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帰宅とこれから(1)

毎日投稿できなくてすみません!

本当にすみません!

 「久遠ハルトさん、起きてください。」

 俺はナースにそう言われると、目を覚ました。ナースさんは笑顔であった。退院するのか、悪いことではなさそうだが、でも不安に苛まれる。魔法災害に巻き込まれて死ぬんじゃないか、これから生きていけるのか、ずっとここにいる間、考えていた。

 「すみません、俺退院するんですか?」

 「そうですね~、突然決まったことですが、体調もだいぶ安定しているし、精神面も新しい生活に慣れていけばなんとか持つだろうと言う判断みたいです。」

 ナースさんに言われたことをなんとか咀嚼して飲み込んだ俺は、赤羽さんから三日前にもらった服やスマホと行った荷物をまとめて病室から出る。すると……

 「おはよー、ハルト。」

 むっちゃ眠気を隠せていないアリサの姿があった。今までのパジャマ姿だったときとあまり変わらない気怠げな感じのパーカー、外に出る感じの服装ではあるけどあまり眠れて無さそうな感じがすごいする。


 「あんまり寝れてないのか?」

 「正直あんまり寝れてないんだよね。ずっと、考え事しててね」

 あーやっぱり俺と同じ状態だった。まぁアリサのことはあまり知らないからこっから深められたらと思いながら廊下を歩く。


 エレベーターに入るとピーピーとスマホがなる。俺のかアリサのか分からなかったが、音がなんかの曲だったからそれで気づく。どうやら女の子の歌だった。

 「あ、赤羽さん。いま丁度病院出るところです。入口の近くで。あ、わかりました。」

 どうやら赤羽さんからの電話だったようだ。

 「そういえばさっき流れた曲って誰の曲? 妙に耳に残ってるんだが。」

 「私が推してる配信者のユナさん、実は魔法師としての先輩で唯一私が尊敬してる先輩なんだー。」

 そういうとアリサはスマホをパッと俺の前に見せた。アニメ調のイラストを実体化したような「ガワ」で配信をする、いわゆるVtuberさんらしい。俺が失ったのはいわゆる「エピソード」の部分で生活に影響のある「知識」や普通の人なら持っている「生活能力」は残っていたらしい。つまり俺は記憶喪失ではあるが記憶がないのはエピソードだけではある。ただ、それでも家族も誰といたかも覚えていない。

 「車まで案内するようにって、赤羽さんから言われたんだよね。多分入口の前で今頃路駐してると思うけど。」

 そうアリサが言ってエレベーターを出る。



 「これが僕の車、ちょっと手狭かもしれないけど乗って」

 出入り口から出るとそこには黒い軽自動車が止めてあった。どうやらそれが赤羽さんの車らしい。赤羽さんは元々は一人暮らしで魔法師を指導していたので軽である。だがハルトは初めて「住み込み」で指導をする教え子なのでやや手狭に感じてしまうだろうことを説明した。

 「正直、住み込みは初めてだから。あと、ハルトにも学校に行かせるよ。それが学生の本分なのと、誰であろうと当たり前のことを若い奴から奪ってはいけないからね。」

 そう赤羽さんは笑顔を見せる。自分がかつて青春を味わえなかったから教え子には普通の生き方をさせたいのだろう、俺はそう感じていた。少しの魔法を使えるだけの「人間」であって魔法師ではない、空が蒼であるようにそれが当たり前であってほしいと俺自身も思えてくる。

 「俺の記憶って戻るんですか。正直、記憶が戻って、あの日の事を思い出すと思うと恐怖を感じます。」

 俺はこの言葉を叩きつけるように伝えた。正直謎がわからないから率直に答えて欲しい。そう思えてしまう。正直、聞くのも怖い。自分が未知の世界に踏み込もうとしているということ、そして何かに巻き込まれつつあることに。

 「わからない。でも、記憶が戻っても進み続けなきゃいけない。自分が何者であるか分かったとしても、今の自分がいる。それだけで僕は良いと思う。」

 俺はこの言葉にはっと気づかされた。記憶がないことは決して悪いことじゃない。今があるなら、別に問題のないこと、そう言われて自分の中の何かが氷解した。



 「あ、後ね。学校はアリサの学校に通うから。早速明日には学校に転入してもらうからよろしく。」

 赤羽さんは俺に早速学校にいくと笑顔で伝えた。そう言えば今日は日曜日だ。ってことは準備とか出来てないのに学校に行くのかと俺は半ば呆れた顔をする。

 「ところでその学校って普通の学校ですか?それとも特別な……?」

 「私の学校は普通の学校だよ。」

 正直青天の霹靂だった。学校に行くのも小説や漫画のように特別な学校に通うものだと思っていたから。記憶が消える前の当たり前の日々をこれからも過ごせる、そんな気がして嬉しくてならない。

 「ハルトなんで笑ってるの?」

 本当なら俺自身あの時死んでいた。あの時に俺の心も何もかも消えていたのだ。だから蘇ったような感覚だった。

 「俺決めた。戦う理由は記憶取り戻して、そして周りの人を全員魔法師として助ける。そうすれば、魔法に苦しむ人もいなくなっていく。」

 そう言って俺は魔法師として生きる覚悟を決めた。



 (にしても赤羽さんの家つくのはいつだろうか。)

 町中を赤羽さんの車は進んでいる。それは魔法師には分かる活発に人が動いている中でどんよりとした空気。その空気が魔法師にとっては生きづらい、魔霊がいるという恐ろしいことであった。

 (俺はこの街でこの世界で、たくさんのひとを守ってそして……。)

 そう思いながら見ているとようやく車が止まった。そうここが赤羽さんの家のようだった。にしてもかなり大きい家だ。

 「着いたよ」

 俺は車を降り、荷物を持ち、そして家に入っていった。正直入りにくそうな家ではあるけど本当に大きい家、周りの家よりも大きく一人暮らしでいるような家ではなかった。

 「正直、僕にとってはこの家は居づらいかな。僕一人で住んでるから。」

 へぇそうなのか〜と思いながら俺は玄関に入る。そこは本当に一人暮らしどころか二人暮らしでも厳しいだろと思わんばかりの広い通路があった。

 「私は慣れてるんだけど、ハルト初めてだからね。ただ、ここ元々赤羽さんの家ではないんだよね」

 「元は誰のだったの?」

 「魔法師協会の東京本部が使っていたみたい。ただ移転させるにしても面倒だからここに名目上に機能残してるみたい」

 そういうと俺をアリサと赤羽さんは俺の部屋に案内する。

久遠ハルト

記憶を失った少年。所謂魔法災害の被害者。

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