第九章:楽しいピクニック
昨晩の失態をシアンはどのように挽回するのか……
ピクニックへ行けるのか……
是非読んでみてくださいね!
翌朝アリシアとベアトリスは、
寄り添い合って寝ていたが……
いつも通りシアンが、
部屋に乱入し二人を起こす。
「起きてください!」
「アリシア様!」
アリシアを優しく起こすが……
「ババアは永眠してくださると、」
「大変助かります」
ベアトリスに対しては塩対応だ。
「相変わらずね」
「昨日情けなくアリシアに、」
「抱きついていたのは誰?」
「でしゅとか語彙力が、」
「赤ちゃんになってたわよ」
帝国諜報員は煽り散らす。
「黙れ!ババア!」
シアンは我を忘れて叫び散らす。
「シアンどうしたの?」
アリシアはまだ起きたばかりで、
頭が回っていない。
「実はアンガス湖にドラゴンが出たんです!」
シアンは深刻な表情で説明する。
「えー!?」
「本当?」
アリシアは一瞬で目が覚めたようだ。
目を輝かせている。
「はい」
「オマケに巣まで作っていました」
ここまでは淡々と説明していくが……
「可愛い子供ドラゴンも見れるのかな?」
「恐らく可能でしょう……」
「ただ……」
「赤邪竜アスタロテらしいのです……」
本題に入ってしまった。
「うあ……」
「最悪じゃない」
「神々と戦争を始めて、」
「何千年と生きてる怪物よ……」
「あなたでも倒せるの?」
ベアトリスはまだ寝ころがりながら、
ドン引きしている。
「わかりません」
「本気を出せば……」
「ガランド様もいますし……」
シアンは珍しく自信が無さそうだ。
よほど強いのだろう。
「そんな危険な状態になってる湖に……」
「ピクニックへ行くの?」
「どう考えても殺されに、」
「行くようなものだわ……」
「巣を作ってるって事は……」
「殺気立ってる可能性もあるわよ」
ベアトリスは冷静に状況をまとめていく。
「さすが諜報員ね!」
「冷静に事態を分析してくれて……」
「助かるわ!」
「あなた達の……」
「基準がおかしいだけよ!」
すっかりツッコミ担当となってしまった。
「そんなことないと思うけど……」
「ねえ、シアン?」
「はい、ババアは……」
「大げさに話す癖があると思われます」
「勘弁してちょうだい……」
「じゃあシアンだけ、」
「ドラゴンに食べられてきて?」
「お断りします」
「もう夫婦喧嘩はやめて!」
アリシアはなぜか怒り出す。
「申し訳ございません……」
「ごめんなさい……」
二人とも素直に謝罪する。
パワーバランスが決まってきた。
「でも気になるから行こう!」
「最悪シアンの転移魔法で、」
「逃げれば良いだけだし!」
アリシアは早くドラゴンを見たくて、
仕方が無い……
「かしこまりました」
「え!?」
「……あの流れで行くことになるの?」
ベアトリスは呆れ顔で、
ため息をついた。
「ババアは留守番していてください」
「崇高な計画を練って……」
「暇つぶしでもしていたらどうですか?」
「いちいちむかつくわね!」
「私もついていくわ!」
「そうですか……」
「命の保証はできません」
「最悪の場合は、あなたをドラゴンに……」
「投げつけて逃げます」
「酷いわね~」
「アリシア何か言ってよ」
「大丈夫よ」
「ベアは……」
「私が守るわ」
「フフ……」
「ありがとう」
ざまあという顔をしながら、
シアンを見つめる。
「ちっ……」
「余計な真似を……」
「朝ご飯を食べたらすぐに出発よ!」
「シアン持ってきてくれる?」
「かしこまりました」
「ベア、着替えるから……」
「……あ、わかったわ」
「私も着替えてくるわね」
二人は部屋を出て廊下を少し歩く。
「アリシア様に手を出してませんよね?」
シアンは昨晩の失態を忘れているのか……
「実は……」
「私の想いを全て打ち明けたわ」
「全部受け入れてくれたの」
「アリシアは味方よ」
「あなたも迷ってると……」
「奪われちゃうわね~」
ベアトリスは笑顔で煽り続ける。
まさに悪役令嬢だ。
「ドクダミおかゆでも食ってろ!」
「おお、恐ろしい~」
「引き裂かれそうだわ」
転移魔法でシアンは消えて、
一瞬で朝食を持って寝室に戻ってきた。
「アリシア様」
「入りますよ」
「はーい!」
「朝食をお持ちしました」
「ありがとう!」
「食べさせてくれる?」
「かしこまりました!」
廊下から盗み聞きしていたベアトリスは、
微笑む。
「単純ね……」
「お主も……」
「ピクニックに行くのか?」
ガランドは背後にいた。
「もちろんよ」
「一応警告しておくぞ」
「孫を巻き込もうとすれば……」
「わしはお主を切る……」
ガランドは妖刀をちらつかせる。
「そう……」
「正直言って……」
「ここでの暮らしが快適なの」
「無理に事態を、」
「ややこしくしたくないわ」
ベアトリスはガランドには本音で話す。
「ほう」
「嘘をついてはなさそうじゃな」
「もちろんよ」
「アリシアのためにね」
「信じて許してくれたから……」
「悲しい目には遭わせたくないわ」
「わしも同じ気持ちだ」
「ゆえに今日のピクニックでは……」
「親睦を深めよう」
少しだけ表情が緩んだ。
「ええ」
「ガランド」
ベアトリスは穏やかな笑顔を見せる。
「もしかして二人とも廊下にいる?」
アリシアは朝食を食べ終わったようだ。
「いるぞ!アリシア!」
ガランドは大きな声で返事をする。
「ええ、もう着替え終わったから!」
ベアトリスは魔法で着替えを完了させる。
「すぐに行くわ!」
アリシアとシアンが部屋から出てきた。
「お待たせ!」
「それじゃあ行きましょう!」
「アリシア様」
「護符をお持ちください」
「一撃だけなら、」
「どんな攻撃でも耐えられます」
シアンは念のために、
護符をアリシアに手渡す。
「ありがとう!」
「色が綺麗だわ!」
ブルーの宝石がはめこまれた、
ネックレスだった。
「歩いて約二時間ほどかかりますが……」
「大丈夫よ!」
「楽しく話してればすぐに着くわ!」
「かしこまりました」
「それでは出発しましょう!」
転移魔法で屋敷の入り口まで、
移動した四人。
シアンは扉を閉める。
「おじいちゃんお話しよう!」
「あの二人は仲良しだから……」
「背中を押してあげたいの!」
アリシアは勘違いをしている……
「おお!いいぞ!」
「たしかに……」
「シアンとベアトリスは……」
「妙に親密じゃな~」
ガランドは孫のノリに付き合う。
「そう思うでしょ!」
「喧嘩ばかりだけど……」
「絶対におかしいわ」
「陰では愛し合ってるのよ!」
「またアリシア様の変な妄想が……」
「はぁ……アリシア……」
「なんでこの執事と一緒なのよ……」
非常に楽しくなりそうなピクニックである。
こうして四人は二時間ほど歩き続けて、
アンガス湖付近に無事に到着した。
ついに次回は真のメインヒロインであるアスタロテが登場します!
ぜひ楽しみに待っていてくださいね!
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