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 第41話・魔法と超科学

 


  山賊達から襲撃を受けた場所から、僕達が乗っている馬車を丸太が置いてあった場所まで移動させると、セバスが再び馬車を停車させて、


「ジン様、今から不埒者達を拘束しますが、少しだけお手伝いして頂けますでしょうか? それとバーニャ様とラタニー様に、ラムネ様もお手伝い下さい。シオンは奥様とポプラ様をお願いします。」と丁寧に頭を下げながら僕に言って来た。


「了解したわセバス、奥様達の事は私に任せて旦那様の為に働いて来て下さい。

 ただ、山賊達の血の匂いでワイバーンやリザードマン達が現れるかもしれません、旦那様と奥様の為にも周囲の索敵には十分に注意を払って下さいね。」


「そうですねシオン、大丈夫だとは思いますが、まだ山賊達の仲間が数人ほど離れた場所からこちらの動向を注視している様ですし、用心するには越した事はありませんね」と言うと、さっき着たばかりのコートと燕尾服の上着を空間魔法で収納した様に見えたが、少し気に成って先に地面で呻いている山賊達の方に向かって歩き始めていたセバスに聞いてみた。



「セバス、ちょっと良いかな?」


「はい、何でしょうジン様」


「セバスって『月』で作られた特別製の機械人形だと『月』の00号(ママ)から聞いているけど、セバスの様に特別製な存在って、この世界の魔法も使えるの? それにしてはシオンは一切魔法が使えない様で、この旅で必要な機材や食材も、ラタニーがヒルドの鱗と牙を使った特別製の収納鞄を作って、その中に収納して持って来ている様だけど?・・・」


「いえジン様、私は魔法なんて使えません。」


「えっ?! さっき山賊達を一瞬で討伐した時に魔法を使ってたよね? それに、コートや燕尾服の上着を収納魔法で亜空間に収納していた様に見えたけれど?・・・」


「シオンは有能で、魔法の補助が無くても家事全般は問題なく熟せますし、戦闘に関してもですがこの国のAランク冒険者と呼ばれる人種よりは強いかと・・・

 ただ、大量の荷物を持ち歩くにはやはりこの世界の『空間魔法系の収納魔法』は使い勝手が良いものですから、シオンは奥様とラタニー様に頼んで『特別製の収納鞄』を準備したようですが、私の場合は『進歩し過ぎた科学は、魔法と等しい』と言う事です。

 私の場合は、優秀な子機が沢山有りますので、そうですね、旦那様は私達が作られた別の世界の事を知っていると、00号(ママ)から情報として受け取っていますが?」


「ああ、確かに僕は、科学と言う名の文明が進んだ、セバス達の様な存在が沢山居た別の世界の事も知っている。」


「その世界での私達の様な存在には、物凄く極小な存在も居ましたか?」


「ああ、主に人体の中で色々な補助をさせる為に作られた。

 ナノサイズの機械も有ったし、その世界に居た僕自身も健康と身体能力向上為に活用していた。」


「私の場合は、以前の世界にいらっしゃったジン様とは少々活用方法が違いますが、私は、身体能力等は自前で十分支障は有りませんので、今、私が装備している仕込み杖以外を、そのナノマシンで補っていますと言ったら、ジン様はどう思いますか? 先程ジン様が『私が収納魔法を使っている』と思われた様ですが、実際は、ナノマシンで構成されていたコートを、さも空間魔法を使って収納している様に見せかけているだけです。」


「えっ?・・・」


「早い話し、コートの端から徐々にナノマシンの結束を解いたら、何も知らない人から見れば私が収納魔法で亜空間に収納している様に見えるハズです。

 その逆もしかり、手元からナノマシンにコートを再生させれば、収納魔法で取り出している様に見えるハズです。」


「だったらさっきの丸太は?」


「ああ、アレは、ナノマシンに丸太自体を分解させたに過ぎません。」


「じゃあ空中に複数の光魔法陣を発現させて、光魔法で山賊達を一斉に撃ったのは?」


「もう、薄々とは気付いておられるとは思いますが、先ず魔法陣はナノマシンに作らせたフェイクです。

 そして、今回は空中にレーザー光線を発射する為の装置をナノマシンに作らせました。

 無論、そのレーザー光線を発射する為の装置自体も、人の小指のサイズにも満たない物ですので、少し離れてしまえば発見も容易では無いですし、万が一近くで見ててもミラージュ効果で簡単には発見出来ません。」


「じゃあ、セバスが使っている索敵もナノマシンに依るものなの?」


「はいジン様、一部は『月』とリンクしているシステムのお陰ですが、ナノマシンを広範囲に散布して、ナノマシンからの反応を使って索敵しています。」


「そうだったんだ・・・」


「はい、これでジン様の疑念は晴れましたか?」


「ありがとうセバス、僕の疑念は晴れたよ、正しく『進歩し過ぎた科学は、魔法と等しい』って事だね」


「はい、ジン様」とセバスは僕に同意の返事を返しながらも、次々と山賊達を後ろ手に縛って拘束していく、


 今回捕縛した山賊達の数は、全員で33人だったので、セバスの索敵に引っ掛かった残りの山賊達は20人ほど居る事に成るけど、この先も捕縛した山賊達を引き連れて進むには色々と問題が有りそうなので、予定よりも早いが、今夜はこの場所で野営をする事にした。


 無論、僕達に合流したキャラバン隊を率いている隊長は、この場所での野営には難色を示したが、



「いまだに、この山賊達の仲間が20人ほど山の中に潜伏して我々を監視していますし、もしかしたらこの先で彼らが仲間を助けようと襲って来ないとも限りませんし、捕縛した山賊達は全員セバスの光魔法の攻撃で傷を負って血を流しています。

 この血の匂いに誘われて、ワイバーンやリザードマン達が襲って来るかもしれません、ここは、この先のに在る街まで誰かを行かせて、その街の衛兵を引き連れて来て貰うのが一番だと思います。」


「しかし、誰が街まで行くのだ? しかも君の話しでは山賊達の約半数が未だにこの周辺に潜んで、我々を監視していると言う事だし、君が言う様にここでワイバーンやリザードマン達におそわれでもしたらどうする?」


「ではこうしましょう。

 まず私の所からこの状況を街まで行って知らせる人間を出します。

 次に、この場所で皆さんが野営する準備が出来たら、私のスキルでリビングアーマー達を召喚して皆さんを護衛させます。

 確か隊長さんは私のスキルはご存じですよね?」


「ああ、君のスキルは聞き及んでいる

 何でも守りに()けたスキルで、100体以上ものリビングアーマー達を召喚して操り、前回の護衛の依頼では、キャラバン隊が野営する際には必ずリビングアーマー達に周囲を囲ませて守っていたとか? ならば、そのリビングアーマーを使って山賊達を引き連れて行くか? 逆に山中に未だ隠れている山賊達を捕まえて来させるとかは出来ないのか?」


「残念ながら、僕が召喚するリビングアーマー達は、守備は得意でも、移動には向いていませんし、ましてや山中を移動しながら山賊を追う事なんて事は無理です。

 隊長さん、山中で転倒したリビングアーマーはどうなると思いますか? 隊長さんはダンジョンに入られたご経験は?」


「ああ、私も若い頃には冒険者として活躍していたから、ダンジョンにも良く潜っていたが、それがどうした?」


「では、ダンジョンに潜った際にリビングアーマー達と出くわしたご経験は?」


「無論あるが・・・ アレは嫌な経験だったよ、ゾンビ共とは違って腐った肉の匂いに悩まされなくて済む以外、倒しても倒しても、後から後から湧いて来るし、折角倒してバラバラにした奴も、仲間のリビングアーマー達がせっせと組み立てて復帰して来るものだから・・・ ああ、君が言いたい事は理解したよ、確かにリビングアーマー達にとって、激しい衝撃は体がバラバラに成るリスクが大きいんだったな?」


「ええそうです。

 しかし、こんな野営地で賊に襲われた場合は違いますよ、例えバラバラにされようがその場で賊たちの侵入を邪魔しますし、その間に他のリビングアーマー達が賊達を拘束してしまいますから」


「なるほどな~ ダンジョンでもそうだったが、宝箱を守っていたリビングアーマー達は、本当に厄介な存在だった・・・ あの時は、魔術師の高火力の炎魔法でリビングアーマー達の鎧を溶かして攻略したんだったな~ でもその後の魔法使いはマナを使い果たして、全く使い物に成らなかったのを思い出したよ」


「僕が召喚するリビングアーマーには、特別製の鎧を与えていますから、例え大火力の炎魔法で攻撃されても絶対に溶けませんよ! 何なら試してみますか?」と言って固有スキル『thousand swords』で一体の兵士を呼び出すと、今回キャラバン隊に参加して居る全員の前で、ラタニーに派手な極大の炎魔法を盛大に一発放って貰った。



 まあ結果としては、ラタニーが放った極大の炎魔法を耐えたリビングアーマーが、ラタニーの目の前まで何事も無かった様に歩み寄って来た事で、キャラバン隊に参加していた商人達は、皆が驚きの眼差しを持って銀ピカの鎧を纏った兵士を見ていたが、この場所でリビングアーマー達に周りを囲まれて野営する事に反対する者は誰一人居なくなった。


 それは、この状況を伺っていた残りの山賊達も同様の様で、山賊達は野営しているキャラバン隊を遠巻きにして様子を伺う事しか出来なく成ってしまった様だった。




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