歓喜のダンジョン2階層
(な、なんだこれ!?)
ぼくとメイア様の計画では、まず100コモン程度のポイントと、当座の生活資金のクレジットを得るのが目的だった。
そういう意味では、階層の初到達の報酬だけでも充分に成功条件を満たしていたと言っていい。
だけど……
(……クエストカードのバグじゃないよね?)
ぼくはもう一度クエストカードを見た。
そこに表示されているのは、5000コモンと、そして……50万クレジット。
クエストカードの表示を切り替えると、どちらも『初級ダンジョンの2階層到達の最低レベル記録を更新』の報酬として表示されている。
「お、オースンさん! こっ! こっ! これっ!!」
「ひゅー。予想はしてたが大したもんだな」
ぼくが驚愕に固まっていると、オースンさんが数字を見てピューっと口笛を吹いた。
ええぇっ!? もしかしてメイア様とぼくが知らなかっただけで有名なことなの、これ!?
イニェリさんも覗き込んできて、バンバンと背中を叩く。
「すげえじゃねえか。トッププレイヤーでも一日じゃなかなか稼げない額だぜ!?」
クエストカードに表示されている内訳は、コモンが『更新したレベル×100コモン』。クレジットが同じく『更新したレベル×1万クレジット』。
そしてぼくのレベルは2。
つまり前に保持されていた最低レベルは……52!?
ここって初級ダンジョンって名前だよね!? こんなの絶対おかしいよ!?
「でもよかった! これならオースンさんにもたくさんクレジットが渡せそう……あいたっ!」
ぼくのオデコをデコピンで弾いたのはオースンさん。
「バーッカ。はじめから駆け出しから毟ろうなんざ思ってねーよ。メインプレイヤーになったんだろ? そいつでもう少しマシな装備を整えるんだな」
ここで、今まで内緒にしていたぼくの装備を紹介しよう。
腰に吊り下げた武器は、魔物に刺そうものならペキッと折れそうな果物ナイフ。
防具はなけなしの5万クレジット全額で購入した革の鎧!
地上界ならちょっとした防御力を誇るけど、迷宮都市のモンスター相手だとないよりマシって程度。
以上!
す、好き好んでこんな格好をしてるわけじゃないよ!?
ぜんぶ貧乏が悪いんや!
「そ、そっか! 50万クレジットあればまともな剣を……あいたぁっ!」
またしてもオースンさんのデコピンである。
何するのさ、と視線を向けると、オースンさんはやれやれと苦笑する。
「嬉しすぎて我を忘れてやがるな? 俺たちが目指す収穫場は4階層なんだぜ? ここから3層と4層到着でそれぞれクエストが設定されてるんだ」
うひぃ!
ってことは1万5千ポイント&150万クレジットぉぉぉっ!?
や ば い。
取らぬ狸の皮算用って言うけど、早くゲットしてメイア様に自慢しに帰りたーーーいっ!!
「こらこら。俺たちがいるとはいえ、ダンジョンの中にいるんだぞ。油断するな」
「はい。オースンさん!」
そのとき、曲がり角の向こう側で「ウォォォン」と鳴く声が聞こえた。このフロアでもっとも出現率の高いモンスター、シャドウビーストの声だ。
「ほら、話をすればなんとやらだ」
★☆
そこから4階層にたどりつくまでそう時間はかからなかった。
『コングラッチュレーション』
3度目となる光の粒子が舞いあがり、みんなが口々にお祝いしてくれる。震える手でカードを見ると、そこには確かに1万5千ポイントと150万クレジットがっ!
これ、夢じゃないよね!?
「よーし。あとは採取して帰るだけだな。者ども、油断するんじゃねえぞ!!」
「「「おおー!」」」
オースンさんの号令にぼくたちは意気揚々と腕を振り上げて答える。
早く帰って、メイア様に報告したいな!




