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ボクがウサギで異世界転生  作者: 似星
3章:プティスの村興し編
26/30

【第二十四羽】

 また割と短い時間で投稿できました!

 やっぱり日常編は変に頭をひねらなくて言い分スラスラ書けますね。


 まぁ、ひねらなかった分はあとあと還ってくるんですけどね……フフフ(遠い目)

 ナティと日課である魔力操作の練習と、雑談してるうちに熱が入ってきた建築についての案の相談がひと段落してから巣穴を這い出る。

 ちなみに現在ナティの衣装はメイド服ではなく村娘っぽい素朴な感じの服だ。髪の毛は1本の太い三つ編みにして毛先のほうをリボンで括っている。


 先日、これからプティスの村?集落?まあ、そんな感じのものを作るからメイド服はちょっと合わないんじゃないかとぼんやり考えてたら翌朝こうなっていた。久々に思考が漏れてたらしい。


 とはいえ、服装こそ村娘風だけどそれを着ているのはボクの理想を体現したウサ耳美少女たるナティだ。野暮ったい印象など欠片もないどころか、その素朴さが彼女自身をより輝かせている。

 美少女は何を着ても美少女なんだなと再認識したところで、ずっと彼女を眺めていたい衝動をグッとこらえて意識を外に向ける。


 今日は見上げた空に雲ひとつなく、ぽかぽかとした陽気の一日だ。なんとも昼寝のし甲斐がありそうだね。

 先に外へと出ていたプティス達もひなたぼっこしたり、おいかけっこしたり、じゃれあったり、草をもぐもぐしたりと思い思いに過ごしているようだ。その中には弟妹達の姿もあって、ちゃんと馴染んでいるようでなによりだ。


 そんな無防備に外を出歩いて危険なんじゃないかと思うかもしれないけど、当然なんの対策もしていないわけがない。


 以前、エルフの集落で結界をいじった経験を活かして自分の領地全体を覆うように自前で結界を構築している。

 もちろん妹ちゃんを捜索に行く前に張ったので捜索中も領内のプティスは平穏無事に過ごしていた。

 いや、領民は領内ならボクのステータスを5%付与されるから、すでにそこらの魔物にも遅れを取らないだけの能力値になってるんだけど、戦い方を覚えたわけでもないし一応念のためにね。


 この結界は同族であるプティスとボクが認めた者以外の生物が進入しようとすると外に弾き飛ばす術式になっているので、本家のものよりちょっと攻撃的になっている。

 もう二度と、少なくとも自分の前で家族の命が奪われるなんて状況を許す気なんてないし、大体の侵入者は天敵だからこれでいいのだ。問題が起きたら起きた時に書き換えればいいし。


 実際、結界を張ってすぐに領地の上空を飛んでた野鳥が真上に弾かれて結界に延々とお手玉されるという事件が起こったので、現在は非攻撃的で毒を持たない生物は素通りできるようになった。

 もちろん蚊とかノミ、蜂なんかは問答無用でシャットアウトだ。感染症や疫病なんて流行らせたくないもんね。

 そう考えるとこの結界だけでそこらの人間の村より安全快適になってしまった気がする。柵すらないのに。


 そんな結界の効果もあって、目の前には実に微笑ましい光景が……あー、うん、確かに微笑ましい光景なんだけどさ、その数がおよそ100羽(・・・・・・・)ともなると……やっぱり微笑ましかったわ。

 いやいやいやいや、なんでこんな数になってるの?朝起きた時はボク達も含めて18羽だったよね?それがなにをどうしたら100羽になるの?


 前世では実家の祖母が動物嫌いだったり、就職後はペットを飼う生活の余裕が(過労的な意味で)なかったり、仕事を辞めたら辞めたでペットを飼えるほどの収入がなかったり。

 とまぁ、動物とふれあう機会がなかなか無い、あっても野良猫を見かけたり近所の犬に吼えられたりする程度の人生を送っていたわけで。

 それが目の前に可愛いプティス(うさぎ)が100羽ですよ、100羽。なんというか、圧倒……はされないわ。圧巻ではあるけど、すっごい癒されるわ。


 これには可愛いもの好きのナティさんもにっこり――


 『はうあぁ……プティスが、こんなにたくさんプティスが……。みんなのびのびしてて、あんなにじゃれあってて、もふもふしてて。ふああ、可愛い……可愛いですぅぅぅ』


 ――どころじゃなかった。メロメロだ。表情が蕩けきってる。うん、そんな君も可愛いよナティ。

 そりゃそうだ。ボク1人でもああ(・・)なんだから、それが100倍ともなれば桃源郷もかくやといったところだろう。


 まあ、そんなトリップ気味の相棒は脳内録画しながら置いておくとして。結局なんでこんな数になっているんだろう?

 という疑問が浮かんだものの、最近あったそれっぽい出来事はひとつしか浮かばなかった。恐らく妹ちゃんを捜索するために草原中を駆け回ったからなんじゃなかろうか。


 ノーブレス・プティスはプティスにとっては憧れの存在。プティス界のカリスマなのだ。

 そんなただでさえカリスマなプティスが魔物や肉食動物をバッタバッタとなぎ倒しながら疾風のごとく走っていくのを目撃してしまったら「この人(人?)について行くしかない!」となってしまうのは無理もない話だろう。


 ……なんかそう表現するとヤンキー漫画とかに出てくる暴走族のカリスマ族長みたいだね。

 一瞬、特攻服を着たプティスがバイクに跨って疾走している情景が脳裏に浮かぶ。

 なめ……いや、なんでもない。


 中でも獲物を追いかけている感じのヤツは見つけ次第もれなくぶっ飛ばしたし、追われるものの中にはプティスもいた。

 助けたプティスが妹ちゃんじゃないと確認できたらまたすぐに別の場所に向かってたけど、よく見たら助けたプティスと同じ毛並みの子もチラホラいるのがわかった。


 それにしても、朝はいなかったってことは今の今までこの数のプティスが大移動してきてたってことか。

 地下にいたとはいえ、ちょっとナティとのお喋りに集中――というか、ナティの美声に熱中――しすぎて気づかなかったのかな?反省しよう。


 んー、草原中で外敵をぶっ飛ばしたとはいえ全滅まではさせてはいないだろうし、こんな大量のプティスが移動していて襲われなかったんだろうか?

 そう思ってよく見たら、深くはないし血も止まってるけどまだ生々しい傷があるプティスを発見した。ということは襲われた?でも無事にここにたどり着いたんだ。だとしたらどうやって――


 「キュルルルゥ!」


 考え事をしていたらシュノワの鳴き声が響いてきた。彼女も日課からご帰還のようだ。いつもより帰ってくるのが遅かったけどちょっと遠出でもしてたのかな?


 「「「きゅゆゆー!」」」


 シュノワの帰還に気づいたプティス達がぴょんぴょん跳ねて喜びを表していた。うんうん、仲良きことは善きことかな……ってなんで?

 弟妹達やその仲間達も最初は猛禽類であるシュノワを警戒して距離を取ったというのに。すでに打ち解けた弟妹達はともかく、今やってきたばかりのプティス達も大歓迎といった感じだ。



 出会った当初、弟妹達に警戒された時のシュノワは、表情こそ変わらなかったけどちょっと顔が俯いてウサ羽もしゅんと垂れちゃってたのを思い出す。申し訳ないけどその様子は可愛かった。

 そんなシュノワのウサ羽の動きに反応したのか、警戒していたプティス達の目が彼女のウサ羽に集中しだして、さらには自分の耳をゆらゆら揺らしはじめたんだ。

 シュノワもそれに気がついたのか、垂れてたウサ羽がぴこっと立つ。それに合わせてプティス達の耳もぴこっと動く。


 「ぴこぴこ」

 「「「ぴこぴこ」」」


 「くいっくいっ」

 「「「くいっくいっ」」」


 そんな耳だけのやりとりを繰り返していくうちに、シュノワはだんだんと受け入れられはじめて……どころか何故か翌日には仲良くなっていた。ウサ耳コミュニケーション恐るべし。

 このやりとりがあったから、最近のシュノワはウサ羽を使ったコミュニケーションがお気に入りなのだ。



 と、先日の出来事を思い返していたらシュノワがボクの前にやってきた。


 「キュルルゥ」


 「きゅゆー」


 顔を擦り付けてくるシュノワに対して耳を使って頭をなでてやると、嬉しそうに喉を鳴らしながら目を細める。

 そんな親子のやりとりをしばらく堪能していると、シュノワは頭を撫でていた耳を嘴で軽く咥えてクイクイと引っ張る仕草をする。


 この仕草は彼女が日課をこなすようになってからいつもやってることなのでボクも慣れたものだ。そう、彼女の日課は狩りなのだ。

 シュノワは自分が丸呑みできないような獲物でもボクに頼めば食べやすくしてくれるのを知ってるから、たとえ自分より大きな獲物であっても平然と狩ってくることが多い。

 今回も大きめの獲物を狩って帰ってきたんだろうね。うちの子は狩りの天才なのかもしれない。と親バカ丸出しなことを考えながらシュノワに着いていく。


 そこには想像以上の光景が広がっていた。……いやあ、これは帰りが遅くなるわけだ。

 シュノワに連れられてやってきた場所には獲物が積みあげられて小山になっていた。フィールドウルフが10体か。いつもは多くても3体くらいだったので普段の3倍強だ。


 ふむ、なるほど。

 今日やってきたプティスの群れ、いつもより帰りが遅かったシュノワ、シュノワを怖がらないプティス達、最後に大量のフィールドウルフ。

 これらを結びつけるとあるひとつのことが浮かび上がる。つまりシュノワはフィールドウルフ達に追われているプティスの群れを救ったんだ。きっと狩りの最中に見つけたんだろう。

 プティス達よりここに戻るのが遅れたのは護衛を終えてから倒したウルフを運んでいたからだろうね。


 おー、偉いぞシュノワー!とすりすりなでなでしてやると、シュノワは誇らしげに胸を反らして嘴を大きく開き――その反らした頭を振り下ろし、ボクの頭をあぐあぐしだした。

 うん、なんで怒ってるのかよくわかんないけどごめんなさい。あと頭の毛を抜こうとするのは勘弁してください。すぐに生えてくるけど、もしもを考えると怖いんで。


 『むぅ……これが複雑な乙女心というやつか。そうだよな、シュノワも女の子だもんな』


 フィールドウルフを解体しながらつい口……じゃなくて思念に出す。


 『いえ、単にお腹が減っただけだと思いますよ?』


 『あ、ナティおかえり』


 『ただいま、って私はどこにもいっておりませんよ?』


 『いってたよ。うっとりとした表情で夢の世界あたりに』


 『はぅ……だ、だって、あたり一面可愛いものだらけでしたから、つい……』


 トリップから帰ってきたナティとそんな他愛のないやりとりをしながらフィールドウルフの山を解体していく。

 配当はシュノワが肉全般、ボクが調理の報酬として魂核結晶だ。ちなみに毛皮は保管、骨は魔法で乾燥させてから粉々にして肥料――骨粉(こっぷん)というやつだ――にしている。

 狼(しかも魔物)の骨粉が肥料になるのか疑問だけど、一度決めた領地はそう簡単に移動させられないみたいなのでプティスの食料を確保するために色々実験しないとね。一気に数も増えたし。

 折角だし今度エルフの人達に聞きに行ってみるのもいいかもしれないね。「なんで神獣様が農業?」みたいに思われるかもしれないけど。


 ……っと。よし全部解体できた。シュノワはちょっと大きめの肉塊が好きなので彼女好みのごろごろとした塊が積み上げられている。


 「クゥルルルルゥ!」


 それなりに距離の離れた場所でシュノワが鳴き声をあげる。今日はキャッチで食べたいみたいだ。

 進化してもなおフィリトゥリさんの影響は消えなかった。やっぱり恐ろしい子。


 折角なので投げる時は前足じゃなく魔法を使っている。傍目には肉を浮かせて飛ばしてるだけなんだけど、飛ばし方とか着弾点とか考えてると地味に制御の練習になるんだ。


 「きゅゆー!」


 と、一投目をシュノワが見事キャッチすると、近くに来ていたプティス達が歓声をあげた。

 その歓声を聞きつけたのか、徐々にギャラリー(プティス)達が増えてくる。

まあ、実際見世物だもんね。魔法で肉を投げるプティスにそれをキャッチする黒いウサ耳アウル……うん、人前でやったらおひねりが飛んできそうだ。


 「「「きゅきゅきゅー!!」」」


 次にシュノワがジャンピングキャッチを披露するとプティス達も大喜びでぴょんぴょん跳ねる。

 ボクもシュノワもノリの良い観客の反応に調子をよくして、1回目より2回目、2回目より3回目とどんどん難易度を上げていく。


 2つ3つと時間差で飛ばしてみたり、カーブさせてみたり、分裂魔球を放ってみたり。


 時間差を見切ってキャッチしたり、ダイビングキャッチしたり、片方の肉を翼で打ち上げて1つ目を飲み込んでからキャッチしたり。


 もう観客(プティス達)が投げてるほうかキャッチしているほうのどちらに歓声をあげているのかわからなくなるほどエスカレートしてきた頃――


 『あの、マティアス様もシュノちゃんも流石にちょっとはしゃぎ過ぎではありませんか?』


 『はい、ごめんなさい。調子に乗りすぎました!』


 ナティにやんわりと(たしな)められました。シュノワは念話が聞こえないので急に終わったことに小首を傾げていた。


 よいこのみんなは食べ物で魔球を投げたりして遊んじゃダメだぞ!

 ナティの衣装や髪型はわりとコロコロ変わる予定。思いつけば!


 101匹うさちゃん大行進 ―襲撃もあるよ!― ……いえ、実際101匹もやってきていませんが(笑)

 桃源郷にウサギっていうのは「鬼灯の冷徹」という漫画・アニメ作品で知ったイメージなんですけれど、実際はよく知りませんw


 なめられたら無効のなめねこ免許証。あれ欲しかったなぁ……


 生後約1週間ほどでマティ君を苦しめたフィールドウルフを軽々狩るシュノワ。恐るべきポテンシャルです。マティ君の(ステータス付与や進化の)おかげでもあるんですけどね!


 ※よい子のみんなは食べ物で遊ばないように。食事は感謝を込めてお行儀よく食べましょうね★

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