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ボクがウサギで異世界転生  作者: 似星
2章:森を駆け抜け帰宅編
15/30

【第十三羽】

日間10位&10万PVを達成しました!

1日で総PVが2倍になってる……ハッ!?ありがとうございます!

これからも【ボクがウサギで異世界転生】をよろしくお願いします★

 どうも、マティアスです。ようやく自分の名前を名乗ることができるようになりました。

 まぁ、名乗れるようになったついでに能力値が2倍になったんですけどね。

 今までですでに何十倍何百倍どころじゃない能力値になっているのでいまさら些細なことですよ。はっはっは。……ごめん、凄いびっくりした。


 『ノーブレス・プティス……プティスの特異種(ユニーク)でございますね』


 『ノーブレス……無呼吸?』


 『あの、高貴や尊き者(とうときもの)という意味でございます』


 どうやら尊くなってしまったらしい。ミルク感がアップしただけのことはある。

 尊い存在なのに【美味しそう】が急激にレベルアップするのは一体どういう了見なのか問い詰めたい。

 確かに新しく【特異能力】という枠が追加されて、【高貴なる血】やら【領地経営】やら【領主の庇護】といった、いわゆる貴族っぽいイメージの技能が増えてる。

 ナビ改め、ナティビアに詳しい説明を聞いてみると――



 【高貴なる血】

 直前の幸運を除く能力値が2倍に上昇する。

 その後は幸運を除く能力値の成長率が2倍になる。


 【領地経営】

 自身が定める領地を管理し、領民を招くことができるようになる。

 レベルが上がる毎に管理できる領地範囲と領民数の限界値が上昇する。


 【領主の号令】

 領主と領民の意思が伝わりやすくなる。

 レベルが上がる毎により複雑な意思が伝わるようになる。


 【領主の庇護】

 領主の周囲または領地内にいる領民に対して、領主の能力値の5%を付与する。

 また領主の親族に対しては領外であっても付与の対象となる。

 レベルが上がる毎に付与できる能力値の割合(パーセンテージ)が1%上昇する。



 ――なんかトンデモな技能だとわかった。ようするにプティスによる数の暴力ができるようになったってこと?そりゃ凄い、数は力ってやつを実践できるね!


 あれ?でもよくよく考えると――ボクみたいな例外は一旦脇に置いて、普通の(・・・)プティスの能力値や成長率が2倍になったところでたかが知れているし、そこから仲間に5%与えたところで雀の涙だよね?


 えっと、敏捷以外の能力値の平均値が30で【高貴なる血】で2倍になるから60でしょ?で、領民に【領主の庇護】で60から5%付与するから30+3……あっ

 ……ダメだ、これ以上考えちゃダメなやつだ……くっ涙が勝手に!


 あ、でも敏捷の平均は400なんだっけ?じゃあ【高貴なる血】で2倍になるから800として、そこから【領主の庇護】で800から5%だから、400+40……あー、その…………み、みんなの逃げ足がちょっと速くなるよ!やったね!


 『その、過去にノーブレス・プティスに進化した個体は、大半が進化して数日以内に群れごと肉食獣や魔物に襲われて――全滅しております……』


 だよね!?【美味しそう】のレベルが凄い上がるもんね!?進化トラップかよって感じだよね!?ごめん、ボクじゃフォローしきれないよ!


 くうっ、誰だよプティスにこんな進化枠設けたヤツ――って魔神様か!?

 こんな上げて落とすタイプの進化枠をしれっと作るなんて!鬼!悪魔!魔神様!


 『あの……何かすいません……』


 『え?いや、ナビは事実を告げてるだけだから謝る必要ないって』

 

 でも待てよ?【神識の実】によって異常な成長をはじめとした規格外の能力を持ってるボクにとっては――打って変わって凄まじい技能に早代わりだ!?



 まず【高貴なる血】の効果で全能力値が2万前後になってるし、以後の成長率2倍ってことは多分【魂核吸収】の効果も2倍――


 『ん?結晶を吸収する以外にも能力値を成長させる手段ってあるの?』


 『ございますよ?生き物ですので、鍛錬したり実戦を積むことで対応した能力値が成長することがあります』


 『そうなんだ。でもボクは吸収以外で能力値が上がった覚えがないんだけど』


 『えっと、その、プティスの成長率はかなり低く、敏捷以外は丸1日鍛錬するよりアンダーワームの結晶を1個吸収したほうがマシな程度なのです』


 理不尽か!?吸収での上がり幅が圧倒的すぎて気づいてないだけだったのか……これだけ上がった能力値の一体いくつが自力での成長なのか、考えたら負けだと思う。次行こう、次!


 【領主の庇護】は今のボクの能力値だと、領民の全能力が1000前後上昇する。ボクの領民になるだけで敏捷以外は大体平均値の33倍の恩恵ってことか。これはヤバイ。

 だって、ボクの近くか領地の中にさえいれば、ただのプティスが下級の魔物までなら善戦できるようになる。さらにボクが成長すればどんどん恩恵が強くなっていく。何かの伝説が始まりそうだ。ハハハ……


 【領主の号令】だってナティビアと協力して使えば、あまり頭の良くないボクでも的確な号令が掛けられるはずだ。ナティならかのチート軍師を超えられると信じてるよ!


 今までを思い返してみれば【美味しそう】による敵の強襲なんて今に始ったことじゃないし。そう考えると圧倒的にメリットしかないね。


 まぁ、今は森の中。ここで領地を築く気はないし領民もゼロだ。

 今機能しているのは【高貴なる血】だけということになるのかな?

 それでも十分すぎるくらいなんだけど。


 いや、【領主の庇護】の説明を見るに、家族だけは領外でも庇護対象になるみたいだ。つまり弟妹達は今しがた何の前触れもなく敏捷以外の能力値が33倍になったのか。30だったのが1030前後になるんだもんね。


 敏捷はボクの能力値の5%だから1200、プティスの平均値400前後にそれを足すと大体1600前後ってことになるのかな?じゃあ今の弟妹達はプティスの敏捷平均値の4倍で走れるってことだ。


 そのくらいあれば、そこらの最下級魔物程度ならまず逃げきれるはず。これで弟妹の安全度が上がったなら少しは安心できるのかな?



 『ようするに、ナビのおかげで弟妹の助けになれたってことだよね。いつもありがとう』


 『そんな、これはマスターが行動して進化した結果でございます。凄いのはマスターなのです』


 安心感からナティビアとのいちゃいちゃを再開することにした。

 どうせ寝る前だったし、ピロートークは家庭円満に繋がるもんね。って何の話だ。


 『それにしても、【ナティビア】と【マティアス】ってなんか響きが似てるよね』


 『そうですね。私もマスターから名前を聞いた時はびっくりしてしまいました』


 『流石は相棒。名前のセンスも相性ばっちりってわけだ』


 『くすくす。もう、なんですかそれ』


 他愛のない会話を繰り広げながらナティビアの表情がころころ変わるのを楽しむ。本当にいくら見ていたって飽きない。


 『それじゃあ対等に名前をつけあった記念に、お互い名前で呼んでみようか。ねっ、ナティビア』


 『えぇ!?その、はい……ま――マティ、アス……さま』


 あ、ヤバイ。これはヤバイ。顔を真っ赤にして瞳を潤ませながら名前を呼んでくれるナティビアが可愛すぎてヤバイ。

 エプロンドレスの裾を掴んでウサ耳を恥ずかしそうにぷるぷる震わせているのもポイントが高い。

 今すぐにでも抱きしめて頭を撫でてあげたくなるほどの圧倒的な庇護欲がボクに襲い掛かる!これが【領主の庇護】の能力か!?――んなわけはない。


 でも様付けはしなくていいんだけどなー。ガラでもないし。まぁ、表情を見るにナティビアのギリギリの落としどころだっただろうから、とりあえずこれで満足しておこう。


 最終的にはお互いのことを愛称で呼べるようになったらいいかな。今はボクだけ彼女を《ナティ》と呼ばせてもらおう。いつか《マティ》って呼んでもらえたら最高だね!



 『よし、それじゃあ最後に雛フクロウの名前を一緒に考えようか』


 『そうですね。私達だけ名前をつけあって、あの子だけそのままでは可哀想です』


 『んー、それじゃあどういうのがいいか――』


 その時、ボクの耳がかすかな音を察知した。当然ナビ……じゃなくて、ナティもボクと同じ情報を共有して気づいている。


 『複数の足音でございますね。音からして四足獣の(たぐい)ではございません……だんだんこちらに近づいてきます』


 飛んだり骨だったりする例外は居たけど、大体は四足獣や鳥や虫が相手だった。この森には二足歩行する生き物がいるってことか?

 ……まさか夜だからってまた骨がぞろぞろやって来たりしないよね?


 『ねぇナティ。この森には人間みたいに二足で歩く魔物とかっているの?』


 『な、ナティ……あぅ』


 照れてるナティは凄く可愛いけど、残念ながらちょっとそういう状況じゃない。非常に残念だけど。


 『……はっ!?こほんっ、魔物ではございませんが、この【ブエナ森林】内には、亜人族に獣人族――それから蛮族が存在します』


 『あれ?人型の生き物って魔族や人族だけじゃないんだ?』


 ここにきて初めての知識だ。魔人と神人の戦争のことしか聞かなかったからその二種しかいないのかと思ってた。


 『これまで詳しい説明はしておりませんでした。申し訳ございません』


 『謝る必要はないよ。つまり3種族のどれかがこっちに近づいてきてるってことでいいんだよね?』


 『おそらく、間違いないでしょう。足音からは森を生活圏とするほど歩くことに慣れている様子が窺えます』


 いくら耳が良くても足音の調子からどういう生き物かを推測する能力はボクにはない。まだまだ精進が足りないね。

 でも辛うじて足音から人数くらいは割り出せるかな?えっと、ひのふの……5人ってところかな?


 「ギェギェ、グゥイギィ」


 「キキィ」


 「グギェギェ、ギィギギ」


 近づいてくることによって足音の主達の声も拾えるようになった。日本語でお願いします。まぁ、この世界で日本語喋れるのボクとナティだけなんだろうけど。

 ただ口調からは何となく苛立ちのようなニュアンスを感じる気がする。


 『声から察するに亜人種と獣人種の可能性が消えました。残りは蛮族ですが、こちらは魔物と同様に扱って構いません』


 『え?二足歩行してるってことは人型でしょ?なのに魔人とかじゃなく魔物と同じ括りでいいの?』


 『天神に改造された魔人の中でも理性を失い、さらに体が奇形化してしまった者達は失敗作として廃棄され、野生に還った者達が時を経て世界中で魔物として認知された存在です』


 そっか、無理やり全く別人に改造するんだもんな。全員成功しなくても不思議じゃないか。敵対勢力が相手だからってえげつないことするな。


 『ちなみに天神の神託によって世界中の人族は蛮族を【邪悪なる魔族の生み出した眷属】として認識しております』


 『本当にえげつないなこの諸悪の根源!?』


 自分が蒔いた種を敵対勢力に責任転嫁するとか、相当腹黒いぞ自称太陽の女神。黒点かよ。


 『続けますね? 蛮族は進化することも出来ますが、一度理性を失った者達だからか進化しても人並みの理性は宿らず、凶暴性と破壊衝動のみが大きく膨れ上がっていく危険な種族なのです』


 うーん、そんなんじゃたとえ神様レベルまで進化できたとしても破壊神みたいなヤバイ神にしかならないんだろうな。


 『ですが一番の問題は、蛮族に類するものは基本的に繁殖力が異常であることです。元が奇形化した魔人であるためか、同族だけでなく異種族とでも交配が可能です。むしろ主に他種族の村や集落を襲って数を大きく増やしていくのです』


 あ、そりゃダメだ。個人的殲滅対象(ブラックリスト)行き決定だ。

 天神が壊した生態系の被害者だと考えるとちょっと同情もするけど、生かしたところで害にしかならないならやってしまって構わないだろう。


 ……どんどん考え方がこっちに染まっていくね。前世は無害で善良な一般市民(ライトオタ)だったはずなのに。まったく悔いてもないし改める気もないけど。


 『蛮族は半端な改造で廃棄されたからか、弱体化の対象になっており、太陽が沈んだ時間は能力値が上昇します』


 『つまり今の時間は油断できないってわけだね。ところでこいつらはどこかに向かってるのかな?流石にボクを狙ってきたわけじゃないだろうし』


 恐らくこの蛮族達は何か目的を持って動いている。たまたまボクがあいつ等の進行方向に拠点を構えてしまったんだろう。


 『少々お待ちください…………理由が判明しました。10日前、蛮族の拠点が襲撃された際に彼等は破れて敗走しました。その敗走した集団がこの近辺で再集結し、新たに力を蓄えるために行動を起こしたようです』


 『襲撃されて負けたって、一体誰がそんなことを?』


 『どうやら蛇を操る人型の個体だったようですね』


 蛇使い、人間か?人間なら冒険者だったり……ああいや、この世界には存在しないんだっけ?まぁ、そいつのことは今はいい。とりあえず目の前に迫る蛮族の対処からだ。


 『それで、あいつ等がどこに向かっているかはわかった?』


 『はい。彼等の進行方向の先には亜人――エフェルト族の集落が存在するようです』


 ナティのその言葉の直後――ボク達が捕捉した蛮族の後方で、爆発的に気配が増え始めた。


 感じる気配は5人10人なんてかわいいものじゃない。50をさらに超えてボクが気配だけじゃ数え切れなくなってもまだ増えていっている。

 地面を歩くヤツだけじゃない、木の上を渡っているのもかなりいるようだ。

 まてまて。こいつ等は敗残兵みたいなものじゃないのか?なんでこんな数がいるんだよ!?


 『マティアス様。これだけの数をお一人で相手するのは危険でございます。

 さらに夜は弱体化の効果もなくなり、能力値も上昇しているのでなおさらです。撤退を進言致します!』


 そりゃそうだ。流石にこの数をボクだけで相手になんて出来るわけがない。いや、一人だけならさておき、ボクには守るべき大事な存在(ナティと雛フクロウ)がいる。


 彼女達と見知らぬ亜人族なら迷わず彼女達を選択する。ボクは聖人君子でもなければ全てを助ける正義の味方でもない。手の届く範囲を守るので精一杯なんだ。



 ――でも


 『ねぇ、ナティ。このまま奴等が亜人達の集落に攻め込んでさ、もしも……その集落が攻め落とされたらどうなると思う?』


 『そうですね……。落とした集落を拠点に爆発的に数を増やし、最終的には【シトラ大平原】の周辺までその勢力を伸ばしていくと思われます』


 そんなの知っちゃったらさ――


 『そっか……。生まれ故郷が危ないなら、頑張らなきゃダメだよね』


 『私も、全力でマティアス様のサポートをさせていただきます』


 ――知らないフリなんて出来るほど神経太くないんだよ!バカ野郎!!

 新チート検証からのいちゃらぶ回です。

 説明会話が多く読みにくくなってしまい申し訳ありません。


 実はマティアス君はおひとよしです……いまさらでした(笑)

 次回、亜人族 VS 蛮族の抗争に首を突っ込みに行きます!


 雛フクロウちゃんのお名前募集を締め切りました。案を下さった皆様、ありがとうございました★


★本作の意味不明だったり不自然な点のご指摘・感想・適当に一言など、お気軽にお願いします★

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