表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボクがウサギで異世界転生  作者: 似星
1章:洞窟脱出編
7/30

【第五羽】

 ふと見ると1日で閲覧数が2倍になっておりました……恐れ多いことです。

 3000PVありがとうございます★ 勢い余って結局1日更新になりました(笑)

 どうも。あれから3日が経ちました。

 洞窟探索はあのお化けコウモリ――ケイブ・エッジバットというらしい。命名・人族――を食べてからかなり順調に進むようになった。

 理由はもちろん、苦労の末に手に入れた【超音波】と【音波感知】が大活躍したからだ。


 前世でメジャーだった洞窟をねぐらにするコウモリの大体は、全く見えないという程ではないにしろ視覚が退化してて、超音波と音波感知を利用したエコーロケーションという能力によって周囲の情報を得ている。

 この光の差し込まない暗い洞窟に巣食っているお化けコウモリも大体似たような生態だったみたい。ならばこちらが発する超音波でコウモリ達の超音波を乱してやるとどうなるか?

 あいつら、まるで何かの喜劇のように壁にぶつかったり天井に頭を打ちつたりして、ボトボト墜落していったんだ。


 こうなってしまえばあとは簡単、墜落して混乱してるコウモリに近づいて酸を浴びせつつ弱ったところをガブリとやるだけ。

 最初の辛勝が嘘のようなボーナスステージの出来上がりだ。あいつらボクの【美味しそう】にホイホイされてくるから探す必要すらないのだ。

 もちろんそいつらの結晶は美味しくいただきましたとも。食べると【超音波】シリーズの性能が良くなってさらに効率が上がるという正に幸せスパイラル。素晴らしい!


 あ、前世の野生コウモリは狂犬病を始めとしたヤバイ病原菌とか持ってることが多いから触るのも危ないし、食べるのはよほどじゃないならやめたほうがいいよ?たしか海外のどこかに食用のコウモリとか食べれる場所があるらしいからどうしても食べたいならそちらへどうぞ。


 一応、日本に生息するコウモリで狂犬病のウィルスを保菌しているのはほとんどいないって聞いたことはあるけど、他にどんな病気にかかるかわからないし用心に越したことはないよね。


 ボク?ボクはまぁ、すでに得体の知れない狼とか虫とか生で食べちゃってるから、正直今更って感じだし。

 それに――コウモリとやりあってから【抗菌】なんて技能が貰えたってことは、そういうこと(・・・・・・)なんだろうね。【適応進化】様、ありがとう!


 成果は戦闘だけに留まらず、脳内マップがより精巧にかつ立体的になった。

 自分の感覚を元に作成している地図――といっても視覚情報が機能してないのでモノクロの濃淡+サーモグラフィーの色で描かれたような感じ――なので読み方がわからなくて迷子になるなんてこともない。

 ついでにナビのサポート補正で一度覚えた地形は意図的に忘れようと思わない限り半永久に記憶されるのだ。

 本当にコウモリさんには足を向けて寝られませんよ。まぁ普通に食べるけど。弱肉強食な世界だしね。


 まぁ、洞窟探索が楽になったのは非常に喜ばしいことなんだけどさ……いい加減この洞窟長すぎやしませんかね!?

 最初の虫地獄編と合わせてもう8日目だよ。いい加減お日様の光と家族が恋しくてたまらないんだけど。

 冗談抜きでナビが話し相手になってくれてなかったらこの暗闇と孤独感に耐えられずに頭がイカれてそのまま孤独死してたと思う。ナビちゃんマジ天使状態です。


 『ちょっと複雑ですけれど、ありがとうございますマスター♪』


 ああそうだった。天使って言ったら天神側の使いか。侵略者に例えられたらそりゃあ複雑な気分になるだろう。軽率な例えを持ち出してごめんね。


 それはそれとして、このようにナビがボクの精神安定に凄まじい貢献をしてくれるからボクはこうしてへらへらしていられるのだ。

 ここ数日の間に脳内でナビの妄想イメージ映像まで流れるような心酔っぷりです。これが依存ってやつなのだろうか?


 『え?たまに流れてくるあの女の子のイメージって、マスターが想像された私の姿だったのでございますか?』


 ウワァーオッ。マイ脳内イメージが筒抜けでした!?……しかもナビさんご本人にですとッ!?

 これは恥ずかしい!埋まりたい!!むしろ死にたい!!!いっそ殺して!?!?


 ナビの声からイメージした女の子像は、そりゃあもう自分の好みをこれでもかと詰め込んだような所謂(いわゆる)"ボクが考えた最高の彼女像"みたいなことになっているのだ。

 今の状況は遠い過去、母親に黒歴史ノートを見られた上に事細かに赤ペン修正されていた時の3倍、いやさそれ以上の恥ずかしさだ。14歳病にも相応の学力って必要なんだぜ……!


 『あ、あのっ落ち着いてくださいマスター!えっと、あーしてこーして……えいっ』


 ふぉっ、お、落ち着いた……まだ微妙にへこんでるけど一応落ち着いた。

 あ~……ごめんねナビ。余計な手間かけさせたり勝手に君の姿を妄想してたり。気持ち悪いヤツだよな……?ホントごめ―――


 『そんなことはありません!』


 ―――へ?


 『私の意識は【神識の実】が初めて実った時から実と共に存在していました。実が生み出されてから何千万年という時を誰に見つかることもなく、ただ実っては朽ち果てていくことを繰り返してきました。

 実の中から感じるものは、この世界から生まれて、そして失われてゆくマゼトハーレの歴史とそこに刻まれる膨大な量の知識だけでございました。そんな誰も見つけてくれなかった私を、ずっと一人ぼっちだった私を初めてマスターが見つけ出してくださった時の喜びは今も色褪せません』


 ……


 『私を見つけてくださったマスターはとても愛らしい小さなプティスで、でも元は人間で、それも異世界から生まれ変わった人間で、世界の全てを知っているはずの私でさえも知らない知識がたくさん詰まった不思議な方でございます。

 可愛らしいマスターと共にいられるだけで私の心は満たされていきます。その小さな体で魔物と戦う姿は少し心配になりますが、その手助けができる事はとても誇らしいことです』


 …………


 『そんなマスターとお喋りしたり、マスターの世界の知識を共有させてもらったり、マスターと共にいることがとても楽しいのです。もっとマスターのことを知りたいと感じます。

 それに、神知の実の補助でありただ声しか持たない私に、こんな素敵な姿をイメージしていただいて凄く嬉しいと感じるのでございます。気持ち悪いだなんて思うわけがありません!

 ですから、出会ってくださってありがとうございます。マスター!』


 ……な、ナビ……


 『はい、マスター』


 うわああぁぁん!なびぃぃー!ありがとおおぉぉぉ!ボクの、ボクのほうこそ出会ってくれてありがとおおぉぉ!うわあぁぁぁん!!


 『えへへ……泣き虫さんなマスター、とっても可愛いのでございます♪』


 ボク達はずっと一緒だからなぁぁ!たとえ何があってもボク達二人は一緒なんだからなぁぁっ!


 『はい、私はマスターとずっと一緒でございます♪』




★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★




 『あの、どうでしょうか?どこか変なところはありませんか?』


 うん、完璧だ。ナビは最高に輝いてるよ。


 『はいっ、ありがとうございますマスター♪』


 今ナビはボクがイメージした姿を再現して、ボクの脳裏にその姿を現している。

 と言っても実際の人間サイズになっているわけじゃなく、ボクの視界の高さで全身が収まるくらいだ。

 サイズまで忠実に再現したら、多分すごく困ることになると思う。……主に目のやり場的な意味で。


 こほん。実際にそこにいるというわけじゃないんだけど、やっぱり自分以外の誰かがそばにいるというのはそれだけで安心感がある。それが自分の理想を体現した美少女ならなおさらハッピーだ。

 ナビは否定してくれたけど、ボク自身が女の子の姿を勝手にあれこれ想像してる奴を客観的に知覚できたら一歩以上引くと思う。同属嫌悪ってやつかは知らないが多分間違いなく引く。

 彼女はそんなボクを受け入れてくれたかけがえのない相棒なんだ。一生を懸けて大切にすると心に誓ってしまっても仕方ないはずだ。


 ちなみにそんな魂の相棒の姿は、ボクのイメージにナビの意見を取り入れて少々アレンジが加えられていたりする。


 初雪のような白い肌。その白を一層引き立てる黒を基調とした、清楚ながらも要所要所に匠のセンスの光る装飾が施されたエプロンドレス。(ナビの要望)

 少し少女のあどけなさが残る理想の通りかそれ以上に整った顔立ち。深く澄み渡るスカイブルーの瞳は、まるで空そのものを宝石にしたかのような美しさを湛えている。

 上質のシルクのような柔らかそうな長髪は後頭部でまとめられてふんわりとした印象のポニーテールに。その髪の色はナビのリクエスト通り、ボクの毛並みと同じロイヤルミルクティー色だ。

 さらにその頭頂部にはプティスのような長く愛らしい耳(うさみみ)が、機嫌がよさそうにゆらゆらと揺れている。

 そして耳の根元にはフリルと花飾りで意匠を凝らしたホワイトブリムが、耳を引き立てつつもしっかりとその存在を主張していた。


 『えへへ。マスターとお揃いでございますね♪』


 と、こめかみあたりから流れる長い髪を一房すくいあげながら嬉しそうな声音でナビは言う。

 自分好みの蕩けるような美声で自分の理想の姿をした女の子が、微笑みながらそんなことを言ってくれている場面を想像してみて欲しい。

 きっと今のボクと同じ心境になれること請け合いである。今のボクが人型の状態だったら、顔どころか耳まで真っ赤で見せられたものではないと思う。プティスでよかった!


 『あ、実はプティス形態になれたりもするのですよ』


 え?と思った時にはナビの変化は始まってた。彼女の全身を淡い光が包んで、だんだん形が変わっていく。

 ある程度小さくなった光がだんだん見慣れた小動物、ようするにプティスの形に整っていって、そして―――


 『きゅゆ~ん♪(じゃ~ん♪)


 ―――ドッキュウーンッ


 『きゅっきゅー?(マスター?)


 え、あ、う、あっ、あー、ナっナビはプティスになってもカワイイナー!ウンウン。


 『きゅっきゅゆきゅー♪(もうっ褒めすぎです♪)


 そ、それじゃあそろそろ出発しようか。名残惜しいけどナビも人型に戻ってねー。


 『きゅゆ(はぁい)……ふぅ、イメージを精巧に再現しすぎてしまったからか、プティスの状態では言葉が発せなくなってしまうようです。

 マスターにはちゃんと意図が伝わるようなので問題はないのでございますが』


 へ、へぇー、そんな制約あるんだ。別に喋る動物がいても不思議じゃないのにな。ファンタジーな世界だし。


 『この世界を創造した魔神が定めた(ルール)のひとつに"一部の例外を除き、高等言語を操るのは人型のみ"というものがありまして。

 創世初期の頃はそのような理は存在せず、人型以外の生き物も言語を用いることができたのです。しかし、少々問題が発生してしまったのでございます』


 問題……?動物が喋ることにどんな問題が?メルヘンな感じで素敵っぽいイメージがあるけど。魔界じゃメルヘン禁止ってこと?


 『えぇと……マスターの世界の言葉で表しますと"可愛さ余って憎さ100倍"という言葉が一番近い表現だと思われます。

 現在では言語を扱える非人型生命体は創世種にあたるドラゴン種や神獣のみとなっておりますね』


 ……えー、問題ってそれなんだ……なんか割とどうでもいい世界の裏側(タブー)を知ってしまった気がする。

 というかやっぱりドラゴンなんてファンタジー代表は存在するんだな。そっちにびっくりしたほうがよかったんだろうか?


 っと、せっかく行動を再開する方向になってたのにまた横道にそれるところだった。

 それじゃあ、改めてよろしくね。ボクの相棒さん。


 『はい、こちらこそ改めてよろしくお願いします。私のマスターさん』





 あ……あぶなかった……いや、ホント、予想外にも程があるだろ……


 なんで、なんでプティス形態のナビのほうをより魅力的に感じてしまったんだボクは!


 ボクがプティスだからか?プティスだからなのか?……いやいや、ボクは元人間だぞ。普通に人型の女の子が好きなはずなんだ!

 ってあれ?ナビは人型にもなれるから問題ないのか?もちろん人型のナビも大好きだ。理想の女の子と言っても過言じゃないどころか超越すらしてる。

 むしろ人型のナビもプティス型のナビもどちらも愛せるって素晴らしいことじゃないのか?……うん、考えてみれば幸せすぎて生きるのが辛いね!


 『……あの、マスター?出発なさらないのですか?』


 あ……こほん。危ない危ない、こんな考えがナビに聞こえちゃったら今度こそドン引きされてしまう。気を引き締めよう。

 さぁ、ナビとの絆が深まったことだし、さっさとこの辛気臭い洞窟を抜け出すとしようじゃないか。

 ナビにボクの自慢の弟妹達も紹介したいからね。可愛いもの好きの彼女のことだ、大いにはしゃいでくれるに違いない。




★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★




 ……え、えぇと、やっぱり今のマスターの発言は聞こえなかったことにしたほうが良いのでしょうか?……どきどき。



【基本情報】

 名前:なし 年齢:0歳(生後43日)

 種族:プティス(ローシス・プティス種) 性別:オス


【基本能力値】

 筋力:  2971(+2768)

 耐久:  3226(+3036)

 魔導:  4606(+4508)

 精神:  3827(+3680)

 器用:  3338(+3222)

 敏捷:  8869(+8096)

 感覚:  7781(+7360)

 幸運:531747(+765)


【特殊技能】

 もふもふ:Lv15(Lv3UP)

 かみつき:Lv12(Lv7UP)

 ひっかき:Lv7(Lv4UP)

 うさうさ拳法:Lv1

 酸精製:Lv10(Lv7UP)

 水鉄砲:Lv7(Lv6UP)

 超音波:Lv12(Lv11UP)


【特殊能力】

 美味しそう:Lv29(Lv6UP)

 雑食:Lv6(Lv2UP)

 体温調節:Lv5(Lv3UP)

 健脚:Lv3(Lv2UP)

 夜目:Lv6(Lv3UP)

 強聴覚:Lv8(Lv5UP)

 強嗅覚:Lv8(Lv5UP)

 熱源感知:Lv8(Lv5UP)

 音波感知:Lv12(Lv11UP)

 気配察知:Lv9(Lv5UP)

 抗菌:Lv12(Lv11UP)

 酸耐性:Lv10(Lv7UP)

 音波耐性:Lv12(Lv11UP)

 魅惑耐性:Lv1(New)

 魂核吸収:Lv4(Lv1UP)

 神の英知:Lv‐Ex

 適応進化:Lv‐Ex


3日間の狩り成果:ケイブ・エッジバット92匹+ワーム少々×14%

 主人公は案外涙もろかった!

 そして転生後の主人公の初恋のお相手はナビ(プティス)でしたとさ★

 ちゃんと人型の女の子も好きなのでちょっと特殊な性癖が増えただけとも言います。

 きっとウサギだからですね。仕方ないね!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ