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 第30話・恐怖の笑う戦闘狂兎・・・

 

「ジンさん凄いです! 先程は、まるでジンさん達には実力が足りて無い様な事を言ってしまい、誠に申し訳ございませんでした。」と、疑似闘技場から出て来た僕に向かって、テラノ商会の末娘のメルクが勢い良く駆け寄って来ると、深々と頭を下げて話し掛けて来た。


「いえ、事情が有って僕の場合はスキルを隠していましたし、冒険者達の事を知らない依頼者の人達にしてみれば『若い冒険者には、経験と実力備わっていない』と思ってしまい、経験の少ない若い冒険者達では無く、少しでも経験の豊富な熟練冒険者達に依頼したいと考えるのは、少しでもリスクを軽減したい商人の人達から見れば、普通の事だと思いますから、」


「はい、そう言って頂けると私も嬉しいです。

 ジンさん達のクラウンならば、ワイバーンやリザードマン達の襲撃が有ったとしても、メトまで大船に乗った気持ちで安心して旅が出来そうです。 今回のキャラバン隊の護衛、宜しくお願いします。」と言うと、父親だと言うテラノさんの所に、元気に駆けて行くメルクの後ろ姿を見送った後、僕はポプラ達の下に歩いていくと、シオンから心配そうに話し掛けられた。





「旦那様、宜しかったのでしょうか?」


「何が?」


「旦那様の固有スキル『thousand swords』を、人前に晒した事です。」


「ああ、シオン、心配してくれてありがとう。 でも大丈夫だよ親父とジェス兄さんは僕の固有スキルの事は知っているし、メイヤーさんはジェス兄さんの秘書だし、王族としてのジェスター兄さんの婚約者でもあるから、その立場上、僕の固有スキルを関係者以外には話さないと思うし、まあバーニャが他人に僕の固有スキルの事を話そうとしても、多分無理だと思うし、そもそも、人よりも秘密事項に関する事案や、機密情報に接する機会が多いポプラと、王宮魔導士としても働いているラタニーに対して、もそんなに心配はしていないしね」


「では、今回、私達のクラウンに参加した。あの『戦闘狂兎(ウォーリアバニー)』はどうしますか?」


「彼女かい? 多分、彼女に関しては問題無いと思うよ!」と、疑似闘技場の中央で仁王立ちしているラムネを見る。


 今日のラムネは、さらしを巻いた胸元を大きく開いた羽織袴姿に、目元と兎耳だけ出して素顔は頭巾で隠した姿でギルド本部に来ていたが、今は羽織袴を脱ぎ捨てて、(ふんどし)に胸にさらしを巻いた姿で、何故か?物凄く期待した視線を僕に向けて、疑似闘技場の中央で仁王立ちしている。


 頭巾は外すつもりが無い様で、こちらから見ていると物凄くエロいお姉さんに見えてしまう・・・(汗 



「さて、戦闘狂兎さんが期待した視線で見てるから、もう一戦して来るかな?」と、シオンに向かって微笑むと、シオンは『行ってらっしゃいませ』と静かな声で見送ってくれる。



「ココに来たと言う事は、私もアレの相手をさせて貰えると言う事で良いのかな?」


「はい、ラム・・・ いえ、ウォーリアバニーさんが宜しければ、先に僕だけで貴女に挑戦させて頂いても宜しいですか? Dクラスに上がったばかりの僕だと、Bクラスの冒険者さんとお手合わせさせて頂く機会は早々にありませんから」


「私はアレと戦えるなら、他に条件が増えても良いが?」と、妙な色気が有る眼差しを向けて来る・・・ 多分、頭巾の下の口元も妖艶に笑っているのだろう・・・


「では先輩、ご指導宜しくお願いします。」と言って空間収納から2本の剣鉈を取り出すと、静かに構えを取った。




 戦闘狂兎との模擬戦の結果だが、彼女が背負った双剣を抜く事無く、僕はポリゴン姿に変換されて場外に転送されてしまった。


 それも、かなり手抜きされた挙句、動きが悪い所は丁寧に指摘を受けた上、同じ攻撃を同じタイミングで繰り返して、反復訓練までして頂いたのだ・・・ 



 そして、その戦闘狂兎は、今、物凄い狂気的な笑い声を模擬闘技場に響かせて、全身を汗だくにして4本の『thousand swords』達と戦っているが、僕を相手をしていた時には、全く汗をかいて無かったのに・・・ Dランク冒険者とBランク冒険者の『格』と『実力』の違いを様々と見せ付けられた気分である。


 ただ問題は、歓喜の笑い声を上げながら戦っている戦闘狂兎の姿が、真っ白な兎耳はバッサリと切られ、頭巾は無論の事、さらしまで攻撃を受けた際に脱げたと言うか? 自分が持っている双剣が血に濡れて滑らない様に手に固定する為に使ったと言った方が早いのか? 上半身裸で戦っていると言った感じで、そろそろ彼女が絞めている褌も危なくなっている気がするので、


「もう1体、剣を追加します。」と言って、早々に決着をつけさせて貰う事にしたが、それ以来、ラムネさんには疑似闘技場での訓練に良く呼び出される事となった・・・ まあ僕自身の訓練にも成って良いのだが、訓練する度に『どうせ脱ぐし、邪魔だから』という理由で、褌一丁で訓練を開始するのは止めて頂きたい・・・ 健康的に鍛えられたラムネさんの肢体が、僕には目の毒なのである。


 後、卯吉さんが怖いから・・・ マジ怖いのでお願いします・・・:(;゛゜''ω゜''):




 テラノ商会の末娘、メルクと約束した当日の日の出前、シオンが準備した見た目は普通の幌馬車に乗って、西大正門に到着した僕達は驚いた。


 当初の話しでは、荷馬車の台数は30台程度だと聞いていたのだが、西大正門前には、その倍近くの荷馬車が集まっていた。


「メルクさん、この荷馬車の数は一体・・・ ?」


「私が『メトに帰るのに、信頼して道中の安全を任せる事が出来る冒険者さんと、契約する事が出来ました~♪』って酒場で話してたら、それを聞いたメトに帰りたい他の商人さん達が、俺達も一緒に帰らせてくれって言って来て・・・ てへぺろ♪ (ΦωΦ) 」


「『てへぺろ♪』って・・・ メルクさん、絶対に確信犯ですよね?」


「ジンさんの実力なら、荷馬車の30台も80台も一緒ですよね?」


「あっ、頭が痛い・・・」


「メルクさん、少々お話しさせていただけますか?」と、余りにもな状況にポプラが物凄い形相をして、メルクを僕達の幌馬車の中に連れて行き、最初に提示されてた成功報酬の3倍の金額で依頼を受ける事に合意させた。


 途中、あの手この手に、ウソ泣きの泣き落としでポプラに譲歩を迫ったメルクだったが、相手が海千山千の曲者揃いの冒険者達を、毎日ギルドの受け付けで相手をして来たポプラに対して通用もするハズも無く、完全に白旗状態で、その場でメルクに再契約した事を書類に明記させた上で、契約書にサインさせたそうだ、後に、メルク自身から聞いた話しでは、最初から僕達に80台もの荷馬車の護衛をさせる気だったらしくて、契約に対しては『騙される冒険者が悪いんですよ~ 』と悪徳商人を演じつつも、実は少しでも小麦の運搬に関わる諸経費を安く抑えて、価格高騰で満足にパンを買う事が出来ないで苦しんでいるメトのスラムに住む人達に、少しでも安いパンを届けてお腹いっぱいにパンを食べて貰いたいと考えての事だったらしい。


















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