【第二羽】
無謀にも【第四回ネット小説大賞】と【MFブックス&アリアンローズ新人賞】の応募に参加してみようと思い立ったが為にしばらくペースアップすることになりました!
代わりに睡眠時間がじわじわと嬲り殺しにされていく予定なので、誤字やら意味不明な文章が増える可能性が高まりマス……(ガクガク)
クサイ。マズイ。キボチワルイ………
どうも、異世界ウサギ――プティス――です。生肉貪るホラーウサギです。
見てください。体の9割が血みどろです。鮮血滴るホラーウサギです。
ついでに【魂核結晶】とやらを飲み込んだ瞬間、【神識の実】を食べた時ほどではないにせよ体が熱くなるわ頭が痛くなるわで散々です。
そんな不本意な頑張りを見せたボクの勇姿をご覧ください。マイステータス・オープン!
【基本情報】
名前:なし 年齢:0歳(生後35日)
種族:プティス(ローシス・プティス種) 性別:オス
【基本能力値】
筋力: 52(+35)
耐久: 37(+24)
魔導: 7(+7)
精神: 43(+16)
器用: 45(+21)
敏捷: 606(+56)
感覚: 171(+39)
幸運:531021(-3)
【特殊技能】
もふもふ:Lv11(Lv1UP)
かみつき:Lv2(New)
ひっかき:Lv1(New)
【特殊能力】
美味しそう:Lv20
草食:Lv2
肉食:Lv1(New)
健脚:Lv1
夜目:Lv1
強聴覚:Lv1
強嗅覚:Lv1(New)
気配察知:Lv1
魂核吸収:Lv1
神の英知:Lv‐Ex
適応進化:Lv-Ex
精神的に頑張った――その割には精神力の上昇は微妙だった――甲斐があり、能力値が格段に上がりました。筋力と耐久に至っては2倍以上です。素晴らしいね。……オエッ
【魂核吸収】Lv1で得られる基本能力は相手の基本能力の10%くらいなんだって。あの狼、肉体的にはボクの10倍以上強かったらしい。……グフッ
軽くスルーしてたけど【肉食】とか【草食】って技能なんだ……っていうかお肉、食べられるようになったんだ。【適応進化】すげぇ。……ウエッ
【かみつき】を覚えたら【かじる】と統合されたんだけど、噛む攻撃がより攻撃的になったってことかな?ひらがなの時点でそんな強そうに見えないけど。……ウプッ
【ひっかき】を覚えたら自分の意思で爪を伸ばしたり縮めたりできるようになりました。ふしぎふしぎ。これで解体が少し楽になるかな?……グエッ
……さっきから語尾が見苦しくてごめんね。実は覚えた【強嗅覚】のせいで血肉の生臭さを半端なく感じるようになってね。……ギボジワルイッ
『あ、特殊能力は私に言ってもらえれば効果を切り替えたりできますよ。
マスターご自身の技能ですので、意識することに慣れればマスターご自身で切り替えることもできるようにもなります』
……ナビさんや、そういうのは……もっと早く……伝えてほしかったな~……ばたんきゅうっ
『ま、マスタァーッ!?』
★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
……ふぅ、ようやく落ち着いてきた。
とにもかくにも、ナビに【強嗅覚】の効果を切ってもらい、いくつかある水溜りのひとつで体を洗った。
そりゃもう念入りに洗ったよ。水洗いして、土に体をこすりつけて、水洗いしてを血生臭さがマシになるまで繰り返したよ。
石鹸とかあればいいのにね。まぁプティスの前足じゃ使えないんだけど。
ここで今日のウサギ豆知識。ウサギはうまく体温調節ができない生き物なので、どうしてもお風呂に入れたい場合は体温と同じ38~40℃くらいのお湯で洗ってあげよう。
顔や耳はあまり濡らさないこと。そして湯冷めする前にしっかり乾かしてあげること。
よい子は間違ってもボクみたいに地下深くに湧いてる0℃近い冷水で水浴びなんかしちゃダメだぞ★…っくしゅ!
落ち着いたところでナビに色々と質問しないとね。と思って意識を向けてみたら
『マスターの水浴び、可愛い……一生懸命洗ってて可愛い……はぅ』
なんか悶えてた。うん、そりゃあね、生後30日の仔ウサギがごしごしちゃぷちゃぷしてたらそりゃあもう可愛いだろうさ。
動画に残して投稿したら素晴らしいAVに大量の発狂コメントがつくこと請け合いだろう。ボクだってそうする。
とはいえ、このままでは話が進まない。心を鬼にして現実に引き戻さないと。お~い、ナビさんやーい。
『かわ……はっ!?も、申し訳ありませんマスター!』
いいよいいよ。気持ちはよくわかるからね。それじゃあまた質問させてもらうよ。
まずはこの世界について詳しく教えてもらえるかな?
『はい、この世界【マゼトハーレ】は現在、主要な7つの大陸からなりたつ魔界の神――魔神――の一柱が創造した世界です。
この世界の生命体は魂の力が強い者ほど強力な能力を得るという、マスターの前世界と比べるとやや精神寄りの生態構造となっております』
魔神の世界?え、ここ魔界?というか神様とかいらっしゃるの?
『はい、存在しておりました。この世界は数ある魔界の中で最も平和だと言って差支えがない世界であり、自然豊かで比較的穏やかな世界でした。
創造主たる魔神は将来の魔神候補の誕生を見守るという名目で、魔物をはじめとした様々な生物を作り出し、その進化や繁栄の過程で誕生する人型種――魔人――達の生活や争いを眺めておりました』
魔神って肩書きの割にはかなりほのぼの日常派なのかね?
と思ったけど【魂核結晶】の件とか弱肉強食推奨にも程があったわ。曲がりなりにも魔界だけはあるね。
それにしても、魔人達の暮らす地ねぇ……つまり末端とはいえプティスも魔神の力の恩恵で生まれた由緒正しい生き物ってわけだ。
『え、ええと、その。プティスはどちらかと言いますと食料事情の弊害といいますか、基本的に狩りの獲物というカテゴリに分類される動物になってしまいます。あの、すいません』
……うん知ってた。じゃなきゃ【美味しそう】だなんてふざけた能力なんて持ってないだろうさ。ナビが謝る必要は微塵もないよ。
実際、前世の世界でもウサギはペットか食べ物かの二択みたいな感じだったしね。あ、毛皮っていう選択肢もあったね……ハハッ。
いちおう今のボクはウサ……プティスなので、ウサギ肉がどんな味わいなのかという無駄知識は割愛させていただきます。
『こほんっ、そして今からおよそ4500万年前。天界の神――天神――の一柱が率いる天界軍による侵攻があり、天神と魔神による壮絶な争いが始まりました。
突如攻め込んできた天神軍は、まずマゼトハーレを照らす太陽を占拠しました。その太陽を中核として世界から魔神の力を減少させるという馬鹿げた規模の大魔法を行使し、魔神軍に大打撃を与えたのです。
さらに捕らえた魔人達を神の使途――神人――として造り変えて手駒とし、魔神の戦力をどんどん弱体化させながら攻めたのでございます』
天界の神様の行動が完全に物語における悪役の手口なのはいかがなものか。いや、侵略者としては完璧と言ってもいいくらい「らしいやり方」だけどさ。
『とはいえ、腐ってもここは魔神自らが創造した世界。マゼトハーレの理を知り尽くした魔神は、自らの力を惜しむことなく行使して天界軍の侵攻を阻みました。
弱体化の影響が弱まる夜を中心にした活動をするよう指示を出し、一時的に太陽による弱体化をある程度防止する結界を編み出すなどして、侵攻してきた天神軍と互角以上の戦いを繰り広げました』
おお、逆境にめげず打てる最善を打つ魔神様カッコいいな。
ボクは優しい魔王様――こっちは魔神だけど――肯定派だから、もし応援するなら断然魔神サイドだね。
『焦れた天神は本物の太陽に比べると遥かに小さいのですが、マゼトハーレの夜を減らし、太陽に施した魔法を増幅するための第二の太陽を創造しました。
この小さな太陽はマゼトハーレの夜をさらに半分にし、地上の勢力図は大きく書き換わることになります。
その後、魔神達は大多数が光の届かない地下に拠点を移し、天神達に対抗し続けました。
最終的には天神と魔神、双方の直接的なぶつかり合いになり、様々な天変地異を巻き起こすほど争いは激化しました。
この時の戦いが原因で、魔神候補と目されていた強力な魔人とそれに匹敵する神人のほとんどが滅びました。
さらに1つの巨大な大陸が割れ、現在は7つの大陸と大小様々な島となっています』
Oh、4千万年以上前とはいえ、そんな凄いことになってる世界に転生しちゃったのか。リアル神話世界だね。
ファンタジーの王道だと魔神が攻め込む側だったりするんだけど。この世界では逆だったみたい。
『最終的に、この神同士の交戦は天神と魔神、双方相打ちという形で終息しました。
魔神は最後の力を振り絞って第2の太陽を奪い、それを核として天神を封印しました。太陽を奪ったことと術者が封印されたことによって弱体化魔法の出力は半分程度に抑えられました。
しかし、その時点で有力な魔人は数えるほどしか残っておらず、魔神自身も天神の封印で力を使い果たし、その肉体を消滅させてしまったのです』
自らを犠牲にして世界を守ったのか。
なんというか、規模がでかすぎて元小市民で現小動物のボクには「凄い」って小学生並の感想くらいしか出てこないな。
『双方のトップがいなくなり、大規模な抗争は鳴りを潜めました。ですが、今でも別の形で天神と魔神の争いは続いているのでございます』
え?リアルタイムで大神話戦争時代が継続中なの?
そんなのに巻き込まれたら"か弱いウサちゃん"のボクは一瞬で焼肉決定だな。焼肉かー。食べれる部分がどれだけ残るやら。……残らないだろうな、消し炭的な意味で。
早いところ、ここから脱出して家族と一緒に安住の地を探して旅とかしたほうがいいんだろうか?侵略者側の大将は辛うじてとはいえまだ生きてるらしいし。
『魔神配下の魔人達は地中の【魔窟】を各地に拡げて封印の力を増幅すると共に、新たな魔神となり世界から天神の痕跡を消そうと目論んでいます。
天神は4000万年を経た現在も封印を解くことは叶っていないようですが、多少地上に干渉する程度の力は蓄えたようです。
彼女は、魔神に至る可能性のある魔人を感知するとその魔人を【魔王】と称し、地上の眷属に神託を授けてその拠点を攻めさせました。
さらに将来性の高い神人に【勇者】の称号と加護を与えて送り出すことを繰り返して封印の力を削ごうとしたのでございます』
勇者と魔王までいるのか……さらにゲームチックになったなぁ。
どう足掻いてもプティスのボクにはまったく関係ない話なんだけどさ。どちらが勝つにせよボクの立場は変わらないだろうし。
争いの無い土地で家族と一緒にのんびり暮らしていきたいね。……あれから弟妹達は無事だろうか?心配だ。
『長年に及ぶ潰しあいの末、双方共に徐々に弱体化していきました。現在ではどちらの勢力も当時に比べてはるかに低い能力しか持っておりません。
長い歴史の果てに多くの魔法や技術も遺失していきました。現在の神人の末裔は自らを【人族】と名乗り魔人の末裔を【魔族】と呼称しています』
何千万年も続く戦争か、文明を潰したり潰されたりを繰り返せばそりゃ弱体化もしていくんだろうな。
今や魔窟を増やそうにも管理できる力のある魔人が少ない。魔窟を潰そうにも力のある人間が少ない。
いわゆる停滞期ってやつだ。これは別居冷戦からの離婚カウントダウンも待ったなしだね。……ごめん何の話だったっけ?
『と、ここまでが現在のマゼトハーレの成り立ちでございます。いかがでしたか?』
あ、うん。とっても為になったよ。ありがとうねナビ。
……記憶力が弱いから歴史系は苦手ジャンルなんだけど、ファンタジーになると楽しく聞けるのはなんでなんだろうね?
『それでは、次は今現在マスターが置かれている状況を整理いたしましょう。
現在マスターのいる位置はローシス大陸の南東方面のシトラ大平原……の岩場にできた大地の裂け目の底でございますね』
ここ、シトラ大平原っていうのか。気候が穏やかで近くに草原(僕が住んでたところも草原側っぽい)や森林なんかもあり、動物や最下級の魔物が豊富に分布しているらしい。
ボクはそんな大平原の中で生きる弱肉側の一匹ってわけだ。つい今しがた捕食する側に回ったっぽいけどね。
それでナビ、ここから出るにはどうしたらいいと思う?弟妹達も心配だからできれば早く脱出したいんだけど。
『上の裂け目を登って脱出するのは現在のマスターでは不可能でございます。
……そうですね、あちらに見える横穴を探索してみてはいかがでしょうか?
少なくともこの場に留まっているよりは脱出の可能性は高いと思われます』
まぁそうだよね。この場所には食料になりそうな草や水はあるものの、ここで兎生を全うするつもりは毛頭ない。
とはいえ、危なくないだろうか?魔物狼の能力をちょっと吸収できたものの、元はやたら美味しそうなだけの草食動物だ。
この地中を住処にしている生物(もしくは魔物)がボクより強く、殺されたり食べられたりする可能性は十分にありえる。
なんせ魔神が創った弱肉強食推奨な魔界だし。ああ、ボクの兎生がルナティックにハードだ。安全な生活が……したいです……
『マスターがうるうるしてて可愛い……こほんっ。
たしかに通常のプティスでは死を待つだけの絶望的な状況ですが、マスターには【魂核吸収】と【適応進化】があります。
しっかりと鍛えれば魔物どころか全盛期の魔人や神人すら簡単に手玉に取ることができる力が得られるでしょう。
当然、私も微力ながらご協力させていただきます』
おおそっか、難易度はルナティックだけどボクには【神識の実】による超絶バックアップがあるんだった。
もちろんナビも凄く頼りになるし、これならなんとかなるかもしれないな。うんきっと大丈夫だ。
『はい!私もマスターのために誠心誠意サポートさせていただきます!』
とても張り切った口調で宣言するナビ。こういう頑張り屋さんって感じがする子っていいよね。頼りにしてるよ、ナビ。
『それでは、早速あちらに転がっているフィールド・ウォルフの魂核結晶も回収してしまいましょう!』
……それは、水浴びをする前に言って欲しかったかなぁ……ぐへぇ。
まさかもう1度お風呂シーンが見たいからあえて伝えなかったのでは……ナビ、おぬし策士よのぅ。
『そ、そんなことは……ありません、よ?』
何故か冷や汗かいて目を合わせようとしない女の子を幻視した気がした。まぁ、ボクの妄想なんだけどさ。
【基本情報】
名前:なし 年齢:0歳(生後35日)
種族:プティス(ローシス・プティス種) 性別:オス
【基本能力値】
筋力: 84(+32)
耐久: 59(+22)
魔導: 19(+12)
精神: 61(+18)
器用: 64(+19)
敏捷: 657(+53)
感覚: 209(+38)
幸運:531019(-2)
【特殊技能】
もふもふ:Lv11
かみつき:Lv2
ひっかき:Lv2(Lv1UP)
【特殊能力】
美味しそう:Lv20
草食:Lv2
肉食:Lv2(Lv1UP)
健脚:Lv1
夜目:Lv1
強聴覚:Lv1
強嗅覚:Lv2(Lv1UP)
気配察知:Lv1
魂核吸収:Lv2(Lv1UP)
神の英知:Lv‐Ex
適応進化:Lv-Ex
狼のお肉はファンタジーでは割とポピュラーなお肉(美味しいとは言っていない)
天神って書くと凄い和風の神様っぽいですね。もうちょっと気の利いた呼称は無いものでしょうか?
初期案での侵略者は、信仰を失って流れてきた日本の神様だったものの、作者が日本の神様に明るくないのでボツになったとかいう経緯は……ありません!