じゃない、未来の娘になるかもしれないんだから」


「えっ⁉ 娘ってどういうこと?」


「え、えと、それはね……!」


 聞き流せない言葉に問い詰めるとレイナは大きく取り乱した。

 いくら彼女を気に入っているとはいえ、『未来の娘』という認識なのは今のうちに正したほうが良い。


「ほ、ほら! あの子が前に家に来た時、『服が好きだから将来はここで働きたい』って言っていたのよ! だから店員として迎え入れるなら娘って事になるじゃない? そういう意味で言ったのよ!」


「そう言うことか! 俺はてっきりラビスと結婚すると思い込んでるのかと思ったよ」


「そうよ、ラビスちゃんみたいな可愛い子と結婚できる訳ないじゃない!」


「うんうん、彼女と友達になれただけでも奇跡みたいなものだからな」


 俺とレイナは笑い飛ばしたが、なぜか申し訳なさそうな表情を浮かべていた。


 ***


 同時刻、王都の裏路地に若い男女が足を踏み入れた。


「……本当に、大丈夫なの?」


「心配には及ばない、()()()を信用してくれ」


 不安が拭えない彼女の手を少年は暗闇の中に引いて行く。


「ケイラ―卿、新たな信者を連れて参りました」


「……よく連れてきましたね、ロット」


 少年の声が響き渡ると奥の方から足音とともに女性の声が聞こえてくる。


「貴方の献身的姿勢はシニガミ様もさぞお喜びになられている事でしょう」


「シニガミ様が喜んでいただけるのなら、それ以上の幸福はありません」


 少年は地面に膝を付き、深々と頭を下げた。


此度(こたび)は同級生の彼女に入信の許可とシニガミ様のお力を授けて頂ければ、とお願いしに来た次第でございます」


「お、お願いします!」


 連れて来られた彼女も少年と同様に体を屈めて懇願した。


「……本来であれば身も心も(ささ)げ、長い月日をかけて奉仕(ほうし)しなければあの御方のお力に触れることは許されないのですが……ロットに免じて特別にお与えしましょう」


 そう言ってケイラ―という女性は手から黒玉を出現させる。


「これは……?」


「シニガミ様自ら生み出した魔力の結晶、我々は『死神因子』と呼んでいます」


「死神、因子……」


 彼女は落とさないよう両手で受け取った。


「それを取り込めば貴方を更なる高みへ導いてくれることでしょう。そしてそのお力らをお与えてくれた恩に報いれるよう、これからの人生をあの御方に(ささ)げなさい」


「……はい! シニガミ様に心からの忠誠をっ!」


 彼女の態度にケイラ―は笑みを浮かべる。


「時間が許すならシニガミ様の偉大さを説こうと思っていましたが、近ごろは()()()が嗅ぎ回っているようなので、この辺でお開きにしましょう」


「ネズミですか?」


「ええ、裏社会(スタンドル)という世界の裏で暗躍する組織です。一度は協力体制を敷こうと考えていましたが、所詮(しょせん)はシニガミ様の教えを理解できない蛮族(ばんぞく)たち、信者の一人を利用されてあっさり裏切られてしまいました」


「何という事を……!」


 ロットは拳を握りしめ、激しい怒りを露わにした。


「連中は残忍(ざんにん)狡猾(こうかつ)です、貴方たちも気を付けてくださいね」


 ケイラ―は柔らかな言葉遣いで言い残し、路地の奥に向かって歩いて行った。

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