第63話・ダブの街の冒険者ギルドで
「お嬢さんちょっと良いかな?」
「はい何でしょうか?」
「俺は、『森のカエル』と言うクラウンのクラウンマスターでゴンザレスと言う者だが、ブラストの街からこの街までの護衛依頼を受けて、とある方達を護衛してきたのだが、依頼完了の手続きをお願いしたい。」
「はい分かりました。
依頼完了の手続きですね♪ 依頼主様からの依頼書には依頼完了の旨のサインは貰っていますか?」
「ああ、これが依頼を完了した証明となる依頼主のサインが入った依頼書だ、確認してくれ。」
「はい、確かに確認させて頂きました。
クラウン『森のカエル』様、これより今回の報酬を清算する為の手続きをさせて頂きますので、少々お時間は掛かるとは思いますがお待ち頂けますでしょうか? お支払いの準備が出来ましたらあちらのカウンターでお呼び致します。」
「ありがとう。」とゴンが代表して受付嬢に礼を言い、受付カウンターを離れた途端に、
「おいおい、みんな聞いたか? 『森のカエル』って名前のクラウンだなんて、俺なら絶対に速攻でクラウンの名前を変えるけどな~!」と、早速ダブの街の冒険者ギルドで絡まれてしまった。
まあこんな時間から、冒険者ギルドに併設された酒場で酒を飲んで居る様な冒険者に、碌な冒険者は居ないのだが・・・
「おっ! このウサ耳のネェちゃん、デカい乳してるな~♪ 俺と今から良い事しないかぁ?」と寄りにも寄って、その酔っぱらった冒険者はラムネの胸に手を伸ばそうとしたが、
「ふん! ダブの冒険者は質が悪い様だな! 躾が成って無いようだ・・・ まあ酔っ払いのクズ冒険者はそこで寝てろ!」と、伸ばされた手を払いのけると同時に、酔っ払い冒険者の脚を払ったら、その冒険者はものの見事に顔面が床にダイブしてしまった。
「おいおいお嬢さん、今、聞き捨てならない事を言ってたよな? 俺達が何だって~?」
「ああ聞こえなかったのか? 私はダブの冒険者は質が悪い様だな!って言ったんだ! その証拠に、真昼間から依頼も受けずに酒を飲んでは、依頼で街を訪れた冒険者相手に絡むなんて、躾が成っていないにも程がある・・・」
「おいおい、好き勝手な事を言ってくれるな~ 俺達こそお嬢さん達に色々と躾してやらないとな~♪」と、酒場に居た酔っ払い冒険者達が席を立って近寄って来る。
「はあ~ ラムネさん、ダブに着いて早々にトラブルは嫌ですよ!」
「でもなポプラ、絡んで来たのは此奴らだぞ?」
「だからって、こんな頭の悪そうな連中の相手をしなくても・・・」
「おい、この女あ~! いっ、今、俺達の事を何と言ったぁ~~~?」
「はああぁ~~~ 本当に頭だけでは無く、記憶力も悪いのですね、私は頭の悪そうな連中と言ったのです!」
「もう許さねえ! 裸にひん剥いてこの場で犯してやる! 全員で此奴らをやっちまえ~!」と言う事で、予想道りに乱闘とは成ったが、余りにも一方的に酔っ払い達はラムネとポプラの二人に制圧されてしまった。
Aランクのラムネは勿論、ポプラもその辺のCランク冒険者よりも強い、しかも見た目は少しだけ背の低いお嬢さんに見えるが、間違いなくドワーフの血が混じっているドワーフ系人族だ、純粋に腕力だけでもCランク冒険者とタメを張れる上に、最近は暇を見つけてはダイエットと称して、ラムネやシオンの手解きを受けながら、体術と棍棒の扱いの指導を受けているのだ、酔っぱらって頭に血が上っている冒険者達に引けを取ることは無い、
まあ彼女達が不利に成ったらゴンが加勢にも入るだろうと思って、僕とラタニーとバーニャは酒場のカウンターに行って飲み物を注文しに行ったが、
「お宅たち、今暴れている姉さんの連れじゃないのかい? 加勢しに行かなくても大丈夫かい?」
「いえ、僕達まであの騒ぎに加わったら過剰戦力に成ってしまいますから・・・」
「まあ・・・ その様だね、 で、飲み物は何にするかね?」
「本当はお酒を注文したい処だけど、ポプラに怒られそうだから何かソフトドリンクが欲しいニャ♪」
「だったら、この辺の名物でミカーナつて果物のジュースが有るがどうだい?」
「もしかして、オレンジ色した柑橘系の果物のジュースかニャ?」
「お嬢さん良く知ってたね、その通りだよ、ミカーナの果物を絞った汁に、蜂蜜を入れたジュースさ♪」
「私は柑橘系はちょっと苦手なんだニャ~ 他にお勧めは無いかニャ?」
「後はウシウシの乳から作ったサワーナぐらいかな?」
「それって美味しいのかニャ?」
「もしかしてお嬢さんは猫系獣人かい?」
「そうだニャ♪」
「だったら大丈夫だ、うちの常連の猫系獣人のお姉さん達は、このサワーナに強い酒を混ぜて飲むぐらいには好きな様だからね♪」
「だったら私はそれにするニャ♪」
「はいよ! それでそっちの兄さんと姉さんはどうするかね?」
「じゃあ僕も、そのサワーナを!」
「・・・・(私も!)」とバーニャもコクコクと頷いていたので、三人で仲良くサワーナなる物を頼んだが、後ろに現れた陰に案の定怒られてしまった。
「旦那様、何を他人事のようにして飲み物なんかを頼んでるんですか? 仮にも妻の貞操の危機だったのですよ!?」とポプラはプリプリとしていたが、
「あの程度の冒険者相手に、僕達まで出て行ったら過剰戦力も良い所じゃないかな? だってバーニャ1人だけでもここに居た冒険者相手ならオーバースペックだよね? しかも後ろにはゴンも控えて居たし・・・」と話していると、
「ちょっと良いかな君達、君達はクラウン『森のカエル』のメンバーで間違いは無いかな? ここのルールでギルド内での乱闘騒ぎは禁止しているのだが、この騒ぎの顛末の説明をして欲しいのだが、少し話を聞かせて貰えるかな?」と少し神経質そうな中年男性が声を掛けて来た。
「私がこの森のカエルのクラウンマスターのゴンザレスだが、私が代表して話を聞こう。」
「いや、全員で来て貰おうか!」と少しイラついた感じで言われてしまったので、
「僕達3人は乱闘にも加わって無いし良いよね? 第一、ギルド内での乱闘騒ぎが禁止なら、何でギルト職員達は誰一人として注意するなり、騒ぎを止めに来るなりしないの? 騒ぎが収まってから来るなんておかしく無いかな?」
「何だ貴様! 小僧が何を偉そうにしている!そんなにも冒険者資格が剥奪されたいのか?」
「何の権限が有って僕の冒険者資格を剥奪すると言ってるの? それに僕はアルバ王国の首都、トロ所属の冒険者だから、何処の誰だか知らない人に僕の冒険者資格を剥奪する権限なんて無いよね?」
「黙れ!黙れ!黙れ~~~! 俺はこのダブのギルトの副ギルマスだ! 俺の命令は絶対なんだよ!」
「そう? 貴方が誰であれ僕には関係無い事だね! ポプラ、ラムネ、悪いけど後を頼んでも良いかな? そこのオジサン、うちの綺麗処が取り敢えず話を聞いてくれるって事だから、ああゴンは二人のサポートをお願いね♪(=゜ω゜)ノ」
「はい、了解しました。」
「お前! 何を勝手に決めているん・・・・」
もうコノ男の相手をするのが嫌になったので、今後は少し行動が制限されるかも知れないが、ダブのギルトの副ギルマスだと言う男だけに、僕が所持しているアルバ王国の貴族だと証明する証の懐中時計をチラリと見せて黙らせた。
まあ、このアルバ王国の貴族だと証明する懐中時計は有名なので、男は直ぐに大人しくは成ったが、僕の爵位に関しては気付いてはいない様子だった。
だってこの男、僕の懐中時計を見てえっ?ってな反応だけだったし、多分、アルバ王国出身の冒険者のみに適応されている竜を討伐した功績で名誉貴族にでも成った若造ってな感じで捉えたのだろう。
渋々と引き下がって、ポプラ達と一緒に別室に行った様だった。
「兄さんは貴族様だったのかい?」とカウンターに立つバーテンダーのオジサンに聞かれたので、
「貴族と言っても底辺の名誉騎士だけどね~♪(=゜ω゜)ノ」と答えて置いた。
まあ、オジサンが素直に納得した事には、少々複雑な気分だったが、
「こんな田舎でドラゴンスレイヤーの貴族様と出会えるなんて♪」と喜んでいたので、まあ良しとする事にして、ポプラ達が帰って来るまで、このバーテンダーのオジサンからダブの街の様子を色々と教えて貰いながら待つ事にした。
予定投稿時間がギリギリに・・・:(;゛゜''ω゜''):




