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ボクがウサギで異世界転生  作者: 似星
1章:洞窟脱出編
5/30

【第三羽】

 累計1500PVありがとうございます★

 ついに1日更新とかやっちゃいました。反動が怖いです。

 しかも今回、「第1羽がちょっと長かったかなー」という勝手な反省を生かして、同じくらいの長さだった今回のお話を分割したので見た目だけなら1日2話連続更新です。本当に反動が怖いです……(笑)


 2016/1/12:【美味しそう】の効果はナビでも切れないという文章を追加しました。

 どうも、新人地底人(兎)になったプティスです。名前はまだ無い。

 大地の裂け目に落ちてから5日が経過し、心身共により大人に近づいた……気がする。

 「男子三日会わざれば刮目して見よ」なんてことわざはあるけど、プティス(ウサギ)だし。鏡ないし。


 そうそう、どうでもいいかもしれませんがね?ナビが言うにはこの世界、1日が地球で言う36時間にあたるらしいんです。

 そりゃ元地球人としては1日が長く感じるよね。12時間も伸びてるんだもん。むしろ何故言われるまで気づかなかったのだ。

 巣穴で食っちゃ寝してたからか?太陽が2個あるから1日の3分の2、つまり24時間も日が出ているからだろうか?そりゃ昼寝のひとつもしたくなるってもんだね。


 さらに1年は400日と区切りのいい数字らしく、この魔神の世界【マゼトハーレ】の1年は地球での600日以上。1年8ヶ月相当ときたもんだ。

 ただでさえウサギの身には世界は広いものなのに、さらに地球の1.6倍相当かぁ……。世界1週旅行とか楽しみになってきたね。やらないけど。


 さて、そんなことを考えて(現実逃避をして)いるボクがこの5日間、何をしていたかというと……その……



 虫 を 貪 っ て ま し た っ !



 ちょっと甘くてクリーミィで生の狼肉より全然食べれるわーとか考えちゃったボクって……

 あ、当然今のボクは調理なんてできないから狩りたてフレッシュを踊り食いです。もうやめて!ボクの現代っ子魂のライフポイントは最初からゼロよ!

 いやだってさ、考えてみれば元々ママプティスから授乳したり草食ったりしてたし。今更虫を食べるのが追加されたところで……ねぇ?


 でもね?食べたくて食べてたわけじゃないのよ?

 ボクだって前世ではやれば出来る子って言われてたからね。初日から意気揚々と横穴に突撃したんだよ?

 ……はい、真っ暗で何も見えませんでした。ウサギだし夜目は利くから大丈夫と思ってたんだけどね。

 夜目が利くとかそういう問題じゃなかった。もう一面の暗黒世界。ヒゲだけを頼りに何度も壁にぶつかりながら(から)くも横穴の入り口に戻ってこれた時はちょっと泣きそうになった。


 そのあとナビから『横穴に侵入してから30mしか進んでおりませんよ?』と言われてこっそり泣いた。当然のようにバレて悶えた声が聞こえてきた。


 うん、生まれてから30日近く穴倉生活してたから平気だと思ってたのよ。でも薄暗闇で平気だったのは家族がいて安全だったからなわけでして。

 その、真っ暗なまま戦えとか……無理じゃない?反響音が凄くて自慢の耳も絶対じゃないし、触覚は辛うじて使えるのヒゲくらいだし、まともに機能するの嗅覚くらいだよね。

 前世が嗅覚だけで戦えるほどの達人だった覚えはないので、こうして虫を食べてるわけです。


 ……え?話が繋がってない?いやいや実はそうでもないんですよ。はいナビさんご説明お願いします。


 『このアンダー・ワームは世界中の地下に存在します。地域によっては魔物と思われていないほどの最下級の中でも最弱の魔物で、基礎能力も軒並み普通の動物以下です。

 基本的に他の動物や魔物の死骸に群がり、体内で精製した酸を吐き出して肉を溶かしながら啜って食べます。単体としてはスライムのほうが遥かに上位の魔物です。

 弱く、脆く、小さいために魂核結晶も相応に小さく、さらに核となる部分さえ曖昧なので個体によって結晶の位置がバラバラでございます。

 そのため、最も効率のいい結晶の採取方法は直接食すことになります。いわゆる"踊り食い"というやつでございますね』


 ということでした。決して、断じて、好んで虫喰いやってるわけじゃないってことだ。ここ大事だ。テストに出るよ?

 元々草食動物で戦う術なんてほとんど持ってないボクがこんな場所で【魂核結晶】を得られるのはこいつくらいなものなのだ。


 でも、やっぱり最弱の結晶だからか吸収できる能力値も微々たるものでさ、数をこなさないと効果がない。

 というわけで5日もの間、落ちた場所を生活拠点にして地味にうじゃうじゃいることが判明したワームと恩木様の葉と水で食い繋いできたんだよ。


 ……ウサギなのに何故かパンとかスープが恋しくなってきた。やっぱり人間は贅沢して生きてきたんだねぇ。

 自分、前世では社会の底辺だと思ってたけど、それでも相当贅沢な生活を送っていたようだ。


 で、そんな涙ぐましい努力(?)の成果もあって、今の能力はこうなりました。



【基本情報】

 名前:なし 年齢:0歳(生後40日)

 種族:プティス(ローシス・プティス種) 性別:オス


【基本能力値】

 筋力:   172(+84)

 耐久:   155(+96)

 魔導:    51(+32)

 精神:   106(+45)

 器用:    82(+18)

 敏捷:   685(+28)

 感覚:   341(+132)

 幸運:530982(-37)


【特殊技能】

 もふもふ:Lv12(Lv1UP)

 かみつき:Lv4(Lv2UP)

 ひっかき:Lv3(Lv2UP)

 うさパンチ:Lv1(New)

 うさキック:Lv1(New)

 酸精製:Lv2(New)


【特殊能力】

 美味しそう:Lv22(Lv2UP)

 雑食:Lv4(New)

 体温調節:Lv2(New)

 健脚:Lv1

 夜目:Lv3(Lv2UP)

 強聴覚:Lv2(Lv1UP)

 強嗅覚:Lv2

 熱源感知:Lv2(New)

 気配察知:Lv2(Lv1UP)

 酸耐性:Lv3(New)

 魂結晶吸収:Lv3(Lv1UP)

 神の英知:Lv‐Ex

 適応進化:Lv-Ex





 5日使ってこれって……いや、たった5日で最下級とはいえ魔物並のステータスになったと考えるようにしようそうしよう。

 これでもようやくフィールド・ウォルフの半分くらいのステータスか。敏捷だけは勝ってるけど。

 何匹食べたか覚えてない――むしろ忘れたい。でも3桁は軽い――けど、表示されてないだけで小数点単位でも成長はしてるらしいことがわかったのは収穫、なのか?

 【美味しそう】のレベルが上がったのは極力見なかったことにしたい……まだ上がるのかアレ。


 まずワームを食べたことで【雑食】が生えた。【草食】と【肉食】が統合されたからか、最初からLv3だったかな。さらに虫を食べてたらレベルアップしたよ。

 食べる系の能力って意味があるのかと思ったら、今の環境だと結構有用だったんだよね。いや、そもそも無かったら消化・吸収できなくて死んでるんだけど。


 この【○食】ってスキル。食べたものを生命力なんかに還元する能力になるらしい。どおりで酷い生活の割に毛艶が悪くなってない気がすると思った。

 【雑食】スキルの何が素晴らしいって、食糞しなくて済むようになったことなんだよね。元人間として最後の一線を越えずに済んでよかった、本当によかった……

 食糞はウサギにとってやらなきゃ体調崩しちゃうくらい大切なものなんだけど、やらないで済むならやりたくないというのが人情というものである。


 さらに虫を食べ続けてたら【魂核吸収】のレベルが上がって吸収効率が若干上がった。ナビ曰く1レベル毎に2%ほどだと。ワーム相手じゃ誤差だ。

 ちなみにLv1で10%、1上昇する毎に2%効率が上がるらしいから現在の吸収効率は14%ってことだね。それでもワーム相手じゃ誤差だ。

 とはいえ、虫の能力が低すぎるから能力があまり増えてないだけで、Lv1での効率の1.4倍なんだからこれから強い魔物が狩れたら結構凄そうだよね。


 しかし、虫を食べてたのは別にステータスを上げるためというわけじゃないんだな、これが。

 そう、アンダーワームの能力、【酸精製】、【酸耐性】、【熱源感知】。特に【熱源感知】を覚えて強化するためだったのだ。

 この【熱源感知】というのは、効果を有効にすることで視界にサーモグラフィみたいなものが付加されて暗闇でも生き物を見つけやすくなった。


 それにしてもこいつ、最弱のクセにスキルは結構いいもの持ってるよね。でもナビが教えてくれなかったら絶対スルーしてたと思う。

 これで暗闇でも敵どころか道もわからないっていう状況は5日前に比べれば格段に減ったはずだ。とはいえ未だか弱い草食動物(現雑食)の身だから油断などできない。


 あと、【酸精製】は自分の体内で酸性の液体を精製して物を溶かしたり出来る能力っぽい。逆に【酸耐性】は自身を酸で溶けにくくする能力だね。

 前歯と爪しか武器がない現状では、きっと頼もしい戦力になってくれる……といいなぁ。


 【酸精製】はワームの結晶を食べることで得た能力なんだけど、実は【酸耐性】の取得は別口である。それは―――


 ―――夜に寝てるとですね、群がってくるんですよ。ワームが。そりゃあもうウジャウジャと……嗚呼、思い出したら鳥肌が。


 初日は寝てるところに群がられて一斉に酸を吐きかけられて死ぬかと思った。熱痛いというか、あの自分が溶ける感覚はかなりキツかった。

 【適応進化】で酷くなる前に【酸耐性】を取得できたから一部の毛と皮膚が軽く溶けるくらいで済んだんだけどさ。

 しばらく10円ハゲみたいになった部分がスースーして恥ずかしかったね。今は奴等を栄養素にしてだいぶ目立たなくなってきた……と思う。


 というか、多分【美味しそう】があるから群がってくるんだと思うんだけど、何故かあのナビさんでも【美味しそう】の効果は切れないらしい。呪いか何かかよ。


 まぁその所為もあって、現在はちゃんと警戒を解かないように目を開けたまま寝られるようになった。ウサギ特有の特技だね。まぁ、開けてても目は見えないんだけど、一応警戒レベルは上がるんだよ。

 とか言いながら、たまに完全に寝落ちて群がられるんだけどさ……【酸耐性】のおかげで起きたら虫まみれの汁まみれになるのが不快な程度で済むんだけど……一刻も早い脱出を望んでいる。

 改めて【美味しそう】がヤバイと理解できましたとさ。これワームじゃなかったら絶対もぐもぐされて死んでるよね?


 ちなみにナビは『このくらいなら死の危険はありませんので。むしろマスターの技能が伸びますから、頑張ってくださいね』と言って起こしてくれない。酷いや。


 それはさておきこの【酸精製】。何故か胃酸の強弱も自在にできるようになるらしく、無駄に消化効率がよくなりました。【酸耐性】で体への負担も問題ないぞ!

 つまり太りにくい体質になったってことだよ!すごくどうでもいいけど乙女の敵になっちゃったね!割と切実に狼に喰らい付く前に欲しかった!



 特殊技能欄のふざけた名前のパンチとキックは、食べるのに飽きてきたワーム相手に「うさパーンチ!」とか「うさキーック!」とかやって遊んでたらナビが


 『【うさパンチ】Lv1と【うさキック】Lv1を獲得しましたよ。マスター』


 とか言い出して、ステータスを確認したら本当に追加されてた。マジですかナビさんや。

 っていうか"うさ"でいいんだ。正式名称がプティスなんだったら【ぷてぃパンチ】とか【ぷてぃキック】にならないかね?


 『どうやら、マスターが開祖として名付けの判定がされたようです』


 どんな判定やねん。うさうさ拳法の開祖って名乗れるとか……なんかインチキ拳法家っぽくてイヤだわ。事実インチキ拳法なんだけどさ。


 『改名なさいますか?』


 いや、別にどうでもいいよ"うさ"でも"ぷてぃ"でも……


 『あ、【うさうさ拳法】Lv1を獲得しました。【うさパンチ】と【うさキック】が統合されたようでございます』


 ……もう、勘弁シテクダサイ。


 

 数ある技能で一番凄い――ヤバイとも言う――のは【適応進化】じゃなかろうか。割と適当な行動でスキルがポンポン増えるんだけど。

 【体温調節】も【適応進化】さんからいただきました。水浴びで凍えてたら生えてきた。正直凄く助かった。もう【適応進化】さんなしじゃ生きていけないわ!

 とりあえず絶対に手足を伸ばそうとか考えないようにしよう。ホッキョクウサギみたいになるのはなんか嫌だし。

 あいつら氷雪地帯を時速60kmで走れるような凄いやつらなんだけど、はたから見るとギャグにしか見えないんだよね。圧倒的コレジャナイ感が。


 『マスター、そろそろ横穴を越えてみることを検討してはいかがでしょうか?』


 お、そうか。ボクも成長してきたもんな。ワームむしゃむしゃしてただけだけど。

 横穴自体には入り口付近とはいえ毎日踏み込んでるし、ワームをはじめとしたグロい虫にしか出会ってないから大丈夫だと思う。

 問題は横穴の先がちゃんと存在するのかだよね。これだけ頑張って道がありませんでした!じゃ報われない。

 この穴の先が輝かしい未来に繋がっていることを祈って……いざ突貫!

 何より生で虫食って割と平然としている、元現代っ子のはずの主人公の適応性が一番怖いっていうお話(違)

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