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帰宅とこれから(5)

 「普段の企画を拡張したものねー。確かに他の部活の人にインタビューやらゲストとして呼んだりとかって手間がどうしてもかかっちゃうから。私も先生方に何度もそれ辞めて欲しいと頼んでるんだけど……。」

 ユウナ先輩がそう言うと、アリサは目を暗くさせて、こう言葉を言う。

 「じゃあ仕方ないですね、で、済みますか先輩。どこかの部活でも良いから連れて来る、そのことで毎回時間かかってるじゃないですか。私としては、部活連絡会みたいなのを作るように頼んだほうが良くないですか?」

 確かにそうではある。運動部とかの大会の記録とかの活動報告はどの道必要ではある。ただ、うちの部活がその活動報告や実態のために利用されているような気がすることにアリサは気づいたようだった。

 「生徒会経由で頼んでおくねー。じゃあ、いつもどおりの話題で行けばいいね。」

 ユウナ先輩はそう言うと、俺のことを見る。薄々察しはついたけどサブMC適正があると見込んだらしいけど実際どうなんだろうなぁとは思う。

 「じゃあ……いつもどおり……アンケート作っておくから。テーマはどうするの……?」

 今日演る予定だったテーマで良くないか?とマフユ先輩、何だったかよくわからないけれど、どうせGWに何やったかってことなんだろうけれど。そう思いながらこの会議を半ばぼーっとしながらもメモを取って忘れないようにしている。

 「今週のテーマをそのまんまだと、時期が過ぎちゃうのよね。アタシ的にはテーマを変えたほうが良いとは思うんだけど、まぁでも良いか週に一度だし、今日は急遽変わったけど余り時期も離れていない。」

 カナタ先輩はちょっと呆れた顔をしながらもまだ大丈夫だと思いながら語った。そりゃ来週含めればまだ一週間、今日がGW後初めての月曜日だ。だからまだ旬なのは間違いないし、そもそもテーマとリクエストでトークをするラジオで週1なのだからまだ間に合う。

 「じゃあ、それでやろう。ローテ的に俺がテーマを企画書に纏めておくから、こっからは各々の活動をしよう。」

 「ハル君はどうするの?作業を一通り説明して見学させる?それとも参加させる?」

 ショウ先輩が企画書を書くこととなり、各自作業となったところに本当にそう思うところにユウナ先輩がフォローを入れる。

 「じゃあ、私が一通り案内するので大丈夫ですよ。ユウナ先輩は集中して再来週分の企画を考えてくれれば。」

 アリサはこう言って俺を連れて、みんなの役割を具体的に紹介するらしい。俺の役割はどこになるのかと言えば恐らく企画担当。誰でも任せられると言えばそこになるのだが、広報担当とかが足りていないのではや取材担当が足りてないのではとか、色々感じてしまう。



 「まずはカナタ先輩。ヘッドホンつけてるから気づいてないかも。」

 カナタ先輩にアリサが背中をトントンと軽く叩く。本当に集中しているようで、まさに「音を聞く」「時間内に絞る」ということにすべてを注いでいるようだった。

 「あ、アリサ?ああ、ハルトの見学の説明を頼まれた口ね。アタシの役割は選曲と曲の編集。聖マリアンヌラジオは毎週10分しかないから、限られた時間でトークと曲を流すのをこなさくちゃいけないんだよね。」

 ああ、確かに少し短い。短い時間の中でみんなに受けるようにしていかないといけない。時間をかけないと面白い話はできないし、だからこうやって毎日数時間、選曲とかをしているのだと理解した。

 「確かにトークとリクエスト曲を取り上げるのは大変ですね……。しかも恐らくテーマのアンケートの内容を喋ることができるのは一人しか居ない……。」

 仕事量が多くて大変だ。ある程度選曲であったりアンケートを作ったり、それを数百人いる学校の中で数百枚すったり活動報告を作って生徒会に提出する。そんなことをしている上にゲスト回として、出たい人や大会の近い部活の主将を呼んで意気込みを聞いたりする時間はない。

 アリサが勇気を出した理由がわかる気がする。アリサが放送部に入部した理由がユウナ先輩と一緒に活動したいからだということは本人はいっていないけれど、病院で「尊敬している先輩」だと言っていた。

 そもそも今は5月で新入部員であるアリサはそこまで言い切るほどの力はないし、勇気がいることだ。ここの先輩はしっかり話を聞いてくれ、上下関係はあまり厳しくないようだ。

 「一つ聞きたいことがあるんですけど、いいですか?」

 「なに、ハルト?」

 「そう言えば、カナタ先輩ってなんで放送部に入部したんですか?」

 俺は唐突に気になったことを聞いた。正直、二人の間はかなり性格に差があるし、気質もマイペースなユウナ先輩と若干神経質な気があるような気がするカナタ先輩ではまるで違うから相性悪いのではと感じてしまう。

 「私は、いいえ私達は幼馴染。ユウナもマフユもショウくんも。小学校の時からずっといるから、気持ちが、考えが、本当に手を取るように分かる。」

 カナタ先輩は堂々という。「ずっといる」の説得力がとても凄いと感じる。本気で大切なものだと思っているのだと。俺にもそんな存在ができればいいのに、と感じたのだった。

星空カナタ

放送部の副部長、音楽担当。

放送部の先輩の中では常識人でユウナのマイペースさなどには呆れている。

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