プロローグ2
後ろを振り向くと、そこには、首のない人間?がいた。服だけが宙に浮いているようだ。
それを見た瞬間、僕は運転席から飛びのいた。あれはどう見てもやばい。
だが、それは、何事もなかったかのように続ける。
「そんなに警戒なさらずとも…。それにしても驚きました。あなた、こっちの世界が見えているのですから。おかげで、私の残業が増えてしまいましたよ。あ、申し遅れました。私は真、といいます。短い間ですが、よろしくお願いします。」
こいつは一体何を言っているのだ。運転士なのか?そしてなんだ、こっち側?この夜空のことなのか?と思い、もう一度空を見ると、さらなる異変に気付く。月が、七つ!?ここは本当に秋月なのだろうか。こいつは何を考えているのだろう?
したって意味がないのに、キッとにらみつける。
『あー、どうやって処分しようかな?早くしないとうるさい上司様に、怒られちゃうな。』
???脳内で直接響くような声が聞こえた。これは、こいつの心の声…か。
さらっと恐ろしいことを言ってる。
僕はこいつに殺されてしまうのだろうか。
とりあえず、もう一度にらみつけてみるが、今度は何も起こらない。
本当に何が起きているのかわからない。もういいや。全部流れに任せよう。
そう思って、「それ」(…真だっけ?)から目を逸らす。?!逸らした、はずなのに…。
真はいまだに視界の中にいた。しかも、さっきよりも近い。
「あらあら、これは私の手に負えませんね。まさか混ざっているとは。」
真が何か言うが、耳には入ってこなかった。
「ふむ。これは、何が起こっているかわからないって顔をしていますね。もうあきらめったって顔のほうかな?まあ、大丈夫でしょう。直に、わかりますよ。色々と、ね。」
真は、そう言って、前方を見る。
そこには、古びた秋月駅の駅舎があった。
駅からは、古風な不協和音が、途切れ途切れ流れてくる。たしか、秋月神楽だっけ?そんなものがあった気がする。けれど、秋月駅に列車到着時の、メロディーはない。もちろんそれに、秋月神楽が使われているはずもない。
列車は駅に近づいていくが、一向に減速する気配はない。
真が横で、「くっくっく」と笑っているように感じた。
あの分岐点で曲がらなければ、駅には行けない。直進したら境線(もう廃線になっている)だ。
この速度で分岐したら、間違いなく脱線する。かといっても直進したら線路がない。
ついに分岐点に差し掛かる。列車は…直進。が線路から外れたような揺れや違和感がない。
秋月駅のメロディーが遠ざかる。これは、どうなるんだ。不安もある中、ここに来てワクワクがしてきた。
まさか実家への里帰り中に、こんなことに巻き込まれるなんて…。
列車はさらにエンジンをうならせ、草をかき分けながら進む。
急に視界が白く染まる。
やがて光がおさまるとそこには、雄大な景色が広がっていた。
そして目の前には、
「ラ〇ュタ」