第17話 イロハ は にげだした! しかし まわりこまれて しまった!
「……で、あれはなんだったの?」
アリアスさんの美味しいご飯を頂いた後、寝る前に何故か私の部屋に集まって3人で適当に駄弁っていたところ、セリナが唐突に切り出した。
「え? なにが?」
聞き返す。いや、唐突過ぎるよセリナ。
「……無詠唱で使った魔法。それからカースドの呪いを抑え込んだこと」
「イロハ……」
だから言ったのに、とミシェルは呆れた視線をこちらに投げる。
あれは不可抗力だと思うのだけれど……。
「あ、あれは保留ってことで許してくれたんじゃ……」
「……イロハの正体については。でも、他は認めてない。さぁ、キリキリ答えて。どこであの魔法を身に着けたの? あの時カースドになにしたの?」
ぐいぐいとセリナが迫ってくる。物理的にも。
「ちょ、近いわよセリナッ!」
なおも距離を縮めてくるセリナを、ミシェルが抑え込む。助かった……。
「……ミシェルは聞いてるの? イロハの秘密」
「う……それは……」
セリナの指摘に、ミシェルは黙り込む。
同時にセリナの目は語っている。『……気になるでしょ?』と。
「で、でも、イロハからいつか話してくれれば……」
私に気を遣ってか、ミシェルは待ってくれている。
真面目なミシェルの事だ、あまり人の秘密を探るのはよくないとも思ってるのだろう。
「……甘い。相手はイロハなんだから、こっちから聞かないとどうせすぐ忘れる」
「そ、それは……」
失礼な! ミシェルもなんで否定してくれないの!?
2人の私への認識に驚愕している間に、セリナは追い込みをかける。
「……イロハの親友なら、ある程度の秘密は共有して然るべき」
「うっ……た、確かに……」
ちら、とミシェルがこちらを見る。
「う……」
嫌な予感がして後ずさる。が、すぐ後ろはベッド。逃げ場はない。
「……イロハ。さぁ、さっさと秘密にしてることを吐いて」
「そ、そうだね。親友だし、家族だし。秘密なんて、ダメだよね……?」
やばい、敵が増えた!
そうこうしている間に2人は私との距離を縮め、遂に捉えた。
「……さぁ、魔法の秘密と、カースドを抑え込んだ方法を教えて?」
「イロハ、私を助けてくれた直後はまっっったく、常識なんてなかったよね。それまで、どこで暮らしてたの?」
ぎゅっ、と左右の腕を捕まえられる。いや、抱きこまれている。これでは逃げられない。
「い、いやぁ、夜も遅いし、もう寝た方がいいんじゃないかなぁって……」
「大丈夫よ。お母さんもお父さんも一度寝たら起きない人だから、どれだけ騒いでも怒られることはないわ」
「……夜は長い」
ひいぃい! 2人ともなんか変なスイッチ入ってない!?
さぁ早く、と体を密着させてくる2人を力で振り払うのは簡単だ。魔法で眠らせてもいい。だけどそれは不義理な気がする。
「うぅ…………わかった、わかったから」
諦めてそう呟けば、ミシェルとセリナは勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
「……放してくれないの?」
一向に腕を解放してくれる気配のない2人に問いかける。
「それとこれとは別なの」
「……別」
「…………そですか」
正直暑いんだけど。と思いつつも不思議と嫌な気はしない。
私は苦笑しながらぽつりぽつりと語り始めた。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。




