第29話・話し合いの後は実力が見たいと・・・
「よっ!ジン、元気してたか?」
「はあ?何でココに居るの父さん?」
「何で?って、新規に立ち上げたクラウンがどんな風に仕事をこなすか?の見極め業務?って言う事で良いんだよな、ギルド総長さん?」
「はい、今回は色々とありまして・・・ すまないねジン、」
「この部屋に通された時点で、集まって居る人達の顔触れを見て色々と察したけど・・・ 」
「まあちょっと待てジン」と言ってジェス兄さんが席を立ち指を鳴らすと、この部屋を『空間隔離』して外からの盗聴を遮断すると、一人の男性に向かって頷いて見せた。
「さて、今、私が空間隔離魔法を使って、この部屋と外部との接点を切り離した時点で、この部屋からは完全に一切の秘密が外に漏れない空間になった事を宣言する。
そして、今から話す話しを外部には絶対に漏らさないとの宣言を全員がした後、今回の依頼に付いての話し合いを始めようと思って居るが、皆はどうだろうか?」とのギルド総長としての問い掛けに、それぞれが小さく片手で宣誓し始める。
「皆の宣誓を、ジェスター・フォン・アルバトロスが、ギルド総長の職権を持って此処に確認した。
故に、これより会談を始めるとする。
先ずは、本来ならば依頼主であるメルク殿からの依頼内容の話しを進めて貰うのだが、本日は別の方から先に話しをさせて頂く無作法を、ご容赦下さい。」と言い、メルクに対して頭を下げた後、先程もジェス兄さんが頷いて見せていた紳士に、軽く会釈してに静かに着席する。
「ありがとうギルド総長殿、私は貿易都市国家フロト最高評議会理事のテラノと言う者で、先ずはジン殿、今回の一件に関して、本当に申し訳ない。
貿易都市国家フロト最高評議会理事の一人として、この場で正式に謝罪させて頂きたい。」
「テラノ氏の謝罪、快くお受けさせて頂きます。」
「ジン殿、感謝します。
では、こちらの『私の末娘でも有るメルク』から、今回の依頼に付いての話をさせて頂きたいとおもいます。」と言ってテラノが着席すると、代わりに・・・
「父テラノから紹介頂きました。
今回、私が皆様に貿易都市国家フロトの首都で有るメトまでの護衛を依頼させて頂いた。
テラノ商会の末娘の『メトロ』と申します。」と深々と頭を下げた後、今回の依頼の説明を始めたが、僕の内心は穏やかでは無かった。
今、僕の目の前で、会議用黒板に地図を張り付けて、キャラバン隊の移動ルートや、キャラバンの編成などを説明しているのは、紛れもなく、昨日、主神と一緒に僕のアパートに現れた『商売と旅』の神の『メトロ』で間違い無いハズなのだからだった。
取り敢えず、一時『商売と旅の神メルク』の事は横に置いておいて、今は『テラノ商会の末娘のメルク』からの依頼内容の説明を聞く事に集中しようとしたが、テラノ商会の末娘のメルクからの依頼は、通常の護衛依頼と同じで有ったが、どうも『テラノ商会の末娘のメルク』からの反応がおかしい・・・
今の現状なら当然だとは思うけれども、彼女から全くの初対面の相手と対話している感じが伝わって来るのは分かるが、彼女からは全く神威を感じ取る事も出来ないのだ、完全に普通の人族の女性にしか見えないんだ・・・
そんな事を考えながら話しを聞いている間に依頼に関する説明も終わり、貿易都市国家フロトの首都メトに向けてのキャラバン隊の出発は、3日後の日の出と同時にメトに続く西大正門からの出発と成ったが、依頼内容の説明の後、双方の意見の摺り合わせをした際に、
「しかし、荷馬車30台のキャラバン隊の護衛に、護衛の冒険者が6人・・・ しかも一人はメイドさんで、おまけにこんな小さな幼女まで同伴させるなんて、例えギルド総長の推薦が有ったとしても大丈夫なのでょうか?」と、僕達、いや、正確には僕とヒルドの事を何も知らない者からすれば、当然の様に疑問に思える質問がメルクから出た。
「今回の依頼は、他の冒険者達や、大所帯のクラウンに話をしても、断るか?難色を示す者達が多くて・・・ そのタイミングで冒険者ジンがクラウン設立の申請書を提出した事を良い事に、私が個人的に冒険者のジンにお願いして、今回の護衛任務のクエストを、クラウン設立時の試験とさせて頂きました。
それに、その試験の立ち合いには、かの『光の戦士』が、貴女のお父様と旧知の知り合いだった事と、この冒険者ジン君の実父で有る事で、今回は特別に冒険者として臨時復帰して頂いた上、試験官として立ち合いして下さいます。
光の戦士殿が居られれば、万が一にもワイバーンの群れが100匹だろうが、200匹だろうが、私には問題が無い様に思えますが?」
「そ、それはジンさん達が護衛に失敗した時の話しですよね? それまでに荷馬車に被害が出たらどうするのですか? 首都メトでは今も満足に食事が取れて無い人達が出ているのに・・・ メトに持ち帰る小麦が減ってしまうと・・・ 最初から光の戦士様に頼むのは無理なのでしょうか?・・・」
「光の戦士殿は、この王国の最高戦力ですよ!? その戦力を冒険者として貸し出せと? もし、国の許可が出たとしても、その報酬は白金貨で1万枚以上の報酬が必要と成りますが? まあ今回は貴方のお父様が秘蔵の酒で手を打った様ですが、貴女には白金貨で1万枚以上の報酬が準備できますか?・・・
もし、ジン達の実力が不安だと言うのであれば、この後、地下の訓練場でジン達に模擬戦をして貰い、彼らの実力の一部でも見学してみますか?」と、ジェス兄さんの言葉にシュンとしてしまった『テラノ商会の末娘のメルク』に対して、少しでも不安が払拭される様にと、僕達の実力を証明して見せる事なったが、対戦相手がなかなかに決まらず、嫌々ながら現役時代はAランク冒険者でも有ったギルト総長殿がね対戦相手を努めてくれる事となったが、その日の午後からはギルト総長殿は使い物に成らなくなってしまった。
何故かって? 地下の模擬訓練場で対戦形式で戦闘訓練をした場合、どんなに闘技場内で瀕死の重傷を負っても、闘技場の外に出ると傷の一つも負って無い、云わば仮想戦闘空間で構成されている訓練場だからだ、ただ、闘技場で負った精神的負担だけは一切解消されないので、要注意が必要となります。
まあそんな闘技場で、ジェス兄さんを相手にして、僕の固有スキル『thousand swords』を発動させた結果、ジェス兄さんが午後から全く使い物に成らない状態に成ってしまい、メイヤーさんから物凄く睨まれてしまったが、そんなジェス兄さんを午後から看病していたメイヤーさんに、後日、『またギルド総長と模擬戦をしませんか? いや、是非ギルト総長と模擬戦して下さい!』と言われてしまったが、何故だろうか?
ここで、僕の固有スキル『thousand swords』に付いて簡単に説明すると、僕が用意した『剣』1本につき、その剣を触媒にして1体の兵士が召喚されるのだが、このスキル、用意する剣の品質や性能に依って召喚される兵士の『質』も大きく変化する。
そんな理由で、ポプラの父親である鍛冶職人のホビイさんが打った剣を手に入れたかったのだが、シオンの『月』に行けば高性能の剣は大量に有りますよ♪ との一言で、全ての問題が解決してしまった。
しかも嬉しい誤算も発生したし・・・ そんな事で、ジェス兄さんには実験台に成って貰う事にはなったが、実はシオン経由で譲って貰った物は剣だけでは無く、剣を持ったドール(ほぼフレームだけの機械人形)を取り敢えず1000体ほど貰って来たのだが、いざジェス兄さん相手にドールを使って召喚してみると・・・
「ま、待て! ちょっと待とうかジン! 待ってくれ~~~!」と、模擬闘技場内にジェス兄さんの絶叫が届いたかと思えば、ジェス兄さんの姿はポリゴンとなって闘技場外に転送されてしまった。
そして、闘技場内には、何故か?嬉しそうな動きをしているフルアーマー姿の兵士達が居た。
それを見ていた親父が『面白そうだから俺にもやらせろ!』と言って、強引に模擬戦に参加したが、あの親父が、真っ白な一体のフルアーマーに、背中から羽を生やした兵士と、僕が見るとモロに『ロボット兵』だと思われる黒い兵士の2体から同時に攻撃を受けて、あっけなくポリゴン姿に成ったのには驚いた。
因みに、ロボット兵の額らしき場所には、何やらこの世界とは違う数字で番号が書いて有ったが、取り敢えず僕は気付かなかった事にした。
何故か?パソコンからは『なろう』にアクセス出来なくなって焦りました。
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by.八葉門希




