1-7 パーティーメンバー
昨日 年輪都市で新しい仕事を決めてから帰宅し、目覚めた今日は新学期だ。
今日はバイトも入ってるので始業式が終わったといってもそれほど時間はない。いつも通りの食パンとスクランブルエッグを食べて学校に向かう。
今日から志望進路毎にクラスが分かれることになるが対してこれまでの生活が変わることはない。進学を希望してるからできれば推薦も取りたいからなるべく成績上位を維持しつつ、無理にならない程度でバイトも入れると。よくよく考えると年輪都市って夜が結構早いんだよな。金が勿体無いから繁華街に繰り出すこともしてないし。こっちから問題集でも持ちこめれば向こうでも勉強時間を充てるんじゃね?なんて思ったけど無理か。心しか向こうにいけないんだから、あっちで問題集を解くために問題集そのものを記憶できるくらいなら勉強する必要ないもんな。
昨日(自分の感覚では一昨日)会った小野とはクラスが分かれてしまったが、一年生のときは合同授業もあったから新しいクラスといっても初対面の人間は少ない。まあバイトしてることもあってなかなか放課後につるむ同級生は少ないのだが。退屈な先生方のお話の後、自己紹介を経て帰宅。 そのままバイト時間までゆっくりしようと思っていたのだが図書館に足を向ける。
猟といえばウチの県では中国山地辺りじゃ犬を使って猪とか鹿を追い立てて銃で仕留めるってイメージがあるのだが、現実どころかTVでも猟を見たことがないのでどんなんものなのかと思って資料を探したのだが猟に関する本なんてものは学校の図書館にはなかった。
変わりにテーピングの本でトレッキング用の使用法を読んではみたがよくよく考えると向こうにテーピングなんてなかったな。せいぜいさらしで縛るくらいか。こっちでナイフとか買ったところで向こうには持ち込めないし持ち込めるのは知識だけだから何とか役に立つ情報でもって足を運んではみたものの無駄足に終わってしまった。
年輪都市でのことなのでkさんの掲示板で聞こうと思ったんだが、あっちのkさんはすでに育児を終えた年齢っていってたから狩人やってるはずもないと断念。
今日の夜に布団に入れば死の危険がある場所に向かうことになる。日本で暮らしている間は向こうはやはり別世界でのことって意識が強いのか恐怖は感じない。 これからのバイトで失敗しないかの方が気にかかるくらいだ。心は同じでも精神が宿る肉体で心のあり方や構え方が違うもんなんだろうか? 健全や精神は健全な体に宿る逆もまた然りってなもんか。たった数日だが俺と僕の性格は奇妙に混じりつつある感じはする。
日課にしてる日ごろの暗記科目の強化を適当に終えて一日を終える。今夜の初めての狩りを思いながら。
今日も硬いベッドでの目覚めだがそれほど体に疲れは痛みはなし。年輪都市の生活じゃ当たり前と言えばそれまでだがもうちょっと住環境を良くする努力をしたほうがいいかもなぁ。日本と違いすぎる。
10番出口近くの詰所に集合ってことなのでいつもよりも早い時間に出ないと間に合わない。アンジェたちとは顔を合わせることはなく先に赤髪亭を出る。
まず歪門を通って都市中央へ、底から10番地区最外辺へ通じる歪門をくぐって10番出口近くに出る。0、3、6、9番出口にあたる東西南北の大門に比べれば小さいがそれでも10メイトの幅はあるだろうか。アマザに言われた集合場所である10番門の都市内側に併設されている狩人詰所に入る。詰所といっても待機所のような部屋ではなく、屋根がある広場という感じ。都市が運営しているカウンターでは有料で狩りに使う荷物を預けたり、手入れを頼むことができる。詰所の横には都市の買取課の出張所が併設されていることもある。
広いのでアマザがどこにいるのか分からずに入口横で見渡したら声が聞こえてきた。
「相談せえへんかったんは悪かったけど別にええやん。テストして問題なかったわけやし。」
「しかしな、装備したお前の重さが100カイロを越えてるとでも?実際に持てるかどうかを試して決めるべきだったろう?折角獲物を仕留めても持って帰ることが出来なきゃ意味がないんだぞ?」
「もう~~煩いなぁ、もう決めたからええねん!ともかく今月中に成果上げんと来月から指輪を貸し出し許可出えへんねんから今日の仕事見て判断したらええやろ?」
「で、使えなかったらまた募集か?もう今月の残りを考えると毎日狩ってこないと指輪借り出しの成果に届かないぜ?」
年輪都市で他の都市の方言を聞くことは少ないからすぐに分かるな。目を向けると男女が言い争っている。その傍に腰を下ろした男が一人、話に参加せずに別の方向を向いている。
言い争っている男から視線を逸らしたアマザとこっちの目が合った。
「おっ来たんか!改めて今日からよろしゅうな?」
次いで男もこちらに顔を向けてくる。
「あんたがカイルか?アマザのパーティーメンバーのアッシャーという。すまんがポーターは急募だったんで未経験者でも構わないんだが話を聞くとアマザを担いで走っただけらしいな。二度も試すことになってすまんが外に出る前にもう一度試させてもらいたいんだが構わないだろうか?」
アマザと話していたアッシャーという男がそう言ってきた。アマザは自分のパーティーを駆け出しといっていたが話してる様子からすると感覚派のアマザに対する理知的なストッパー的な存在ってところのようだ。アマザって普段から奇行やってそうな気がするしこういう抑え役が必要だよな。
彼の荷物らしいところには上下二段で荷物が括れるようになった金属棒でできた背負子がある。
「いくらアマザが長身っていっても所詮女の体だからな。俺が背負子に乗って掴まってるからその状態で歩いてみてくれないか?」
狩人として生計を立てるなら売れる獲物を持ち帰られないと話しにならない。ただでさえ命の危険もある場所だ。重いからといって獲物を放り出して逃げ出されることを考えたらそれも当然か。アマザの方を見ると
「ごめんなぁ ウチが試して問題ない言ぅたんやけどコイツあったま硬ぅてなぁ。まあアンタの力やったら問題ないやろうから力見せたってぇな」
正直二回も試されるのはいい気はしないがここまで来てトラブルもごめんだ。首を窄めるジェスチャーをしたあとアッシャーと名乗った男に向き直る。
「力を見せろってんなら構わないよ。じゃそいつを背負ってあんたが背負子に乗っかった状態で歩けばいいのか?」
「ああ、俺は見てのとおり重いし、荷袋を背負った状態だったら100カイロ近くはあるだろう。これで普通に歩ける程度なら今回の平地が多い探索範囲なら問題ないだろう。」
なるほど指輪が貸し出されるまではより安全に獲物を持って帰られるように起伏の少ない場所の大森林で探索か。そりゃそうだな、俺だって雇われたからといって100カイロを背負って湿地で泥まみれになったり山道で余計に疲労したくはない。ポーターが荷を投げ出したら自分たちが背負って持って帰らなければならないわけだし。
俺は背負子を背負い、しゃがんだ状態からアッシャーは下の骨組みに足を乗せ、上の骨組みに掴まる。
「じゃ、いくぜぃ!」
折角こっちじゃ変化に富んだ生活を送ってみようと決心したんだ、リスクもあるけど使い惜しみをする必要もない。自らに気合を入れる意味で声を出し、いきなり重複化を使って勢いよく立ち上がる。
「で?これでアマザの時みたいに走ればいいのか?」
「それでも構わんが働く前から疲れても本末転倒だろう?あっちの壁まで行ってからここまで戻ってきてくれないか?」
アマザが試したほど長い距離じゃない。一丁脅かせるか? アマザを見るとニヤニヤしながらこっちを見て頷いてる。
「疲れないならいいわけだな? じゃしっかり掴まっててくれ。」
俺はそういうなり立ち上がった詰所の壁近くから反対の壁にに向かって全力で駆け出す。
「おおっ!?」
驚いたのかアッシャーが腰を落として踏ん張ったようで重心が後ろに掛かったが重複化した今の俺には大したことはない。
一気に壁まで走り、直前で土煙を上げながら踏ん張って反転。
「くっ!!」
アッシャーは反転のときの遠心力で鉄の棒から足を踏み外したようだがまだ掴まってるようだ。そのままアマザと座った男のいるところまで走って戻ったのだがここで重複化の影響が出た。
アマザのテストの時は歩いて減速したが、今回はアマザの手前まで近づいてしまっては歩いて減速できない。重複化は体積はそのままで重量は増す。筋力は増すので俺自身の運動機能は変わらないが重量が増す分、慣性が付くのである。学校に通うようになってから全く使っていなかったんですっかり失念していた。
「すまん、勢いがついて急に止まれない! 回転で勢いを殺すからしっかり掴まっててくれ!!」
そう言って体を捻って走ってきた勢いを詰所の土埃を巻き上げながら回転して殺す。
「ふっ!!」
息を吐く音が後ろから聞こえたと思ったら後ろに飛んでいくアッシャーが見えた。転げ落ちて怪我をさせてしまったと思ったが何故か一旦空中で落下速度が遅くなりゆっくり地面に着地。
「こら!ニミヤ 出発前やのに源力使いな!(使うなって方言ね) 」
「そう言うな。それこそ出発前に無駄にメンバーに怪我人が出るほうが不味いだろう?」
いつの間にかしゃがんでいた立ち上がって男がこっちを見ていた。
「大体なぁ あんたさっきも(覗きで)使うとったやろ!」
「いいじゃねぇか さっきのとコレくらいで狩りに支障が出るほど源力は減らねえよ。そもそもこの程度で源力が減るようじゃ狩りに異法なんて使えねえって。」
二人をおいてアッシャーの元に向かう。
「済まない。アマザの時と同じように走ってみたんだがあの時はかなりガッチリ抱き付かれていたから問題なかったんだがあんたは鉄の棒に足を置いてるってことを考えてなかった。」
素直に謝った方がいいだろう。慣性のことをすっかり忘れていたのは俺のミスだ。
「いやこっちこそ2度目の試しで手間を取らせたな。歩く程度でよかったんだが、まさかアマザを背負って「疾走」ってのが本当だとは思わなかった。」
そう言うアッシャーの手を取って立ち上がらせる。
しかし狩りに出る前の準備でパーティー毎に集まっての雑談が交わされていた詰所は静まり返り、80メイト四方くらいある詰所の全員がこちらに注目していた。
ところがアマザは気にせず会話を続けている。
「で?どうよ、ウチが見つけてきたポーターは!アッシャーの意見は?」
「ああ合格だな。アマザのことだからてっきりノリで好みの男が募集してきたから話を盛ってるんだと思っていたが身を持って体験することになるとはな。」
「失礼な!ウチはそんなに男好きとちゃうで。じゃあ、ポーターは彼で決定っちゅうことでええな。」
反対していたのはアッシャーだけだったようだ。これで初の狩人パーティーでの仕事に入るわけか。
「あなたたち『また』目立ってるわよ?悪目立ちなんてしてもいいことないんだから大人しく出発準備できないの?」
そういって詰所入口からこっちに向かってくる女性と縦にも横にもデカい男が一人。
「待っとったで。これで全員揃ったから自己紹介といこか。」
アマザを含めて女が2人に男が3人。この5人がアマザがリーダーを務める狩人パーティーの全員のようだ。
「アマザの募集でポーターとしてこちらのパーティーに加わることになったカイルといいます。ポーターとしても大森林での仕事もまったくの未経験ですがよろしくお願いします。」
敬語なんて柄じゃないが日本の俺の性分が出てるな。アマザは方言だし、さっきはアッシャーとだけの会話だったから敬語は出なかったが初対面の多人数相手のせいか?まぁ初対面で不遜な態度を取るよりはこっちの方がいいだろう。
アマザたち狩人たちは指を伸ばし手の甲をこっちに向けて名乗っていく。
「未経験!まあ誰でも初めてはあるわな。でも狩人は外に出る以上は自己責任だ。それを納得の上で仕事をしてくれればいいさ。俺はニミヤ。風の異法士だ。よろしくな。」
短髪でくせ毛のような髪をした垂れ目の男がそう名乗る。爪の表面には砂紋のような模様が付いている。風の異法士か。するとさっきのアッシャーの転倒を防いだのはこの人の力か。
「改めてアッシャーだ。水の異法士だ。」
淡い金髪は水の異法士だから元の金髪の色が薄くなったのか。それ以外にも目が細いな。高い身長にガッチリとした体躯を持っている。RPGで剣士としてブロードソードなんかを持ったら似合いそうだ。こちらに向けた指の爪の色は薄い水色をしている。さっきは気づかなかったがなにやらゴテゴテした手甲と具足をつけている。
「タミー 土の異法士よ。よろしくね、カイル。 」
アマザよりは背が低くて1メイト65モイトくらいか。長い髪を纏めており、髪の色が根元から毛先にかけてグラデーションのように色が変わっている。根元は黒だが髪先になるほど緑っぽい。手袋を取ってこちらに向けた手は白く、指の爪は土の異法士の特徴の茶色だがアマザに比べると黄土色っぽくて薄い。整った顔立ちで美人といえるが柔和というよりは凛々しいという感じのせいか気が強そうって印象を受ける。こっちに視線を向けられるとちょっと怖い。
「ホーヅ、水の異法士、だ。」
タミーと一緒に現れた大男が最後にそう名乗った。見上げる高さは2メイト近く、いやたぶん超えてる。 ともかくデカイ!横幅もある。太ってるんじゃなくて筋骨隆々でこんなのとガチンコで殴り合いをしたら殺されるんじゃないだろうか?手もデカくて無骨な感じ、その指にある爪は水色。
こんな体には優しそうで温和な顔があり、気は優しくて力持ちを地でいって欲しいところだが、なんと顔には額から鼻先までを仮面が覆っている。目元は見えるように穴が開いおり、材質は細かいメッシュの金網で作られてるようで蒸れないように作られていることは想像できるのだがその長身と相俟ってとてつもなく目立つ。くぐもった声ではないが区切るように話すのが印象に残る。
なんつーか俺がポーターなんてしなくてもこの人がポーターでいいんじゃないのか?
「ええっと…狩人の挨拶って手を見せるんですか?」
爪を見せる挨拶に戸惑った俺はニミヤと名乗った男に尋ねた。
「ああ、パーティー内で誰が何の能力を持ってるか分かるからな。髪の色は地毛の色からの変化で分かり難い場合もあるし。まぁお前さんも狩人の流儀ってことで手を見せてくれや」
「これでいいですか?」
そういってニミヤたちと同じように指を伸ばして手の甲を相手に向けて爪が見えるようにする。
「ん? 本当に一般人だったのか?」
そう声を出したのはアッシャー。
「さっきのでてっきり施術士かと思ったんだが普通の爪だな。自分の筋力だけでアレなのか…… まぁその若さで施術士ってことはありえんか。」
「まぁ一般人でもこんだけ力あるんやから問題ないやん。それよりカイル、さっきから敬語やけど普通にしゃべったらええで。」
どうやらアッシャーは俺が施術士でさっきの馬鹿力は源力による筋力増強を行ってると思っていたらしい。施術士は医術士としての技術の先にあるものなので普通は10代で取得できる技術ではない。
「アマザもアッシャーもカイルをポーターとして認めたんでしょう?じゃ私は異論はないから準備に掛からない?さっさと狩れればゆっくり休めるわよ?」
「よっしゃ、じゃサクっとカイルに説明してから今日のノルマ達成に向けて出かけよか!」
タミーの言葉に各々が狩りの準備をしてるようだが全くの未経験者の俺はどうすればいいんだろう?
「ほい、あんたはこっち!」
アマザは俺をひっぱり、持参の手荷物を確認し始めた。
「んー今のうちらは日帰りが鉄則やけど、万が一を考えて大森林に入るときは火を起こすもんは何か持っていった方がええで。あと弁当は強い匂いがする肉はNGな! 無駄になっても勿体無いから今回はこれを餌にしよか」
あふん ごめんマリアさん。詰めてくれたお弁当のお肉は獣の腹に入るそうです。
「あと虫除けヒル除けは必須やさかい、出る前にカウンターで買うとかなあかんで。ポケットに入れとくだけでええし、ヒルに噛まれて血が止まらんようになったら厄介なもんを引き寄せることもあるしな。止血用に使うサラシと包帯、は持っとるな。」
「あとはブーツやけどまぁ今回の探索ポイントやったらそれでもええか。時々ブーツのそこを突き破るとがったもんもあるから頑丈なやつを持っといた方がええけどな。万が一噛まれた場合も考えて手甲はしといた方がええけどピンキリやし、カウンターでのレンタル品でええと思うわ。それから……」
などなどテキパキと大森林に出る準備はアマザの指示で整っていく。
最後に背負子は荷を括らないときは嵩張らないように引き伸ばせるようになっていたようで高さが一段分にになるように短くしてから背負い、腰には鉈とナイフの中間のような刃物を差して終了。
「ほんまやったらポーターにもボウガン持ってもらうもんやけど全くの未経験者やろ?下手して味方に当たっても困るから無しで、昨日も言うたけど危ななったら守ったるから安心しぃ。あとはメンバーのカードを合わせて念話できるようにしたら出るで!」
俺には刃物を使って戦う方法はわからないので養父から譲りうけた馴染みのある棍を背負子に括り付ける。
全員の装備が終わったあとカードを実体化させて俺のカードと合わせて念話設定を行い、揃って10番門をくぐって大森林へ向かう記帳をパーティーメンバーのアマザが代表で行う。帰る予定から7日過ぎれば記帳を元に家族へ死亡届が送られる。源力に溶けてようが実体化させていようがカードの存在は都市のシステムで分かるため生死は分かるそうではあるが。
年輪都市と周り500メイトほどは草は生えてはいるが木は切り倒されて見通しはよい。同時に10番門から出た狩人たちもそれぞれの方向に歩き出していく。
「ホーヅ!今回獲れそうなものは?」
「この時期、都市の西方面の大森林にある湖に、一級巨竜が、来てる、らしい。水場から、一時的に、追われた巨獣が、たぶん、こっちに来てる。種類は、多種、昨日は、三級の、オオツノジカ、クロヅノイノシシ、なんかが、狩られてた。」
「ふーん、出来れば薬にもなるオオツノジカを狩りたいけど、大きさでゆうたらクロヅノの方が肉が高い分オイシイか。 まぁどっちと会うてもええから最初にエンカウントしたやつを全力で!」
「俺は巨獣の狩りは全くの初めてだけど作戦とかないのか?」
「一級や二級ならともかく、三級で食肉用の巨獣って狩る方法はパターン化されとるで? 学校じゃ狩人の仕事とかは専門職やから習わんけど昔っからのやり方っていわれとるな。まあこれから見せたるわ。」
そういって会話しているうちに大森林の手前まで来た。
大森林は文字通り大きい、そして深い。直径100kmに届く年輪都市を内包しており、年輪都市から離れて存在する衛星都市を超えて遥か先まで広がっている。その大森林の先は未だ捜索されておらず、他都市の資料から破棄された過去の年輪都市があった場所は大陸だったことは分かってるがのだが、どの大陸のどの位置なのかは不明なままだ。ひょっとするとこの大陸にはほかの都市はないのかも知れない。
大森林はただ一様に広がってるのではなく植生も様々、森林に覆われているため分かり難いが地形も様々、中には湿地帯があったり、丘陵地帯があったりもするそうだ。そしてそこに生える木もとてつもなく巨大なものが存在している。
それほど巨大な木が生えている場所は上からの日光が遮られ下草が高くならず、人なら十分に歩けるほど大木の間隔も広い。そんな空間に巨獣や巨獣と呼べないような一般動物も存在してる。
巨大になる生物の生育を可能にするこれまた巨大な草本類、果実類が存在している。これらはこの大森林でしか存在しない。果物は足が速いが他都市からの依頼が入ることがあるため、未成熟のものを狙って専門に狙う狩人もいるそうだ。
日本で育った知識だと大森林っていうとアマゾンみたいなジャングルを想像するのだが今回やってきた場所はそんな植生ではないみたいだ。
だがいくら見通しがいい大木地帯といっても槍や長剣は振り回すのに邪魔、長弓も各人が持って移動するには面倒なのでポーターが持ち運びする以外は手に持っての移動は少ない。大抵はそれほど嵩張らず 威力が強化されたボウガンと狩猟刀剣鉈が狩人の装備となるのは納得だ。
日本じゃまだ聞くには早いセミの声、奇声を上げているように聞こえる鳥類の鳴き声、大森林の植物から蒸散される水分による蒸し暑い空気と鼻を突く樹液が発酵した匂いが俺の前に漂っていた。
名前考えるの面倒くさいので
アマザ→尼崎市からもじって
ニミヤ→西宮市からもじって
アッシャー→芦屋市からもじって
ホーヅ→宝塚市からもじって
タミー→伊丹市からもじって
単位面倒くさいので
1メートル→1メイト
1センチメートル→1モイト