人外転生!
超強い魔物に転生して、魔法世界で横暴を繰り返しながら生きていたら、なんとなく祭り上げられて、調子に乗って「女王様と呼べ!」等と嘯いていたら、本当に国を任せられてしまった!私は働かないぞ!!
チートで転生した。
今度の生は勝確だ!
「きゃははは!」
ギャアアア
赤い竜が空を駆ける。
竜の背に乗って私は大陸を横断していた。
「きゃ〜大回転!!」
乗っていた竜が私の呼び声に応えて、宙を回転する。
『じょ、女王様!お待ちくださァい!!』
キシャァア
後ろから大声をあげながら、銀の竜に乗った、同じ様に竜の鱗のように艷やかな銀髪をはためかせながら男が声を上げた。
しばらくは竜と一緒にクルクル回っていたが、後ろの男の呼び声がだんだん悲痛な感じになってきたので哀れに思って止まってやることにした。
竜の手綱を引くと、赤い竜は数回空中で翼をはためかせて減速した。
『女王様〜!お帰りください!敵軍がせまっているんです!!』
「知らん。そもそも私は国なんてつくってない。」
『そんな事を言わないで下さい!我々を見捨てないで下さいませ。女王様がいなくなれば、我々は忽ち人間共に滅ぼされてしまいます!!』
「ええ〜穏便に話し合いとかにしなよぉ」
『ではその様に女王様が元老院の者達を説得して下さい!』
「やだよ。聞かないじゃん!キースも馬鹿共は放っといて好きなとこに行きなよ。戦争なんて、やりたいやつだけやればいい。元老院の奴らは死にたいなら死ねばって感じだし。」
『そんな!』
「ていうか、キースも半分は人間じゃん。見た目はそんなに違わないんだから、そっちに混じって生きていけばいいじゃん。人間もそれなりに楽しいよ?」
『何故、その様なことを、よりによって貴方様が仰るのですかっ!!!』
キースが声を荒げる。彼は半分は人なのだ。
私は彼が有能で、気が利くので色々と頼りにしているが、魔物共からの扱いはそんなに良くないらしい。
私は自身を棚に上げて、前世人間として、化け物共がなに言ってんだよと思っているが、キース本人はそれなりに引け目に思っているのだった。
彼は煌めく銀髪に均整の取れた肉体、スッと通った鼻筋に、透き通る薄いブルーの瞳を称えた涼やかな目元。薄い唇が紡ぐ言葉は私の心を穏やかにする。率直に言ってキースはかなりの美形である。人間だったら余りにも恵まれたる容姿であり、頭の回転も速いため、彼が地面をうねってる化け物共に引け目を感じている事をよく忘れる。全てにおいて勝ってるじゃねえかとかつての価値観で思ってしまうのだった。
「あ、ごめん、そういうんじゃ無くて!楽しく生きなよって事!老いぼれに色々言われたからって変な責任感とか持たなくていいって事よ!彼奴等が滅ぶんなら、それはそれで時代の流れってもんよぉ~」
『そんな風に僕には割り切れません。彼処は僕にとっては女王様と過ごした大切な場所なんです。僕は戻ります。貴方がいつか戻る場所を残しておきたいので。お引き留めして申し訳ありませんでした。』
キースが哀しそうに顔を伏せた。ええ、そんな事言われたら旅立ちにくいだろうが!!ていうか、戻る気無いよ~!毎日どっかで遊んで暮らすんよ!お前もそうしろよって言ってんだよ!!
なんでそうなったんだよ、と思いながら小さくなっていくキースを乗せた銀色の竜を見送る。
私は人間に近い形をとっているが、本当は竜のような鱗と鳥の鉤爪の様な手と謎のアメーバーが合体した様な化け物である。
機嫌が悪かったり、体調が悪かったりすると時々鱗が出たり溶けたりするが、大体は人の形をしている。前世が人間なので人の形のほうが落ち着くのだ。
別に国を作ったつもりもない。魔物達は弱肉強食で、私が気に入らないやつを殺したり食ったりしていたら誰も私に逆らわなくなっただけだ。キースはそんな中で拾った。それも、めちゃくちゃ美少年だったので観賞用に置いておくために拾って育てたという超自分本位なのだ。本当は彼の母親も一緒だったのだが、拾ってすぐに亡くなってしまった。彼に似てとても美しい人だったが、最後はかなり錯乱していた。あまり想像したくはないが、彼女が魔物共から受けた屈辱と恐怖を考えると仕方がないと思う。それからは、何となく私が面倒を見ている。魔物共は頭も悪いし、小さな彼と一緒においておくと、碌な事を吹き込まないので出来るだけ近付けないようにしていた。
彼は半分は魔物なので、それなりに強く育ったし、半分は人間なので謀にも長ける。弱いと食い物にされるのは人も魔物も一緒なので、最低限生きていけるくらいの事は教えたつもりではある。良いか悪いかは別として。
それでちょっとばかり、人間のいない環境で育った為に偏った思想で大人になってしまったのだ。
正直なところ、自分と同じ爬虫類もどきやら謎のアメーバ達が死ぬのはまあ、碌な事してないし、自業自得だよね~って感じたが、キースが死ぬのは少し可哀想だと思った。
あの子は私が甘々で育てた自覚あるので、ああいう風に言えば私が戻ってきて戦うだろうという算段がありそうな気もするが、それにしても見捨てておけない位の情はあるのだ。いや、もう人間じゃねえんだけど。
う〜ん。
しょうがないから戻るか。




