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眠らない竜騎士  作者: わたあめ
アインの決断
4/4

旅立ち

弟の騎士団入団試験の日の朝。そして俺の、王族として迎える最後の朝。とりあえずは、いつも通り起床。そして、いつも通りに食事を済ませ、顔を洗う。そういえば弟、いらアモルを見ていない。俺は食器洗いをしていた宮殿専属家政婦にアモルの居場所を聞いた。すると、アモルはもう決闘場に行ったらしい。ついでに父様の居場所を聞くと、彼は早朝にラフキング帝国へ向かったとのことだ。

「なんだ、結局見送りは無しか。」

俺は一人寂しく、旅の準備をした。帰るとこのない永遠の旅の。


荷物を揃え宮殿の外にでた。すると外は異様に煙たかった。風も強い。風上には、決闘場があった。アモルもあそこで戦っているんだろう。するとふと昨日の事を思い出してしまった。嫌な思い出だ。こんな思い出はこの地に置いて行こう。新たな気持ちでここを出るんだ。そう決意しておれは宮殿を後に街の西側を目指す。街の西側は、住宅が並んでいて、朝一に干した洗濯物がずらりと並ぶ。生活感が溢れている。しかし、今日は人っ子一人いない。皆北東にある決闘場に言ったのだろう。入団試験は年に一度行われるこの街を代表する行事、それを見にいかない人はいない。

スタスタと歩を進め、俺は何の障害もなく街の西門に来た。

門には、門番が二人いた。すると一人が俺に声をかけた。

「これはこれはアイン様。聞きましたぞ、お一人で旅に出るとか。」

「お前はそのように聞いたのか?」

「はい、左様です。あぁ、それと、この指輪。この指輪にあなた様のワイバーンが封印されております。」

「ああ、ありがとう。」

きっと、俺が王族を辞める事は極秘なんだろう。まぁそのほうが俺は助かるが、見送りに門番が二人とは、元王族としてはとても悲しい。

俺はすぐさま指輪を右の中指にはめた。そして、ワイバーンを召喚し、またがる。

「では、お体にはお気をつけて!」

門番が声をかけてくれたが俺は、無視して飛んだ。一歩も街をでた事がない俺は街の外の景色に驚いた。それは、見渡す限り荒野だったのだ。

「街の外がこんなにも整備されてなかったとは。」

そして、果てしなく遠くに山がそびえ立っていた。それに目を凝らすとその山から左右に山が連なっていた。恐らくあれは母様の言っていたこの街を囲む山脈だろう。母様曰く、あの山脈は360度ルシメネスを囲っている。そして、西にそびえ立つ大きな山の麓には、小さな村があり、ドラゴン達と最も親しいと言われている民族が住んでいるらしい。

故郷である王都ルシメネスを背にした時、見てみたい光景があった。それは外から見たルシメネス。俺は、サッと後ろに振り返りその大きな街を見た。荒野の中にぽつんとある街だが、間違いなくおれの故郷。あそこに王族としてはもう二度と帰ってこないが、元住民として、戻ってきたい。そう願うと、また前を向く。

「さーて、まずはあの山の麓にある村にいくか。どれくらいかかるかわからないが、頼むぞワイバーン。」

おれはまっすぐ西へ西へと飛ぶ。ただ、ルシメネスにはすぐ戻ってきそうな気がしたのはなぜだろうか。

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