第43話・旧坑道跡地で見つけた物と、ママからの贈り物
セバスの子機達に、この古い坑道内に存在する鉱石を色々と探索させた結果、この今は使われていない坑道内には、豊富な種類の未採掘な鉱石が残っており、その鉱石の中に硝酸と塩化アンモニウムが発見されたのだ、そして、この塩化アンモニウムを生成して作ったアンモニアと、硝酸の化合物として硝酸アンモニウムが作れるのだが、その硝酸アンモニウムを高温で融解させると、分解されて一酸化二窒素が発生する。
その発生した気体が亜酸化窒素であり、その亜酸化窒素を20%~40%と、酸素を混合したガスが笑気ガスと呼ばれる麻酔薬となり、その気体を吸引した生物の多くが、この混合ガスを吸入することにより心地良い気分になり、痛みや外部からの刺激が減少される上に、多くの者達が深酒でもしたかの様に泥酔状態若しくは、睡眠作用の効果で眠りに落ちて無抵抗と成ってしまうのだ、そして皆さんかご存じの様に硝酸は強力な爆薬を作る際の原料とも成るのだが、今の所、僕はこの世界で強力な爆薬など作ろうとは思っていない。
第一、この世界には爆薬よりも強力な『爆裂魔法』と言う物が存在するし、コストと利便性を考えても、断然に魔法の方が効率が良いと言えるからだ、ただ、笑気ガスの場合は少し様子が違う。
此れまでこの世界に措いて、一度に大量の生物達を行動不能とさせる魔法は存在した事が無い、ならば、この笑気ガスの有用性はどうだろう?
確かに、怪我を負った人達の苦痛を和らげると言う事に関しては、この笑気ガスは絶大な効果を発揮する事は間違いは無いのだろうが、それは、この世界に現存するヒーリングポーションや、魔法使いが使っているヒーリング系の魔法でも問題は無い。
だがしかし、この世界では誰も知らない笑気ガスを、本人たちが知らない間に散布されたらどうだろうか? 笑気ガスは微かに甘い匂いがするので、なにも知らない人達は『この微かに漂う甘い匂いは何だ?』と思い、逆に匂いの元を確認しようとして肺一杯に笑気ガスを吸い込む事になり、その結果、簡単に泥酔状態に陥るか? 睡眠状態に陥ってしまうだろう。
例えばの話しだが、大きな戦場などで、敵軍の兵士達にこの笑気ガスを吸引させた場合はどうなるのだろうか?
もし、盗賊などの盗人達が、この笑気ガスを手に入れて、自分達が押し入りたい商家に笑気ガスを充満させたらならば、一体どんな惨事が起こるだろうか?
まあ僕自身が、この笑気ガスの作成方法を広めるつもりも無いし、存在自体も現アルバ王国の国王である祖父にも、ジェス兄さんにも誰にも話すつもりは一切無いし、万が一、彼らの前で笑気ガスを使わないといけない状況と成った場合、一番最初に彼らに笑気ガスを使って眠らせた後に使用するだろう。
そして、この古い坑道跡からは、金や銀や銅などの貴金属系の鉱石以外にも、鉄やアルミニウムなどの鉱石も採集する事は出来たが、少量では有るがオリハルコン鉱石が採取出来た事が、笑気ガスを作る事が出来た事の次ぐらいに嬉しい事だった。
セバスの話しだと、子機達を作る際にこのオリハルコンを使用すれば、今の子機達の性能を格段に向上させる事が出来るのだそうだ、
「セバス、現行の子機達を使って新規に新しいバージョンの子機達を、作戦実行に必要な数を揃える為に必要な所要時間は?」
「はい、ジン様、作戦実行に必要な新しいバージョンの子機達の数を揃える為に必要な所要時間は、約2時間ほどかと、」
「了解、ではその間に僕達が出来る事は何かな?」
「そうですね、現在、私の子機達は物凄いスピードで新しいバージョンの子機達に入れ替わってはいますが、今現在の子機達の総数では、万が一、此処に隠れている賊達に私達の存在がバレてしまった場合、先ず我々が此処に居る山賊達に戦闘で負ける事は無いとは思いますが、スマートに山賊達を制圧する事が出来ません、従って、我々は山賊達に発見されない様に、大人しく身を潜ませておくのが、今は一番かと思われます。
十分な数の子機達が揃ってくれば、我々が少々派手な動きをしたとしても、子機達が構築するミラージュ効果で山賊達には気付かれなく成りますので、それまで少々我慢して大人しくしてて下さいね、ジン様、」
「セバス、セバスは僕の事を『大人しく出来ない子供』と一緒の扱いをしてない?」
「はい、私にはジン様が一刻も早く坑道内に突入したくてウズウズしている様に見えますもので、」
「バレてた?」
「はい、坑道内の様子を子機達に画像にして送信させて以来、ジン様が少し焦っている様に見えましたので・・・」
確かにセバスの言う通りで有った。
セバスの子機達から送られて来た画像の中に、いくら後からヒーリングポーションや、魔法使いが使うヒーリング魔法で治癒出来るからと言っても、両足の膝から先と、両腕は肘から先を切断されて逃げれない様にされて拘束されている人達が、10人以上も坑道内に存在しているのを発見したのだ、しかも、切断された際の傷口は、ただ出血死しない様に焼いて止血しているだけの杜撰な処置であり、拘束されている者達の中には、まだ幼い子供の姿も有った。
セバスが僕に言った『スマートに山賊達を制圧する事が出来ない』と言う言葉は、笑気ガスを古い坑道内に充満させて、山賊達を泥酔状態または、睡眠状態にしてから拘束する作戦の本当の目的は、山賊達に囚われている人達にこれ以上の苦痛を与えない為の作戦の事を指す言葉でも有った。
そして、ジン達が旧坑道跡の入口を確認出来る場所で待機し始めて約2時間後、セバスから
「ジン様、お待たせしました。
先程、この作戦を実行する為に必要な数の子機達を準備する事が出来ました。
作戦開始のご指示をお願い致します。」
「待ち侘びたよセバス、では作戦開始と行こうか?」
「はい、ジン様、先ず今回使用する笑気ガス自体が、山賊達が坑内で焚いている火に即引火する可能性は低いのですが、万が一の事を考えて、最初は20人ほど居る山賊達の頭部を覆う様に笑気ガスを発生させて、山賊達を泥酔状態、または睡眠状態に堕とします。
次に、山賊達が大人しくなったら坑内で焚かれている篝火を、子機達に鎮火させた後、坑道内に高濃度に生成した笑気ガスを充満させますので、笑気ガスが坑道内に充満した事が確認出来た後、『soldier / Ⅹ』達を引き連れてジン様と私が坑道内に侵入し、拘束されている人達の救出及び、泥酔状態または睡眠状態に成っている山賊達の捕縛作業となります。
その際、ジン様には『月』で特別に設計された『ジン様用のボディースーツ』を装着してから、坑道内へと侵入して頂く事になります。」
「えっ? 着るでは無くて装着なの?」
「はい、この様に着るでは無く、装着です。」とセバスが言った瞬間、僕の全身は戦闘用のボディースーツに覆われた。
「ああ、ボディースーツって言うから、全身の体形がピッチりとしたスーツで露に成って恥ずかしい思いをするのか?って思って居たけれど、こっちの戦闘武装系の鎧みたいなアーマード系の方ね! 良かった~♪ うちの女性陣が体にピッチりとフィットしたボディースーツを着た姿なら見て見たいけど、男の僕が着てもね~ 」
「あら、ジン殿は『体にピッチりとフィットしたボディースーツ』がご希望だったのかしら?」
「えっ? この声は00号の声?」
「はい、ママで正解ですよ~♪」
「ありがとうママ、でもこんなに良い装備を貰っても良いのかな?」
「良いの良いの! それに、今から『soldier / Ⅹ』達を引き連れて、暗い坑道の中に入って行くのでしょう? だったらsoldier達を指揮するコマンダー装備も必要に成ると思って、用意させたんだから、怪我なんてして帰って来たらダメだよ! 後、そのコマンダースーツの細かい使い方はセバスから聞いてね♪」と言って、00号からの通信は切れた。
そして、セバスからコマンダースーツの使用方法に付いての説明を受けた僕は、セバスと100体の『soldier / Ⅹ』達を引き連れて、山賊達が潜伏している旧坑道跡へと進軍を開始した。




