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ボクがウサギで異世界転生  作者: 似星
3章:プティスの村興し編
27/30

【第二十五羽】

 ちょっと短いです。

 どうも、マティアスです。


 朝起きると領民が増えていました。不思議なこともあるものです。

 増えたことによる現在の領民の総数はなんと100羽。キリがいいものですね。まぁ、ボクも含めると101羽なんですが。



 そういえば【領地経営】Lv1の領民上限も100羽なんだよね。

 ここでいう上限というのは【領主の庇護】でステータスを与えられる上限のことらしく、別に100羽しか領地に入れないという意味じゃないみたい。そこはちょっと安心だ。


 どちらかといえば領地の範囲のほうが問題かもしれない。現在の範囲はなんと500㎡くらい。平均的なサイズのコンビニ約5件分相当の面積と言えばいいのかな?

 ボク達の体は小さいから人間だった頃に感じた時より何倍も広く感じるけど、既にその敷地内には100羽ものプティスが自由に走り回っている。


 プティス(うさぎ)の居住区として見れば狭くはないけど、【領主の庇護】が受けられる領域としては少々手狭な感じは否めない。

 レベルさえ上がっちゃえば広くなるんだろうけど、ナティが言うには純粋な時間の経過でしかレベルアップしないんだとか。真面目に領地経営しろってことだね。

 今のところ害になりそうなものは結界だけで事足りてるから地道にレベルが上がるまで待つとしよう。


 むしろ庇護の範囲よりも問題として浮上しているのは食糧問題だったりする。

 そう、領内で自然に生えている草だけじゃ圧倒的に足りないんだ。

 多分、今いる全員で普通に食べると1ヶ月もすれば領地から草がなくなってしまう。これは早急に対策せねばならんね。


 『というわけで、農業をしよう!』

 『農業……でございますか。何を育てる予定なのでしょうか?』

 『それが、残念ながらなんにも思いついてないんだ。農業知識もないしね』

 『……えぇと』


 困るよね、農業始めようとか言い出したクセに知識ゼロ発言されたら。ボクも困ってる。


 前世は人間だったけど、農業とはまったく無縁の生活を送ってきたからね。スーパーマーケットは偉大だった。

 とか言いつつ、あんまり野菜を買ってなかったのは内緒だ。だって男の一人暮らしだったからね。電子レンジは偉大だった。


 『ナティは農業の知識持ってる?』

 『はい。過去に行われた農法でしたら一通り存じております』


 やっぱりナティは頼りになる最高の相棒だ。


 『ですが……』

 『何か問題がある?』

 『はい、その……農法というものは何を育てるかによって変わってくるのでございます』

 『ああ、なるほど』


 たしかに、育てる植物によって環境や育て方は変わってくる。植物も生き物だから当然だね。

 プティスって何が好きなんだろう?やっぱりウサギだし、ニンジンとか?

 いや、そもそもニンジンってこの世界に存在するのか?というわけで早速ナティに聞いてみた。


 『ニンジンでございますか?……ふむふむ、形はキャルの実に似ておりますね』

 『キャルの実?』

 『はい、こんな感じの果実(・・)でございます』


 と言ってキャルの実の情報をボクに送ってくれるナティ。

 うん、確かに姿形はニンジンにそっくりだ…………大きな木に実ってぶら下がっていなければ。

 どうやらこの世界のニンジンは根菜ではないらしい。果実だからかは知らないけど、ニンジンより表面がつやつやしてる。


 『うん、いきなり植樹系は厳しいかな。まずボクの手が届かないし。野菜とか根菜で育てやすいものはあるかな?例えば――』


 と、ナティにプティスの食べ物について色々情報交換する。ボクの知識は主にウサギのなんだけど、自身がプティスだからか何となく合ってるとわかる。

 念のためナティに聞いて調べてもらったら大体似たような生態ということらしい。異世界で生態が似てるのは不思議だけど、似たような動物は他にもいるからそんなものなんだろう。


 それはともかくプティス(ウサギ)の食べ物に関してだ。とにかくデリケートな胃を持っているので野菜だからと一括りにして何でも食べさせていいわけじゃない。


 まず、転生系の小説なんかでよく活躍するジャガイモなどの芋類は残念ながらアウトだ。

 大量のデンプン質はプティス(ウサギ)の胃には合わないからね。最悪ショック死すらありえる食べ物なので真っ先に除外だ。


 ねぎ類も中毒を起こして死んでしまう危険性が高いので除外する。そもそもあの臭いがダメだからまず食べないと思う。


 あとは、水分だらけで栄養の少ない野菜も優先度が低い。少量食べる分には問題ないけど、大量に食べると下痢の原因になったりする。

 下痢を軽くみたりバカにする人もいると思うけど、プティス(ウサギ)の死因のひとつになりうる危険な症状なので注意しよう。


 油分を多く含んだ植物も――ウサギの胃は油分が苦手――あまり食べるのには向かない。

 ボクだけなら【雑食】とか【酸】のおかげで問題なく食べれるんだけど、主な消費元は領民である普通のプティス達だから気をつけなきゃね。



 逆にプティスにあった野菜はなんだろうと考える。

 ブロッコリー、セロリ、大根、大葉、なずな……とか、大体そんな感じだったはず。


 ウサギの好物の代名詞であるニンジンは糖分を取り過ぎないようにしないといけないので、あれはオヤツといったほうが近いかも。

 ほうれん草は栄養豊富だけど、ちょっと毒性もあるのでネットでは賛否両論だった。1日葉っぱ1枚くらいなら問題ないとか毒があるから絶対ダメとか。


 実はハーブ系の植物の多くはプティス(ウサギ)にとって、とても良い食べ物だったりする。

 匂いがキツいという理由で食べない子もいるけど、逆に好んで食べる子もいる。そこは趣味の範囲だね。


 それから……野草のカテゴリだと、たんぽぽが一番かな?花、茎、葉っぱと1本で3度美味しい食べ物だ。

 たんぽぽをもしゃもしゃしてる映像を見たことある人も多いんじゃないだろうか?ない?そっか。

 しかもそのまま食べられるだけでなく、乾燥させて長期保存するのにも適しているところが素晴らしいと思う。


 あれこれ言ったけど、プティス(ウサギ)に一番重要な食べ物は干草や牧草だ。これと水さえあれば問題ない……っていうのは流石に言い過ぎだけど、それくらい重要だ。

 食物繊維が豊富で、胃の中の毛などの異物を押し出して綺麗にしてくれたりする。食べ物兼胃薬といった具合だ。味も食感も悪くない。


 『――って感じなんだけど』

 『なるほど、食べられるからといって何でも食べていいわけではないのですね』

 『そうだね。まあ、野菜どころか肉も普通に食べてるボクが言ってもあんまり説得力ないんだけどさ』

 『ふふふっ、マティアス様は特別でございますから♪』


 ボクが特別という部分をどこか嬉しそうに言うナティ。なんだか照れる。


 『ふむふむ……マティアス様の言う性質に近い植物と野菜は存在します』

 『おぉ、ちゃんとあるんだ。ここら辺で手に入れられるものはあるかな?』

 『はい。まず【ラシュディア】という根菜をエフェルト族が食用に栽培しております』


 エルフが作った野菜かぁ。栽培してる根菜ってことは苗も簡単に手に入っちゃうかな?


 『それから、このシトラ大平原の一角に【レオーネの花】というマティアス様の言う"たんぽぽ"に近い花が分布しているようでございます』

 『あれ?草原は一通りまわったつもりだったけど、そんな花あったっけ?』

 『マティアス様は妹様の為に一生懸命でしたから、花を見る余裕がなかったのでしょう』


 ……なるほど、確かに。あの時は毛並みも確認せずにプティスを助けたりしてたくらいだもんね。


 『とりあえずその2つを育成候補ってことにしようか。あんまり一気に色んなものを育てるのは難しそうだし』

 『そうですね。それと、ひとつ問題があると思います』

 『問題?』


 なんだろう?あ、畑を耕す手段とかかな?でもプティスは巣穴作りの要領で穴掘りもできるからあんまり問題ない気もするけど……


 『その、苗や種を手に入れたとして、運搬手段はいかがしましょう?』

 『……あっ』


 ナティの言葉で無意識に自分の手……前足を見る。

 それはふわふわで小さく、持ったり掴んだりという行為に適しているようには見えない。

 最近進化の影響で肉きゅうがついたものの、それもあまり役に立ちそうもない。


 そうだった。ここにはプティスの皆とアウルのシュノワという、とても運搬に適した人材――人はいないけども――がいないんだった。


 『んー……、とりあえず運搬に関してはエルフの集落に行ってから考えよっか』

 『そうですね。あちらまで行けば何か思いつくかもしれませんし』


 とりあえず、考えてもどうしようもないという理由でこの問題は先送りすることになった。

 多分向こうに行ったら布か何かで体に括り付けてもらうとかすればいいんじゃないかな?


 そんな感じで少し行き当たりばったり気味ではあるものの、食糧確保の案はそれなりに順調に進んでいった。

 久しぶりにマティ君のウサギ講座が火を吹きました(笑)

 ウサギは割と色んなものを食べようとするクセにお腹が弱いんですよね……私もお腹が弱いほうなので少々親近感を覚えますw

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