38話:助手アリー2回目
悠利「今回はアリーさん2回目のご登場でーす!」
アリー「何で呼んだ」
悠利「いえ、今回、特に呼ぶべき人がいなくてですね」
アリー「なら一人でやれ……」
悠利「一人でやるのは寂しいじゃないですか……!ルーちゃんは喋れないし……!」
アリー「……ちっ」
悠利「わー、物凄く面倒くさそうー」
アリー「大体お前は、外に出ると何かしらに遭遇するからな」
悠利「そんな、犬も歩けば棒に当たるみたいな……」
アリー「何だそれは」
悠利「僕の国の格言みたいなやつです。何かをしようとすれば、何かと災難に遭うことも多いというたとえ、ですかね?」
アリー「お前のことだろうが」
悠利「うぅ」
アリー「というか、お前は本当に子供に好かれるな」
悠利「女の子にはお世話されてて、男の子にはおやつくれる人って認識されてる気がします」
アリー「お世話してるじゃなくて、されてる?」
悠利「掘り出し物とか教えてくれるんですよねー」
アリー「……なるほど」
悠利「掘り出し物、大事です」
アリー「お守りを手作りするってのはどういう発想なんだ?」
悠利「この辺りじゃないんですか?」
アリー「安全や幸福を祈るってのはあるが、素人がお守りを自作するってのはあんまり聞かねぇなぁ」
悠利「そうなんですねー。文化の違いですかね?地域によっては刺繍に意味があるらしいですよ」
アリー「刺繍に?」
悠利「はい。魔除けの意味を込めた模様とか、安全を祈った模様とか。良縁とか、子宝とか、繁栄とか、色々と……?僕がやったのはそういうのじゃないですけど」
アリー「なるほど。そういう文化の場所もあるのか。ジェイクに教えてやったら喜びそうだな」
悠利「面倒だから嫌です」
アリー「……で」
悠利「な、なんでしょうか……?」
アリー「お前はまた、鑑定能力の無駄遣いを……!」
悠利「無駄遣いじゃないです!頑張って作ったお守りが壊れたら困るじゃないですか……!」
アリー「お前のその、日常生活で息をするように鑑定を使うのはどうにかならねぇのか?」
悠利「え?せっかく技能があるんだから、使わなくてどうするんですか?便利なのに」
アリー「お前みたいな使い方は誰も想定してねぇわ」
悠利「もっと皆、鑑定を有効に使えば良いのに……」
アリー「お前、自分の使い方が有効だと思ってんのか?」
悠利「生活を向上させる使い方ですよね?」
アリー「……もういい。わかった。続けろ」
悠利「あれ?アリーさん?何だか凄く疲れてませんか?」
アリー「気にするな。色々と諦めただけだ」
悠利「諦めたって……」
アリー「お前の使い方がアレなのは解ったから、人前ではあんまり言うなよ」
悠利「はーい?」
アリー「疑問符付けるな!」
アリー「何人かでやってたのか」
悠利「皆でやると作業も捗りますし」
アリー「そういうもんか?」
悠利「一人でやる方が集中できる人もいますけど、皆でわいわいやるのが楽しいって人もいるかと」
アリー「それはまぁ、あるか。ところで、盛大にブーメランが刺さってるぞ」
悠利「え?」
アリー「だから、世話好きなお兄さんって、お前も大概だろうが」
悠利「僕は別に、お世話はしてないと思うんですが」
アリー「……無自覚か」
悠利「はぇ?」
アリー「ルークス、このアホを頼むな。色々と無自覚だから」
ルークス「キュピー!」
悠利「ルーちゃん何を張り切ってるの!?」
アリー「まぁ良い。とりあえず、何でお前が唐突に皆にお守りを配りだしたのかは理解した」
悠利「喜んでもらえるかなぁと思いまして」
アリー「基本的に、お前のお手製品を喜ばないやつはいないだろう」
悠利「皆、優しいんですよねー」
アリー「違う、そうじゃない……」
悠利「へ?」
悠利「皆が喜んでくれて良かったです。アリーさんも、出かけるときは気をつけてくださいね」
アリー「解ってる」
悠利「ところで、僕は男なので母親は無理だと思うんですけど」
アリー「そういう話じゃねぇよ」
悠利「?」
アリー「お前の行動が母親っぽいってだけだ」
悠利「そうかなぁ?」
悠利「それでは、今回はこの辺でおしまいです。ありがとうございました!」
アリー「もうしばらくは呼ぶなよ」
悠利「いえ、人がいなかったら呼びます」
アリー「ヲイ」
悠利「だってー、該当者いないときはリーダーを呼べって皆がー」
アリー「あいつら……!」
悠利「よろしくお願いします!」
アリー「あんまりよろしくされたくねぇから、該当者を作れ。良いな?」
悠利「はーい」
アリー「あと、お前は外出するときはちゃんと考えて行動するようにしろ」
悠利「はーい」
※以下、お小言が続くので割愛
(終)




