第57話・定期報告会の場で遊んではいけません!
某月某日
場所:ブラスト / 古城跡・ブラスト理事会建物会議所 現・辺境伯官邸会議室
議題:第8回定期報告会
「諸君、全員揃った様だから始めようか! セバス、議事進行を頼む」
「はいジン様、先ずは、前回の定期報告会で議題に上がっていました『適切な税の徴収金額に付いて、各方面の担当者がその部署を運営するに当たり、市民から直接税を徴収する必要が有るのか? またその部署を運営する際に、本当に市民達が納税した税金分が、如何なる方法で住民達の生活に還元されるのか?』を、各部署の担当者と代表者に、今回の定期報告会までに纏めて置く様にとのご指示がジン様より有りました。
では、始めに街の商業店舗関連を担当して頂いてますポプラ様からお願いします。」
「はい、今回、このブラストの街で、以前は長年理事会の議長を務められていたボンドネル氏にも協力を頂き・・・・・」とポプラの報告が始まった。
今、僕達が何を話し合っているのか?と言うと、このブラストの街を運営して行くに当たり、必要な資金の算出と資金を確保する方法に付いてである。
ああ別にブラストの街を運営して行く為の資金が無い訳では無い、街を運営する為の資金はアルバ王国の国庫から、必要以上の額の資金が供出されている。
では何故?と思うかも知れないが、これも『あの男』が『このブラストの街に住む住民達に対して、何に対しても税を課してしまい、住民達から金を搾り取っていた。』からであった。
僕が、本体が工作艦であるヒチハに指示して次々とブラストの街の環境整備を始めると、それを目の当たりにした街の各自治体の代表者達が『また莫大な額の金を、我々住民に税金と称して徴収するのでは?』と心配になり、理事会の議長を務めていたボンドネルに相談した結果、ボンドネルから
「ジン様、少々、この街の事で相談事と言うよりも、街の各自治体の代表者達から、ジン様がこの街の各所で行っている改修工事等の事で相談事と言うか? 心配事の相談を受けまして・・・・」
「心配事の相談?」
「はい、ジン様が色々と行っているブラストの街の環境整備で掛かった費用を、『税金として街の住民達から徴収するのでは?』と、心配する声がこの街に住む住人達から、各自治体の代表者達の方に上がっている様でして、ジン様のおかげじ、この街に住む住人達が『あの男』から何かと言っては重税を課せられる事は無くなりましたが、やはり一度植え付けられた恐怖心はなかなか無くなる事は無く、さらには『ジン様がこの街を統治する事に関して快く思って居ない連中』が、有る事ない事を吹聴して回っている様でして、その事も有ってジン様に色々と相談に乗って頂きたいと思いまして・・・」と相談された事が、この定期報告会の始まりであった。
「と言う事で、ジン様、今回の定期報告会での皆様からの報告は、以上と成ります。」
「ありがとうセバス、そして皆もありがとう。
さて今日は、僕から皆に重大な発表がある。
実は、先日の事なのだが、とある人物から、かなり難しい依頼の内容が記載された手紙が、僕の所に届いたのだが・・・
その内容が、僕が北方辺境伯として納める事と成ったとある都市の理事からの視察依頼なのだが、この視察の遂行自体がかなり難しい事だと言う事が、手紙を読んだ時点で僕には容易に想像する事が出来た。
従って、この視察に同行する人選なのだが、これまでの事を鑑みるに、全員の意思を尊重して、自由参加とし、私の視察に随行したいと思う人員だけに留めたいと思う。
ではセバス、今回の視察要望が掛かれた手紙を、皆に読んで聞かせてやって欲しい。」
「ハッ!ジン様、セバスがジン様に成り代わりまして『海洋都市ダブの理事会にて、参事を務めておられるササバー氏からの手紙』を代読させて頂きます。」と言い、僕宛に届いた視察要請に関する嘆願書をセバスが僕に代わって代読し始めたのだが、最後にササバーが追伸として書き綴っていた。
『追伸・ジーンサイザー様が海洋都市ダブへお越しになられる際には、是非私に連絡を頂ければ、私どもが所有している海が見渡せる眺望の良い別荘を、ジーンサイザー様の療養施設としてご利用して頂ける様にご準備させて頂きます。』との一文をセバスが読み終わると、その場に居た全員が僕が言いたい事を把握しきれずに、頭に『?』マークを浮かべていた。
まあ当然の事だろうとは思う。
実は、この事に関しては、事前にセバスとボンドネルには相談していたが、まさか定期報告会の絞めの場で、こんな話しの持ち出し方をすとは思っては居なかった様で、セバスなんかは僕から手紙を手渡された時なんか『ジン様、本当にこの手紙を読むのですか?』と、極秘回線で聞いて来たぐらいだった。
簡単に言うと、この場に居る全員で『バカンスしに行こう!』と言う話しなのだが、この場に居る女性陣達全員はそうとは取らずに、真剣な顔で視察に参加するメンバーの選抜をし始める始末・・・
結果として、僕が女性陣達から物凄い勢いで怒られた挙句の末、彼女達一人ずつと別々に街での買い物に付き合わされる事と成ってしまった。
まあ今回、なし崩し的に北方辺境伯に叙された事で、元々貴族として領地の運営をしていた訳でも無い僕が、広大な領地を運営して行く上で必要な優秀な官僚達を多く確保しているハズも無く、現在の僕の陣営には、この北方を取りまとめる為の人員が圧倒的に足りて無い様な状況な上に、アルバ王国国内の無位無官の貴族の子弟達からは連日の様に仕官としての登用先として多くの面談の要望が当たり前の様に有り、面談の結果として仕官を断れば断ったで、色々と面倒な事態を引き起こしたりで、ほとほと困り果てていたのだ、誰が好き好んで賄賂を強要するのが得意で、酒と女遊びが好きな貴族の三男や四男坊を、僕の臣として取り立てると思うのだろうか? 君達の素行は全て調べ上げた結果、仕官は断っていたのだ!
そしてその後、僕はアルバ王国国内の全貴族に対して官僚としての人材を求めて居ない事を通達する事と成ったのだが、その結果として、色々と苦労を掛けている女性陣達への慰労を込めた意味での視察と言う名のバカンスを提案したのだが、その提案方法が良くなかった様だった。
因みにだが、アルバ王国国内の貴族に向けて、文官としての人員募集に断りを入れた後、今度は多くの貴族の三男や四男坊達が騎士としての登用を希望して、このブラストの街に詰め掛けて来たが、この街での滞在中に色々と金銭的なトラブルを起こすわ、暴力的なトラブルを起こすわで、色々と大変では有ったが、ラムネを筆頭とした現冒険者ギルドの協力と、イチハとフタバの協力もあり、全員をアルバ王国国内に送り返す事が出来た。
イチハやフタバが管理統括している『soldier/Ⅹ』達に抗う事が出来ないのは当然の事として、ラムネが指揮している冒険者ギルドの冒険者達にすら、抗う事が出来無い騎士希望の貴族の子弟なんて、一体誰が必要としているのだろうか?
事、軍事面だけに関しては、際限なしで僕が統治する北方には一切の心配事が無い、万が一、北方の全領地で一斉に軍事蜂起が起きたとしても、ものの半日で完全に制圧出来るだけの軍事力が今の僕には有るので、これ以上の兵を必要とはしていないのである。
僕が北方辺境伯として管理統括する事と成ったこのフロトの北部方面には、海洋都市ダブの他にも海洋都市が2か所と、穀倉地帯の農業都市が3か所に、鉱山都市が4か所と工業都市が2か所の、合計12か所の主要都市があるのだが、取り敢えずは『月』の00号の助けを借りて衛星軌道から超高高度解析された各都市の全容は把握済であり、後は各都市の代表者達と面談した後、どの様な方針で統治して行くのが一番良いのか?が肝とはなるのだが、その為の第一歩として、今回招待してくれた海洋都市ダブの参事であるササバーの所から、バカンスも兼ねて全員で訪れてみようと思ったのだった。
僕が大勢の女性陣達を引き連れてバカンスに訪れると、相手も油断して色々と本音も話してくれるかも知れないし、万が一、ササバーが邪な心の持ち主だった場合は、その辺の事も見えて来るかもしれないと思っての事だった。




