十八話 技の練習
俺とテンリは別れた後、第一演習場に来ていた。
「それじゃあ、始めるか」
「はい!」
俺たちの剣術の練習の仕方は一定回数片方が攻撃するもう片方が受け流すというのを交互にやって練習をするのだ。
しばらく打ち合った後、いったん休憩に入る。
「何をしてるんですか?ジル」
「ああ。これは新しい技を試してみようと思って」
休憩中に木剣を持っている俺に疑問を抱いたのかテンリが質問をしてきたので答える。
「どんな技なんですか」
「ちょっと、見てて。【火炎球】」
「な、何してるんですか!?」
俺が【火炎球】を木剣にぶつけようとしているのを見てテンリが慌てだす。
「大丈夫だよ」
木剣にぶつけた【火炎球】は木剣に纏わりつくが、少しすると弾けて消えてしまう。
「やっぱり、制御が難しいな」
「いったい何をしたんですか?」
理解できていないテンリが聞いてくる。
「これはね、魔法を制御して武器に纏わせるっていう技だよ」
「《付与》のスキルの習得を目指しているのですね」
「そういうこと」
その後は《付与》の習得を目指しての練習と剣術の練習を交互にやりながら放課後まで過ごした。
放課後となり俺たちはリオンさんと合流してから騎士団の寮へとやってきた。
「やっと来たな。さぁ、入ってくれ」
エドモンドさんが俺たちを寮の中のある部屋へと通してくれる。
部屋の中には二つのソファが一つの机を挟んで対面に置かれてある。
「そこに座ってくれ」
エドモンドさんが片方のソファに座ってから俺たちをもう片方のソファに座るよう促してきた。
「ごめん、ごめん。遅れちゃった」
俺たち三人が座り終わると一人の女性が部屋に入ってきた。
「遅いぞ、ミーナ。それで、どうだったんだ?」
「やっぱり、逃げ足が速くて逃げられちゃったよ」
「そうか。それでは、彼らに自己紹介しなさい」
エドモンドさんは女性と少し話してから自己紹介を促す。
「はーい。私は、ミーナ・マルキ・リンブルク。学園騎士団の副団長をしているよ~。ミーナって呼んでね」
「どうも、ジルベルト・ロワ・クロノスです」
「ジルベルト様の専属騎士をしています。テンリと言います」
「リオン・コント・ローレストです」
ミーナさんが自己紹介をしてきたので俺たちも自己紹介を返す。
「それじゃあ、順番に事情を聴いていこうか。まず、ジルから」
「僕は、人だかりができていてその中心でリオンさんがあの男の人に髪を引っ張られていたのでそれを助けに行っただけです」
「ありがとう。次はテンリさんの話を聞かしてもらおうか」
俺の説明を聞いた後は、テンリへと移り、そして、リオンさんへと移っていった。
「あれは私の兄です。私は兄に見つかってしまい、あのようなことになりました。すみませんでした。それに伴って私の過去について話したいと思います」
そうして、リオンさんは自分の過去を語りだした。
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