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 第3話・ただ白いだけの部屋で出会った

 

「お〜〜〜い!・・・ 」


「・・・ 」


「お〜い! そろそろ起きてくれんかのう?」


「・・・? 」


「お〜い! (じん)君! 西条(さいじょう) (じん)君〜!」


「えっ?・・・ 」


「おお!やっと目が覚めたか? 久しぶりじゃのう仁君!」


「・・・ 誰?」


「誰?とはご挨拶じゃの・・・ ワシじゃ!ワシじゃ! 神様じゃ♫」


「神様?・・・ いやいや神様なんかと知り合いのハズは・・・ 」


「ああ、やっと思い出してくれた様じゃの♫」と目の前に立つ髭面の老人がニカっと笑う。


「神様が目の前に立っているって事は・・・ 俺って結果的にあのまま死んだって事?」


「いや、未だ死んどらんよ! 今は治療を受けて寝とるよ!」


「それなら何故この白い部屋に?」


「まあ仁君の治療の手伝いと、ちょっとした手違いで仁君に掛かった規制の解除かな?」


「?・・・ ああッ! 思い出した〜! 前回、神様と会った時に、確か『魔法に関するスキル』を授けて貰えるって話しだったハズなのに、僕のスキルツリーが変な事になっているんだよ!?」 


「ああそれは知っておる・・・ だからバグってしまった仁君のスキルツリーを修正する事が出来るチャンスが来るのを待っておったのじゃ!」


「でも? 俺が教会に行った際に何度かチャンスがありそうなもんだけど・・・?」


「それがの、そうも上手くは行かんのじゃ・・・ 仁君の魂に深く関わる事じゃからのう・・・ 」


「それで、俺のスキルツリーの修正って終わった?」


「ああ、完璧に終わった! もう魔法も使い放題!無制限じゃ♫」


「いやいや、携帯電話のパケット無制限みたいな感じで言われても・・・ 」


「まあ冗談は横に置いておくとして、魔法に関しての注意事項じゃが! まず、突然全ての魔法が自由に使える様になる事は無い、無論、魔法の威力に関してもそうじゃ! ただ・・・ まあ空間能力系の魔法と、回復系の魔法は直ぐにでもMAXレベルで使える様にしといてやるかの? 」


「おッ!本当に?」


「ああ本当じゃ本当じゃ! 神様は嘘は言わんわい♫ 」


「本当!? ラッキー♫ ・・・ 神様、次いでに感知系と検索系の魔法も解放して欲しいんだけれども・・・ ダメかなぁ?・・・ アッ! 後!鑑定系の魔法も♫ 」


「・・・? 何故か?コレまで下界を覗いていた時に見ていたジン君と性格がちょっと変わっとらんか?・・・ 自分呼びが、『私』から『俺』に戻っとるし・・・ まあ感知系と検索系の魔法は空間魔法系だから問題は無いが・・・ 鑑定魔法か〜 」


「えっ!? 性格が変わっている?・・・ 」


「ああ、喋り方がのう・・・ 」


「・・・ 」


 目の前に立つ神様が、やや困惑した表情をしているのを見て、自分もちょっと思い返して見て気付いた。



「それって『この白い部屋に来て前世の記憶を思い出した。』からじゃあないかな? それに、前の世界では普段はこんな感じで家族や友達たちとも会話してたし・・・ それに、コッチの世界の母さんは喋り方や言葉遣い、それに礼儀作法なんかには特に煩くて・・・ かなり厳しく躾けられてたし・・・ 」


 子供の頃に、母親から『言葉遣いや礼儀作法』を厳しく躾けられていた際の『母の指導』を思い出してしまい、ちょっとブルーな気分になってしまったので、神様との話題を変える事にした。


 誤解が無い様に言っておくが、この世界で出会った母親は、誰に対してもいつも笑顔で接する事が出来る人で、性格は基本的に優しくて、天真爛漫で、スタイルも良く、しかも巨乳な私の大好きな母である。


 何故そんな母が、日がな一日、村中をブラブラとほっつき歩いているだけの脳天気で体力バカな父と一緒になったのか?が子供心に不思議でならなかったので、良く下の妹たちと『何で母さんは父さんと結婚したの?』と聞いたものだった。


 それに対して母は、


「お父さんはアレで良いのよ〜♫」


「どうして?」


「お父さんはね、他の人が一生分働くだけの仕事を、お母さんと一緒になる前に済ませてしまったの、だからお父さんは仕事をしなくてもお母さんやジン達可愛い息子や娘達を、何不自由無く食べさせて行くだけのお金を稼いじゃったから、今は毎日暇なのよ♫ だから毎日村中を散歩して暇を潰してるのよ♫」と聞いた事があった。


 まあ子供の頃は、毎日村中を歩き回り、時々山に向かってものすごい勢いで飛ぶ斬撃を放ち、またある時はハイブラックボアと呼ばれる大きな、それこそ私達家族が住む家ぐらいに大きな猪を担いで山から降りて来る事もあった。


 まあ今なら、父がコノ王国の端っこの小さな村で何をしていたのか?は、何となく察しは付く、そして父のこの王国での役割も・・・ 


 そんな訳で母からは特に言葉遣いや礼儀作法等、そしてかなり高度だと思われる教育までを母から叩き込まれ、そして父からは・・・


「なんだジン!もうバテたのか? 今日の目標は母さんが作る夕食が出来る迄に素振りを後1000回だ〜! さあ父さんもジンに付き合って素振りするからな〜♫ 」と言いながら、私の横で木剣から激しい暴風を発生させながら一緒に素振りをしたり、


「今日は、山の山頂に珍しいモンスターが来ているみたいだから、ジンも一緒に観に行くぞ!」と言われて強引に連れて行かれた時なんて・・・ 全行程自分の足で歩かされた上に垂直な崖も2〜3kmぐらいロッククライミングさせられるし・・・ 馬鹿親父なんて、反り返る岩場を『何処から持って来たの?』って、思わずツッコミを入れた程の物凄く大きな酒樽を背中に背負ったまま、ひょいひょいと猿?の様に崖を登って行くし、途中、片手で岩にぶら下がったまま母さんが持たせてくれた弁当までたべてた・・・


 まあ山頂に着いて一番驚いた事は、真っ黒な巨大な竜が居たことだが、馬鹿親父は恐れる事も無くその真っ黒な竜に近付くと、その巨大な黒竜の姿が崩れて行き、物凄い美女に変身した事だった。


 簡単に話しを要約すると、黒竜の美女は、自分の父親である竜に言われて、家の馬鹿親父宛ての荷物を持って来たらしい、で、バカ親父が背負っていたバカデカい酒樽は、その黒竜の美女の父親へのお土産だったらしい・・・


 で!私はと言うと、その黒竜の美女にたいそう気に入られた様で、


「私、親父に嫌々お遣いを押し付けられてココまで来たけれど、ココに来て正解だった♫ まあココに来る途中で泥人形が大量に蠢いてたから、憂さ晴らしに全て擦り潰して遊んで来たけど、君が居たならもう少し早く来ても良かったな〜 そうしたら君の家で少しは一緒に過ごせたかな?」と言いながら私に近付くと、突然首筋にキスされた。


「アタシ! 君に本気で一目惚れしたんだよ♫ だからコレはその証のキスだよ! じゃあ酒樽を受け取った以上は早く帰らないと親父が五月蝿いから、今日は一旦は帰るね〜♫」と言って、巨大な竜の姿に戻ると、物凄いスピードで飛び去ってしまった。


 私の横では馬鹿親父が、


「とりあえずは、母さんや、妹達には秘密にしといてやろう!」と、ニヤニヤしながら私を見てたのを憶えている。


 まあその翌週には、黒竜の美女が沢山のお土産を持って我が家に遊びに来て大騒ぎにはなったのだが・・・汗 



 まあ話しは大きく横に逸れたが、神様からは、


「まあ仁君には色々と迷惑かけてしまったし、仁君の出鱈目なスキルの数々を隠蔽する事も出来るし、まあ鑑定スキルの解放もやむなしかの〜? じゃそろそろ時間の様じゃ、また会おうぞ仁君!」と神様の言葉を聞いた瞬間、俺の意識は暗い闇の中に落ちて行き、目を開けたら知らない病院の病室で、ただ、ボ〜っと天井を眺めていた。











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