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婚約者が私をかけての決闘を令嬢と始めてしまった、受けて立たないで3

「では、決闘の三番勝負は弓、剣術、武器は自由で相手が武器から手を離すか戦闘不能と判断されるまででいきます。…多少の怪我はこの際、大丈夫でしょう?」


 受けて立ってしまった。

 このままではガーネット伯爵令嬢の生命活動の危機だ。


「…クォーツ伯爵令嬢はこの婚約を望んでいないのか?」


「いいえ?両家としてもですし、私たち当人同士も望んでいる婚約です。場所を騎士科の鍛錬場に移しましょう。皆様はこのままお茶会を続けて?騒がしくして申し訳ございません。」


 あぁ…アリーシャの怒りをふつふつと感じる。


「いいえ!アリーの決闘に立ち会わせて?応援したいわ」

「私も。アリーを一人にはさせられないわ」


 ご令嬢たちの目が期待に輝いている。

 ……彼女たちはかっこいいアリーシャに気付いてしまっているんだな。

 無意識に騎士的仕草がでるから、淑女科の令嬢たちの間でひっそりと人気だと寄り子のところから情報は入っている。

 とりあえずもう止めることはできないから、近くにいて見張ら…見守らなくてはならない。


「私も…もちろん立ち会うから、アーリャ。悪いが皆も付き合ってくれないか?」


 いざという時のために騎士の、それも男手はあった方がいい。焼石に水にしかならないとしても。


 こうして鍛錬場に連れだって行くことになった。

 弓は三本の合計を競うことにする。

 的中の数が同じであればより中心へ近い方の勝ちとするなどと細部を決めていっている。


 鍛錬場についたところでアリーシャは動きやすい服への着替えをすすめられたが、断っていた。

 ハンデかな……いや、服装など関係ないからか。


 弓は鍛錬場にあるものの中から雑に選んでいる。

 うん、何でもいいものな。

 久しぶりに弓に触れるからか生き生きとしている。


 先行はガーネット伯爵令嬢だった。

 弓を引く姿勢は中々よく、鍛錬もされている。

 しかしそのまま風を見極めるために静止する。

 そして射られた矢は的の端の方に的中した。


「まぁ」「いきなり当たったわ」

 と淑女科の彼女たちは目を見開いている。

 ガーネット伯爵令嬢がこちらを振り返り

「弓は得意な方なのです。」

 などと言っているが相手はアリーシャだ。


「ねぇ、ランス」

「うん、アーリャ黙って見ていようね。口を挟んでは集中を欠いてしまうこともあるから、ここでは」


 これは絶対に「なぜこんなに時間をかけるのか?」とか言ってきそうなので黙らせる。

 ガーネット伯爵令嬢も決して遅くはないんだ、騎士科では。

 辺境の常識は一般の非常識。


 大人しくなったアリーシャと続きを見ることとする。二射目はまた反対のやや端寄り、三射目でやや中央付近と中々の腕前だ。


 そしてアリーシャの番。


「先程からすっかり大人しくなられましたね!さあ、クォーツ伯爵令嬢の番ですよ」


 待ちくたびれただけだと思うけどな。


「そんなドレスで届きます?なんなら届いたら貴女の勝ちとしてもいいんですよ?」


「いえ、このままで結構です。ルールもそのままでお願いします。それより早く場所を代わってくださいますか?」


 ?

 何か焦っているようだが、どうしたのだろうか。

 ちょっと好戦的になっているだけならいいのだけれど。それよりも


「アーリャ!程々でな?程々で頼む!」


 決して矢で的を破壊してはいけない。

 道具が普通でもアリーシャは軽く岩をも破壊できる。

 本当に何でだよ。

 にっこり微笑んでいるが通じていてくれ…。


 そして意味のわからない速度の連射だった。

 つがえたかと思ったらもう二本の矢は中心を射抜き、同じ穴を通り抜けていく。


「えぇっ?!」

「はぁ?!」


 ……あぁ、的が無事でよかったな。

 驚愕の声を思わずあげた騎士科の面々にいたたまれなくなり、少しばかり現実逃避をした。

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