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ボクがウサギで異世界転生  作者: 似星
2章:森を駆け抜け帰宅編
23/30

【第二十一羽】

 仕事→寝る→仕事→寝る→以下エンドレスの生活をしてたらいつの間にか1週間以上経ってました。ワシも歳を取ったものぢゃ……


 そして遅くなった割に3000文字以下で申し訳ないです。

「ギジャアアアアァァァアアア!!!」


 獣化して大蛇へと姿を変えた蛇男が蛇のクセに吼え猛る。人型じゃないから喋れなくなったらしい。

 前世でのイタい若者を思い出させる喋り方で残念な感じだったからちょうど良い。今は今で気持ち悪いけど。


 それにしても……デカい。ボクが小さいっていうのもあるんだけど、シュノワの父親を襲った時よりさらに大きくなってる。

 ヨルムンなんたらとか、ミドガルズかんたらみたいな巨大蛇と対峙した物語の登場人物(ファンタジーキャラ)の気持ちがわかったかもしれない。


 正直言ってメチャクチャ怖い。ウサギ(プティス)としての本能が全力で逃げだしたいと訴えかけてくる。

 ……けど、自分より大きな敵と戦うのが当たり前になってるのも事実。今回はさらに輪をかけてデカいだけだ。


 『マティアス様。周囲に反応多数、こちらに集まってきます』


 そして、ヤツに操られている無数の眷族共(へびたち)がやってくる。

 シャーシャーと威嚇音を出しながら近づいてくる大小無数の蛇。トラウマになりそうだ。


 蛇男の持つ毒は大別すると神経毒だ。でもただの神経毒じゃない。

 この毒を注入された対象は、蛇男の意のままに操ることができるらしい。


 蛮族達がエルフの集落を襲い、劣勢でも撤退することもなく突撃し続けてたのもこの毒で命令されてたからだろう。

 幸か不幸か、今のところ同族以外は上手く操れないみたいで異種族には簡単な命令しかできないみたいだ。


 ボクが多少ダルくなったとはいえ操られなかったのは【毒耐性】のおかげだ。

 特殊だとはいえ毒であることに変わりはないということみたい。耐性を上げてなかったらヤバかった。


 この毒と無音で動ける能力がコイツの【特異能力】なんだろうね。

 ……と考えてる間にもどんどん周囲の蛇が増えていく……期待通りに(・・・・・)


 蛇男は体が大きくなって気も大きくなったのか、舌をチロチロ出して余裕の態度だ。あ、舌先がなくなったままだ。

 余裕の態度を崩さぬまま、ゆっくりとした動作でこの場から離れていく大蛇。逃げるわけじゃないから追わない。こっちもまだ動けないし。

 四方八方から眷族をけしかけて、その隙を突いて死角から襲い掛かるのがこいつの狩り方だからだ。


 そして双方(・・)の狙い通り、ボクは蛇の群れに完全包囲される。

 んー、これで全部かどうかは知らないけど、これだけいれば十分かな?


 じりじりと包囲網を縮めてくる蛇達に、身を隠してゆっくりと襲い掛かる隙を窺う巨大蛇。そして――

 ――突如地面から無数の槍が飛び出した。地面だけじゃない、周囲の木々の幹や枝からもだ。

 今のボクじゃ動きながら使えない広域の魔法。ボクだけじゃなく、お前達も森の木に包囲されてたんだよ。 


 木の根や幹、枝で出来た槍がどんどん蛇に襲い掛かり突き刺して行く。

 ボクの周囲を中心に、脳内マップから赤い点がザァーっと消えていくサマは見ていて気持ちが良い。

 なんというか、見た目は百舌の速贄(もずのはやにえ)みたいだ。数が異常だから悪魔の儀式みたいになってるけど。


 けど、今回は鳥の餌にはならない。このままにしておいたら動線や視界の邪魔になっちゃうからね。

 蛇を突き刺した木の槍が獲物をグルグルと巻き取って地面にもぐっていく。

 ボスの命令とはいえ森で散々好き勝手やったんだから、今度は森の養分になって貢献するがいいさ。


 蛇男が大蛇に変身している間に動かなかったのはこの魔法の準備のためだった。最初から標的は取り巻きだ。

 コイツだけを倒したあとに、森の中の無数の蛇を虱潰しにしていく時間の余裕なんてないけど、無数の蛇を放置するわけにもいかない。ならコイツに呼び出してもらって集めればいい。


 過去の情報にも蛮族達を仲間で囲んで狩る光景があったから利用させてもらった。事前知識の勝利だね。

 さっき囲まれた時とは違って、シュノワも最初からかなり上空に逃げてたからあの子に対する危険もない。まさに絶好のタイミングだったわけだ。


 全滅させたかどうかはわからないけど、生態系に喧嘩売ってるほどの数の蛇はいなくなったと思う。

 これ以上のアフターケアは家族の無事の確認と安全を確保してからだ。


 さて、サブ目標は大体達成した。これで心置きなくメイン目標の討伐ができる。ここからが本番だ。

 ここでボクが次に取る最善の一手は……この場から逃げることだ!レッツ脱兎!!


 『って、逃げちゃうのですか!?』


 ボクに配慮して姿を隠していたナティがついツッコミを入れてくる。うん、ナイスツッコミだ。


 『だって、あんな中途半端に開けた隠れやすい場所で奇襲を待ち構えるなんて自殺行為じゃん?』


 『いえ、じゃん?と申されましても……倒さなくてもよろしいのでございますか?』


 『もちろん倒す。じゃないと安眠できそうにないし。それに、アイツがボクを諦めることはもうないと思う。その証拠に――』


 背後からバキバキと枝をへし折るような音がついてくるからね。聞いての通り、蛇男の無音行動はまだ未熟なのか穴がある。

 普通の足音や攻撃音はしっかり消すのに対して大きな音の出る破砕音は消しきれてないんだ。それは身を持って体験済み、あれは痛かった……


 あいつは余裕を見せてるつもりだったんだろうけど、ボクを見る目が完全に血走ってたから。悪いけど全然余裕そうには見えなかったよ。

 特に肉が好きでもないエルフですら虜にした実績がある【美味しそう】なボクを、あの食いしん坊が諦められるわけがない。この状況は必然なのだ。

 それを利用してもうちょっとこっちが戦いやすいフィールドに移動しようというのが今回の逃走劇の趣旨なのだ。

 

 にしてもあの蛇、人型の時よりかなり速くなってるな。ボクも結構本気で飛ばしてるっていうのに、あれだけ障害物があるにも関わらずあまり引き離せない。

 正直言って、基本能力はあっちのほうが高い。アイツは欲望に忠実すぎる単純野郎だけど、なんだかんだ自力で人化できるほど長い年月を生き延びてきた奴だ。

 ボクが勝ってるのは辛うじて敏捷と感覚――幸運は除く――くらいだ。当たり前だけど体格差にも絶望的な開きがある。フェザー級VSヘビー級なんてレベルじゃない。


 そんなのがポンポン音を立てず奇襲を仕掛けてこれるようなフィールドで戦ったらほぼ確実にこっちの負けだ。

 さらに装甲は硬い鱗に覆われていて、内側も強靭かつ柔軟性のある筋肉の塊だ。今のボクの打撃や斬撃は人型相手以上に通らないと思ったほうがいい。

 そうなると、ボクに残された攻撃手段は魔法ってことになるんだけど、こっちも聴覚に頼らず全神経を奇襲に集中させながら強い魔法を準備する余裕なんてない。


 というわけで、ボクが魔法を使いやすい場所までとっとこ走るよ!

 シュノワには申し訳ないけど、安全になるまでもうしばらく空の上か離れた場所で待機していてもらおう。

 蛇男の取り巻きを全滅させました。これで完全な1対1です。


 蛇が舌をチロチロするのって匂いを舌で感じ取るための行動なんですね。

 調べるまで意味のない行動だと思っていました(笑)


 蛇の動画を探していたら大きな蛇が自分よりちょっと小さいくらいの蛇を襲って丸呑みしている動画も見つかりました。蛇の天敵はより大きな蛇も含まれるとか。

 人間を(金銭的な意味で)食い物にする人間並にデンジャラスな生き物ですね★

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