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ボクがウサギで異世界転生  作者: 似星
2章:森を駆け抜け帰宅編
14/30

【第十二羽】

 ここから2章に入ります。冒頭から一部の方にはサービスシーンです(笑)


 これを執筆中に当作品が日刊ランキング30位にランクインしておりました!

 50000PV突破、ユニーク4000突破、ブックマーク500突破など、我が目を疑う事態が次々と……あわわわ、これ本当にうちの作品なんですよね?


 本当にありがとうございます!これからも【ボクがウサギで異世界転生】をよろしくお願いします★

 「きゅゆ」


 「ぱくっ はくはく――ごくんっ」


 「きゅゆゆ」


 「ぱくっ はくはく――ごくんっ」


 なんだろうね、この鳥の雛に餌を与えてる時の謎の幸福感。なんか癒される。

 ただいま雛フクロウにご飯を与えている最中であります。よっぽどお腹が空いていたのか、エンドレス肉消化マシーンと化している。


 本日のメニューはこちら。フォレスト・ブッシュボアの生肉(フレッシュミート)ひとくちサイコロ仕立てでございます。


 調理は簡単。まず襲い掛かってきたイノシシを返り討ちにします。

 次に、もはやちょっとした岩程度なら切り裂けるようになった爪を伸ばして首を落としましょう。


 あー、ここでワンポイントアドバイス。首を落とす際、結構勢いよく血が噴き出すケースがあるので頭から被らないよう気をつけましょう。……ボクみたいにならないように気をつけましょう。


 さらに動かなくなったイノシシに魔法をかけ、切り口から血を吐き出させて血抜き処理をします。ついでにこのタイミングで内臓も処理するといいでしょう。

 あとはざっと解体して、仕上げにひとくちサイズにバラすだけ。

 以上。プティス3分クッキングでした!


 いやぁ便利だね、魔法。獲物を解体したあとのしつこい汚れもパッと消せちゃうんだから。もう血みどろウサギだなんて言わせない!

 ……今度は首狩りウサギとか言われそうだなーとか無駄な心配はしないもん。普通にウサギがイノシシを解体処理しただけだもん。うん、よくあるよくある。


 それは置いておいて。もくもくと、むしろがつがつとイノシシ肉を食べていく雛フクロウ。

 イノシシの生肉は血抜きしてもそれなりに臭みがあるんだけど、雛フクロウには関係ないご様子。フクロウの嗅覚があまりよくないのもあるかもしれない。


 「ぴちちちっぴちちちちっ」


 ああはいはい、もっと食べたいのね。今あげますよー。


 「きゅゆっきゅ」


 「ぱくっ はくはく――ごくんっ」


 それにしてもこの子の食べっぷりは食欲旺盛の一言で片付けていいものかどうか……

 小ぶりのイノシシ――パッと見50kgくらい?――とはいえ、そろそろ全部なくなるんだけど。噛まずに丸呑みした肉はいったい君の体のどこに消えているのだね?


 ちなみに、「ぱくっ」で肉をくわえて、「はくはく」で口の中に移動させて、「ごくんっ」で飲み込んでいる。単純なのに何度見てても飽きない。不思議だね。


 ナビからもらったフォレスト・キングアウル情報によると。雛の時期が一番食べ盛りらしい。

 大人になるとだいぶ落ち着いてきて、逆に雛の頃より少食になる個体も結構いるんだとか。体の大きさは10倍以上になるのになんでだろう?やっぱり異世界は不思議に満ちている。



 で、さっきから一言も発していないボクの相棒はというと……まぁ、言わずもがなといった状態である。でもあえて言う。


 ナビはほっぺに両手を当てて、目をきらきらさせながらボク達のやりとりを静かに見守っていた。というか、なんかの極限状態を突破したらしく声にもならないっぽい。

 きっと今の彼女の心境を言葉にするとこうだ――


 『ああっ、一生懸命ご飯を食べてる雛ちゃんも、優しくご飯をあげてるマスターも可愛いです……はぅ、もう全体的に可愛すぎます!』


 ――とか多分そんな感じ。まぁ、まだ思考が漏れてた時にそんな感じのこと言ってたのを再現しただけなんだけど。

 でも、可愛いもの好きの彼女がこうなるのも仕方ないと思う。だって想像してみてほしい。


 生後2ヶ月にもならない仔ウサギが立ち上がった状態で両手を使って、生まれたばかりの黒い産毛が愛らしいフクロウの赤ちゃんにご飯を与え続けている光景だ。

 しかも雛フクロウは口のものがなくなると仔ウサギ(ボク)に擦り寄ってきて「もっとちょうだいっ」と鳴くのだ。

 もし前世だったら、「うさぎとふくろうの赤ちゃん ~これが奇跡? 幸運の仲良しペット大特集!~」みたいなタイトルで動物番組に取り上げられてる自信がある。光速で録画再生待ったなしだね。


 そんな光景を見せつけられ続けている彼女がこうなってしまうことを、誰が責められようか。いや責められまい。以上、フォロー終了。



 「けぷっ」


 イノシシ肉があらかた片付いたあたりでようやく満足したらしい。もはや定位置認定されたらしいボクの背中によじ登ってうとうとしはじめた。自由な子よの。


 もう中級に片足どころかどっぷり浸かった能力値になっているから、雛フクロウに乗られた程度まったく問題ないんだけどね。

 おかげで今までぴょんぴょん跳ねるように動くのが基本だったけど、背中をあまり揺らさないよう犬みたいにトコトコ歩くのにも慣れてきた。


 『至福の時間でした……こほんっ。マスターもすっかりま……パパでございますね♪』

 『おかえりナビ。今普通にママって言いかけたよね?ボクも間違ってないと思うからいいけどさ。おかしいな、ボクもまだ0歳児のはずなんだけど……』


 まぁ、中身は30手前のいい歳したお兄……おっさんだけど。

 あんまり大人っぽい性格じゃないなーとは自分でも思ってるんだけどね。


 というか、元人間だろうが大人だろうが野郎だろうが、誰かに甘えたくなる時くらいある。甘えるのは女性のほうが似合うのは否定しないけどね。

 ボクの場合は甘える相手がナビだと最高だと思うよ!……あー、これ以上ヒートアップしてナビに心の声が漏れる前に黙っておこう。


 『あ、マスター……』


 『え?な、なに?』


 もしかしてすでに手遅れ?と思ったら違ったみたい。よかった。


 『新しく【騎獣】Lv1を獲得しましたよ』


 『……あー、雛フクロウをおんぶするのには便利そうだネ』


 この小さな体で雛フクロウをおんぶできるのは短い間だろうけどネ。いや、多分大人サイズでも問題なく動けると思うけどさ。乗れさえすればね。

 大人になったこの子がその脚でボクに捕まったら、はたから見たら完全に獲物を捕獲したフクロウって感じになるんだろうなー。




★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★




 二つ目の太陽もだいぶ傾き、辺りは夕暮れの紅に染まっていた。そろそろ夜だ。

 森の中というのもあってだいぶ薄暗いんだけど、洞窟生活で明かりが一切無い状況にも慣れきってしまった感覚と、母フクロウからもらった【暗視】のおかげで視界はまったく問題ない。

 移動中に草木をむしゃむしゃしていたのでお腹は十分膨れている。十分どころか久しぶりの草の味にやめられないとまらないのスナック感覚になってたから、なんだかんだで満腹だ。


 その際、普通に毒草も食べてたらしく【毒耐性】なんてものを覚えたのと、それをあえて傍観していたナビから美味しい草や薬草や毒草の知識を流してもらったのは内緒だよ。


 食べてる最中に起きてきた雛フクロウもボクのマネをして草を口に入れてたけど、すぐにぺって吐き出した。

 どうやら草を食べるのはお気に召さなかったらしい。さすが肉食系。


 それはさておき、そろそろ寝床を確保しないと。

 強くなったとはいえボクも健全な動物だから、当然睡眠は必要だ。前世だったら割と高頻度で不健全なこと(徹夜)してたけど、それはそれ。

 今は徹夜してまでやりたいことなんてないし、寝不足状態で不意打ちなんて受けたくない。

 ただでさえ【美味しそう】パワーで色々と襲い掛かってくるのはわかってるんだから、わざわざ自分から不利な条件を作る必要もないよね。


 今日の道中だけで小型の猫科猛獣っぽい魔物をはじめ、合計17匹に襲われた。全部最下級程度の強さだったけど。【魂核結晶】とお肉はスタッフ一同美味しくいただきました。

 いや、【美味しそう】効果にしても多いと思うんだけど。別にボクを襲わなくても食べる物なんてそこらじゅうにあるだろうに。


 ようするに疲れたから寝たい。できれば雨風が凌げる場所があればいいけど、大自然の真っ只中でそんな贅沢は言えない。

 といった状況で活躍するのが魔法です。いい感じの大きさの木を見つけて魔法をかけるとあら不思議。立派なうろができました!


 うん、上出来上出来。中に入ってみると、ボクと雛フクロウが一緒に入ってもくつろげるくらいの広さがある。

 雛も気に入ったのか早速ボクに寄りかかって眠り始めた。可愛いやつめ。


 雛フクロウのお世話は終わったし、今日の本題に入ろう――名づけだ。

 移動中とか返り討ち中とか食事中に考える時間は結構あったので候補はいくつか浮かんだ。あとはそれを1つに絞るだけだ。


 『ナビはボクの名前考えてくれてた?』


 『はい、私なりに一生懸命考えてみました。ですが先にマスターからどうぞ』


 ボクが言いだしっぺだしね。この世界にあるかは知らないけど「言いだしっぺの法則」に則ってボクから先に彼女の名前を告げよう。

 ん~、どの名前がいいかなー……とか言いつつすでに第一案は決まってるんだけどね。


 『それじゃあボクからナビに送る名前だけど――』


 『……はい』


 ロイヤルミルクティ色の豊かな髪をポニーテールにしたウサ耳美少女が期待に満ちた瞳を向けてくる。

 ……うあ、土壇場になって緊張してきた。手汗かきそう。ウサギ(プティス)に汗腺はないから汗かかないけど。つい耳をぱたぱたしてしまう。

 すぅ~、はぁ~……よし、いけそうだ。あとは彼女が嫌そうな顔をしないことを祈ろう。いざ!


 『ボクが考えた君の名前は【ナティビア】だ。どうかな?』


 『………………』


 ……あれ?ダメだった?ナビって愛称も続けて使える良いネーミングだと思ったんだけ――


 『……ぐすっ』


 『え?』


 『あ、あり……あ゛りがとうございます。ま゛すたぁ……ぐしゅっ』


 ええ!?泣いた!?泣かせた!? そんなに嫌だった!?!?


 『あっ、ま、違うんです……マスターに、ぐすっ、名前をつけてもらった瞬間、し、幸せな感情が一気に溢れてきてしまって……つい……』


 感極まって泣いてしまったらしい。なにこの子、可愛すぎる。反則だ。


 『そっか、そんなに喜んでくれたならボクも嬉しいよ。嬉しいって感情は我慢なんてしなくていいんだからね』


 『ふぇっ……うええぇっ』


 きっとナビにも色々あるんだろう。今はそっとしておこう。




 『あの、お見苦しいところを見せてしまい申し訳ありませんでした……』


 『いやいや、ナビの涙が見苦しかったらこの世界のすべてが醜いものになっちゃうから』


 基本的に女性の涙は反則だ。それが美少女の涙ともなるとなおさらだ。さらに好きな女の子の涙ともなると、もう無敵なのだ。

 いくら強くなったとしてもこればっかりは一生勝てる気がしない。


 『あぅ。そ、それでは僭越ながら私がマスターの名前をつけさせていただきますね』


 『うん、実はずっと楽しみにしてたんだ。お願いするよ』


 『……い、いざとなると緊張しますね』


 ボクも直前で一気に緊張が高まってたからお互い様だよ。


 『マスターには【マティアス】という名前をお送りします。……い、いかがでしょうか?』


 『まてぃあす……うん、いいね。素敵な名前だ。凄い気に入った、ありがとうナビ!』


 『いえ、こちらこそありがとうございます。マスター』


 まてぃあす。マティアス。マティアスかぁ。

 ……うーん、んふふふふ。なんというか嬉しい気持ちが全身に染み渡っていく。確かにこれは――ってあれ?


 なんかボクの体光ってない?いきなり謎の発光現象?え?なにこれ『幸福ですうぅぅぅぅう!!』とか叫べばいいの?いやいや落ち着けボク。


 『これは……マスター、これは進化の際に起こる現象でございます』


 『進化?なんでこんな急に?』


 確かに体が徐々に作り変わっていくような感覚。でも全然不快感はないし逆に力が溢れてくる。


 『恐らくマスターが名付き(ネームド)になったため、進化が早まったのでしょう。

 魔物なども他人からつけられた称号が名付き(ネームド)という扱いになって進化することがございます』


 『へぇ。名前をもらうだけで進化できるなんてお得だね』


 『マスターはプティスの限界を遥かに超越しているので、今まで進化しなかったのが逆に不思議なくらいです』


 あーうん、自惚れじゃなければ今のボクってプティスの中じゃ最強の部類だよね。普通のプティスは敏捷以外の平均が30くらいだし。

 なんて考えていたら徐々に謎の光が収まってきた。一体どんな風に変わってるのかちょっとドキドキだ。


 早速ナティビアに頼んで脳裏にボクの姿を映してもらう。って――変わってねえぇぇぇ!?


 別段、体も大きくなってないし、毛並みもロイヤルミルクティのまま――ここは変わってなくて安心した――だ。あー、若干色ツヤが良くなってるような?

 強いて変化した部分を挙げるとしたら、首のまわりに他よりもふもふした白い毛が追加されたくらいだ。ミルク感アップ?


 いや、これ、進化って言えるのか?ああでも、さっきより力がみなぎってるのは間違いない。ステータスを確認してみよう。



【基本情報】

 名前:マティアス 年齢:0歳(生後46日)

 種族:ノーブレス・プティス種 性別:オス


【基本能力値】

 筋力: 18396(+9436)

 耐久: 18165(+9239)

 魔導: 16808(+8451)

 精神: 21525(+10966)

 器用: 20545(+10437)

 敏捷: 24382(+12385)

 感覚: 29660(+15043)

 幸運:537639(+5430)


【特殊技能】

 もふもふ:Lv23(Lv5UP)

 かみつき:Lv15(Lv2UP)

 ひっかき:Lv12(Lv3UP)

 うさうさ拳法:Lv7(Lv1UP)

 酸生成:Lv11

 水鉄砲:Lv7

 超音波:Lv12

 千里眼:Lv1

 解体:Lv3(Lv2UP)

 木登り:Lv2(New)


【特殊能力】

 美味しそう:Lv43(Lv10UP)

 雑食:Lv8(Lv2UP)

 騎獣:Lv1(New)

 魔導の理:Lv3

 体温調節:Lv6

 剛脚:Lv7

 暗視:Lv10

 強感覚:Lv11

 熱源感知:Lv9

 音波感知:Lv12

 気配察知:Lv12(Lv1UP)

 抗菌:Lv12

 毒耐性:Lv2(New)

 酸耐性:Lv11

 火炎耐性:Lv1

 音波耐性:Lv12

 魅惑耐性:Lv1

 苦痛耐性:Lv1

 自動再生:Lv1

 魂核吸収:Lv5

 神の英知:Lv‐Ex

 適応進化:Lv‐Ex


【特異能力】

 領地経営:Lv1(New)

 領主の号令:Lv1(New)

 領主の庇護:Lv1(New)

 高貴なる血:Lv-Ex(New)



 なんだこりゃああぁぁぁぁ!!?

 今のところ主要メンバーが全員0歳児です(笑)

 0歳で行動して問題ないというのは、ある意味人外転生系作品の特権ですね。


 主人公が覚えたこの世界の魔法は、よくあるRPGの魔法よりはディ○ニーちっくな方向性をイメージしてもらったほうが近いかもしれません。某ランプの魔人みたいなのとか。あそこまではっちゃけませんけどね(笑)


 主人公、はじめてのしんか。首まわりのもふもふはポ○モンのイー○イをイメージしていただいたら間違いないですw


 【ナティビア】にはギリシャ神話の知恵の女神アテナや、力や勇敢などを擬人化したゼウス側近の女神ビアーから参考にして、ナビに合わせて良い感じにいじった結果生まれた名前です。


 【マティアス】はわかりやすい。ナビがよく使っていたあの呼称をちょこっといじってみると……?

 当然これは作者の場合であって、ナビはいい加減に考えたわけではありません。彼女の知識を総動員して考えられた完全無欠の素晴らしい名前なのです!


 引き続き雛フクロウちゃんのお名前募集中です!何か案がございましたらお気軽に私の活動報告の募集枠までお願いします★

 執筆作業の関係もありますので、締め切りは2016年1月7日0時までとさせていただきます。


★本作の意味不明だったり不自然な点のご指摘・感想・適当に一言など、お気軽にお願いします★

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