第42話・セバスの子機達
「ジン様、我々を監視していた山賊達に動きが有りました。」
「どんな動き?」
「はい、彼らは、ジン様のデモンストレーションを見て、自分達がこの野営地を襲って、尚且つ仲間達を救出する事への不利さに気付いたのでしょう。
我々を監視していた残りの山賊達が各々アジトに向かって移動を開始した様です。」
「ありがとうセバス」
「隊長さん、お聞きの通りです。
それでなのですが、私達は今夜、山賊達のアジトを急襲して、山賊達の残党を確保して来ます。」
「ちょっと待てくれ、君がこの場を離れたら、このキャラバン隊の護衛はどうなる?」
「御心配には及びません隊長さん、私が呼び出した兵士達は、一度命じられた命令は絶対に守ります。
例えそれが1月だろうと1年だろうと、私が兵士達を待機させている空間へと返還するか?再び再召喚するか?しない限り、この場所を守り続けますよ、それはダンジョンで永遠に宝箱が設置してある場所を守護しているダンジョンのリビングアーマー達を見ていれば理解出来ますよね?」
「ああ、確かにリビングアーマーの本質は『主の命令を忠実に守る騎士』だからな、それは理解した。
ただ、リザードマン達や、最悪ワイバーンが出てきたらどうなる?」と隊長さんが聞いて来た。
まあそうだろうとは僕も思う。
だって、つい先ほどポプラにラムネを護衛役として付けて、次の街に在ると聞いている冒険者ギルトの支店まで、此処で拘束している山賊達を護送する依頼を出しに行って貰ったばかりなので、この野営地を守る人員が減るのを恐れたのだろう。
「ああ、ワイバーンやリザードマン達なら心配は要りませんよ! ご心配なら・・・」と言って、今、キャラバン隊が野営の準備を進めている場所の周囲を、ぐるりと囲む様に立っている『soldier / Ⅹ』達とは少し毛色が違う、額に『Ⅸ』と書かれた兵士達を10体呼び出した。」
「きっ・・・君! こっ、これはデュラハンではないか!・・・ 」
「そうです。
僕がダンジョンで頑張って集めたデュラハン達です。」
いや、嘘である。
僕は未だデュラハンが出る様な階層には到達して無いし、リビングアーマーはおろかオーガですらダンジョンで会った事も無い、これは先日のメルクからの護衛依頼以降、『月』の00号が、
「ジン殿、面白いではないですか、地上の者達がジン殿の固有スキル『thousand swords』を、リビングアーマーなどと呼ばれる魔物を召喚するスキルだと勘違いして、そう思って居るのなら、そう思わせて置けば良いのです。
ならば、面白いので『soldier/Ⅹ』の上位機種は、少々趣向を凝らしてみましょう。」と言って、面白半分で僕に送り付けて来た機械人形達だった。
最初、出来上がった『soldier/Ⅸ』を見た時は、自分達の頭部を小脇に抱えて馬の様な物に乗った機械人形達だったが、彼らに剣と馬上槍を装備させて、僕の空間魔法で亜空間に収納した後、『thousand swords』で呼び出してみたら、あら不思議! 8本脚のスレイプニルに跨り、赤黒いフルアーマーを着込んで右手には馬上槍、そして左腕で自分の頭を抱え持ったデュラハンが現れた。
まあ、キャラバン隊の隊長さんは、このデュラハンを見た瞬間、
「きっ、君の実力は理解した。
で、出来ればそのデュ・・・ デュラハンは、早く返還して貰う事は出来ないだろうか?」とキャラバン隊の隊長さんが、物凄く怯えながら言うので、僕は呼び出したばかりの『soldier/Ⅸ』達を見て、肩を竦めて見せたが、当の呼び出されたばかりの『soldier/Ⅸ』達は『仕方ねぇな~』ってな感じで、僕の指示に従って亜空間へと帰って行った。
因みにだが、この10体の『soldier/Ⅸ』達、実は初めて目にした人達が恐怖を感じる様に、見た目は物凄く怖く見える風体に設定していたりする。
今回、初めて『soldier/Ⅸ』を人前に晒したのだが、感触的は良かった。
今後も僕のスキルが、『リビングアーマー系の魔物達を召喚するスキル』だと勘違いしてくれる人達が増えるのは、僕にとっても好都合だからね。
「では隊長さん、こうしましょう。
残りの山賊達への所には、僕とセバスの二人で行って来ます。
そして、もしワイバーンやリザードマン達の襲来が有った場合には、直ぐに魔法使いであるラタニーに、極大の爆裂魔法を上空に放ってもらい、そして、その極大の爆裂魔法を合図に、僕がこの野営地に先ほどのデュラハン達を召喚して守らせますから心配は有りません、この案でどうでしょうか?」
「それで君が我々の安全が絶対に確保出来ると言うのなら、私は君の案に納得するしか無いのだが・・・ それで本当に大丈夫なのかね?」
「ええ大丈夫ですよ、第一、ラタニー自身も優秀な魔法使いですし、先ほども見ましたよね?僕が召喚したリビングアーマーに向けて放った極大の炎魔法を? あの極大魔法の直撃を受けてもワイバーンやリザードマン達が無事だと思いますか?」と、今もなお野営地の片隅で地面が溶けて大きく抉れている場所を僕は見た。
そして、キャラバン隊の隊長は渋々と僕の提案を受け入れたのだが、まあこのキャラバン隊が目的地に着くまでに、ワイバーンやリザードマン達に襲われると言う事は絶対に有り得ない事なのだ、だってメトを出発して以来、ヒルドが『竜種の威圧』を放ち続けて『ココは私の縄張りだ!』と主張し続けているのだ、そんな場所に下位の竜達が近付いて来れる訳が無い、来れるのはヒルドの父親である『三つ首竜』さんぐらいだと思う。
そして約小一時間後、僕とセバスは、とある旧鉱山跡地だと思われる坑道跡の近くまで来ていた。
「ジン様、私の子機達に辺りを探索させた所、あの場所に見える坑道の奥に、先ほどの山賊の残党達が潜んで居る様ですが、坑道の中には先程の人数以上の人の数が確認する事が出来ました。」
「そんなに多い人数の賊が潜んでいるの?」
「その様です。
残念な事にこの坑道がかなり深く広範囲だった様で、私が現在保持している子機の数では到底探索し切れません、もう少し子機の数が多ければ如何にか状況は掴めるかと・・・」
「ねえセバス、さっきセバスの子機が丸太を分解していたけど、その分解した丸太の素材ってどうなったの?」
「はい、一部は今夜我々が使用する薪として再生して、馬車の中と馬車の天井に確保していますが、それ以外は森の中に森の肥料として散布しました。」
「と、言う事は、セバスの子機は、物質をナノ単位で分解して再び同系列の物質として再構成出来るって事だよね?」
「はい、ジン様、私の子機はどんな物質でも分解出来ますし、再生も可能です。」
「大きさや、その物質の性質も関係無いの?」
「はい、厳密に言えば多少の制約は有りますが、その物体の分子や原子へと働きかけて別の素材へと変化させる事も可能ですし、多少時間は掛かる事も有りますが、先ほど分解した丸太の様に、一度小さな物体へと変換した後に、再びそれを集めて、大きな物体へと変換する事も可能です。」
「まるでセバスの子機達って、この世界の錬金術師達みたいな事が出来るんだね、凄い!凄い! それじゃあさあ、その能力を使ってセバスの子機達を増やす事って出来ないのかな?」
「誠に残念で有りますが、私には子機達を複製する許可が出ていませ・・・・ ちょっとお待ち下さいジン様、今、『月』より連絡が有り子機達を複製する許可と、00号より子機の設計図が私に届きました。
この瞬間から子機の複製が可能となりました。」
「それじゃあさ! 此処って旧鉱山跡だと言っても、未だ少量の鉱石なら残っているハズだよね? それを使って子機達を複製して、もっと詳しく探索させられないかな?」
「はい、子機の数を増やせるのなら、旧坑道内の鮮明な画像を手に入れるのも可能と成ります。」
「じゃあ悪いけれど頼めるかなセバス? それと00号にありがとうって言って置いてね♪」
「了解しましたジン様、」
そして、その後は大量に複製したセバスの子機達のお陰で、坑道内部の様子が詳細に分かったのだが、それ以外にも、僕達にとって十分に魅力的な事実も判明した。




