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糸をたどって(通常版)

作者: 流成 玩斎

ひらがな・カタカナのみだったオリジナル版よりも対象年齢をあげ、漢字を使用して読みやすくしました。それと同時に、オリジナル版、通常版において、一部、文章を変更しました。



「ふーたん、公園行くよ」


 いつものようにぬいぐるみを

 公園につれて歩くのは

 最近うえの歯が生え変わり始めたばかりの

 おてんばな六歳の女の子

 ちいちゃんです。


 もこもこした毛並みのクマのぬいぐるみは

 ふーたんというお名前です。

 

 ふーたんは

 ちいちゃんのおばあさんが子供のころに

 おばあちゃんのおとうさん

 ちいちゃんにはひいおじいさんになる人が

 外国のお仕事帰りに買ったおみやげです。


 もうずいぶんと古くなっていますが

 ちいちゃんのおばあさん

 ちいちゃんのママ

 そして今度は

 ちいちゃんのお友達になったとき

 ふーたんと言う

 新しいお名前をつけてもらいました。


『ぼくの前のお名前は、ただのクマちゃんだったよ』


『その前のお名前は、うーんと、うーんとー』


 その前のお名前を忘れてしまったふーたん。

 ちいちゃんのおばあさんと

 たくさん遊んだことは覚えていますが

 そのときにつけてもらったお名前は

 もう忘れてしまいました。

 だってそれはもうずいぶんと前のことですもの。


 いつもの公園までのお散歩道

 ちいちゃんとちいちゃんにだっこされたふーたん。

 公園にはたくさんのお友達がいます。

 けれども遊べる遊具があまりないので

 いつも順番待ちをしなくてはいけません。

 今日も急いで歩くちいちゃんには

 お目当ての遊具があるのです。


『今日は公園でなにして遊ぶのかな』


『この前は砂遊び。その前はー』


『その前は、うーんと、うーんとー』


 前のことは覚えているふーたんでしたが

 その前のことはすぐに忘れてしまいます。

 でもおうちから公園までの道順は

 忘れずにちゃんと覚えていますので

 ひどい忘れんぼうさんではありません。

 

 それは

 ちいちゃんが迷子にならないよう

 自分がちゃんと道を覚えないと

 いけないと思っているからです。


 でも今日のふーたんは

 少し変な感じがしました。

 なんだかお腹のあたりがモゾモゾするのです。


 うーん なんだろう?

 不思議に思ったふーたんが

 自分のお腹をのぞくと

 大変な事件が起きていました。


『大変! ぼくのお腹から、糸が出てる!』


 大事件です。

 なんとふーたんのお腹から

 長い長いずーっと長ーい

 糸がたくさん飛び出していたのです。


 糸はここまでちいちゃんが歩いて来た

 おうちの方へと伸びています。

 糸をおうちで引っかけたのかもしれません。


 困ったふーたんは

 あわててお腹を押さえます。

 でもふーたんをだっこした

 ちいちゃんが歩くと

 お腹の糸はどんどんと伸びてしまいます。

 

『ちいちゃんストップ! ぼくの糸がどんどん伸びちゃうよ!』


「糸くらいイイでしょ。早く公園に行かないと、ブランコが取られちゃうじゃない」


 あわててちいちゃんにお願いしても

 ちいちゃんはふーたんの言うことを聞かずに

 どんどん公園へと歩いて行きます。


 このままではふーたんのお腹の糸が無くなって

 大事な大事な

 お腹の綿が出てしまいます。

 

『もういいよ! ちーちゃんのバカ! ぼくだけで糸を取り戻しに行くから』


「ああもう! どこへ行くのよ、ふーたん!」


 悲しくなったふーたんは

 ちいちゃんの腕のなかから飛び出し

 ひとりで糸を引っ張って

 お腹に戻すことにしました。


 ながーく

 ながーく

 どこまでも伸びたお腹の糸をたどって

 ふーたんはおうちに帰る道を歩きます。


 そして

 最初の曲がり角に来たとき

 ふーたんの目の前には

 とても大きな大きな

 茶色のイヌが座っていました。


『困ったな。大きなイヌが、ぼくの糸のうえに座っているぞ』


 大きなイヌはふーたんの

 倍以上の大きさです。

 お腹から飛び出た糸のうえにドンと乗っかって

 気持ち良さそうに寝ています。


『イヌさん、イヌさん、お願いです。ぼくの糸のうえから、どいてくれませんか』


『ふわああああ、なーんだって? このオレさまにここをどけというのか、お前は』


 お昼寝をジャマされたイヌは

 まだ眠いのかとても不機嫌です。


 イヌはまた大きなあくびをしながら

 ふーたんのことをジロリとにらむと

 突然こんなことを言いました。


『まあいい、その代わりにお前のフワフワした耳をひとつよこせ』


『えっ! ぼくの大事な耳をひとつ渡せだって?』


 イヌはふーたんのお願いを聞く代わりに

 外国製のキレイな毛皮で出来た耳を

 ひとつ渡せと言いました。


『くれたらすぐにどいてやる。早く耳をよこせ』


 イヌがニヤニヤしながら言いました。

 大事な耳を渡すのはイヤですが

 糸はまだまだ先へと伸びています。

 もしここでふーたんがイヤだと断れば

 糸はこのままイヌのお尻の下

 ふーたんのお腹はずーっと開いたままです。


『分かったよ。大事な耳だけど、イヌさんがどいてくれるならあげるよ』


 ふーたんは仕方なく

 フワフワした片方の耳を

 尻尾を振って喜ぶイヌに渡しました。


『ワン! 噛み応えのある良いオモチャが手に入ったぞ』

 

 ふーたんの耳をくわえたイヌは

 ひとこえワンと鳴くと

 そのままどこかへと行ってしまいました。


『すごく残念だけど、今は糸を取り戻さないと』


 大事な耳をあげてしまったふーたんは

 すごく残念な気持ちのまま

 残りの糸を必死に引っ張って

 次の曲がり角までやってきました。


『カアーカアー! なんだお前は!』


 次の曲がり角には

 とても真っ黒なカラスがいました。

 カラスはふーたんを見つけたとたん

 カアーカアーと鳴きながら羽を広げます。

 

 よく見るとカラスはくちばしに

 ふーたんの大事な糸をくわえていました。


『カラスさん、カラスさん、ぼくの糸を返してください』


『カア、カア、イヤだね。これはミミズの代わりに食べるんだよ』


 大変です。

 糸を食べられてしまうと

 ふーたんのお腹は

 元に戻らなくなります。


『カラスさん、お願いです。その糸を食べないでください』


『じゃあ、代わりにお前のピカピカ光る目玉をひとつおくれ』


 青いガラスの石で出来たふーたんの目は

 お空にある太陽の光に反射して

 とてもキレイでキラキラしていました。


 光る物が好きなカラスは

 糸の代わりにその目を欲しがりました。


 大事な耳を渡したばかりなのに

 次はもっともっと大事な

 ガラスの目をくれと言われてしまい

 ふーたんはとても困ってしまいました。


 でもこのままカラスに糸を食べられてしまうと

 せっかく大事な耳を渡したのに

 ここまで来たことが無駄になってしまいます。


『分かったよ。大事な目だけど、糸を食べないって約束してくれるならあげるよ』


 ふーたんは仕方なく

 キラキラ光る片方の目を

 カラスに渡しました。


『カア! これを持ってゴミ捨て場にいる仲間に自慢してやろう』


 満足げなカラスは

 カアとひと鳴きすると

 ふーたんの目をくわえたまま

 空へ飛んで行きました。


『悔しいけれど、今は糸を取り戻さないと』


 カラスが仲間に自慢するためだけに

 大事な目を取られたのが

 とても悔しいふーたんでしたが

 

 気を取り直して

 残りの糸をたぐり寄せます。

 そして次の曲がり角に来たときに

 今度もふーたんの邪魔をする者がいました。


 ふーたんの大事な糸を

 ぐるぐる巻きにして遊ぶ

 まっ白なネコです。


『フーッ! キミは何者だ!』


 ツメをピンと尖らせながら

 ふーたんの糸を必死にかき集めているネコは

 いきなり現れたふーたんに向かって怒っています。


『ネコさん、ネコさん、ぼくの大事な糸を元に戻してください』


『ニャー、ニャー、イヤだね。これはぼくが見つけたオモチャだ』


 そう言いながら

 ネコはどんどん糸をからませてしまいます。

 もうふーたんでは戻せないかもしれません。

 グチャグチャになった糸を見て

 ふーたんは大きなため息をつきます。


『代わりにネコさんの欲しい物をあげますから、どうか糸を返してください』


『じゃあ、そのお腹にあるフワフワで真っ白い物をくれたら返すよ』 


 ネコはニャーと鳴きながら

 ふーたんのお腹にある

 大事な綿を欲しがりました。

 これを渡してしまうと

 せっかく糸を取り戻しても

 お腹はぺったんこになってしまいます。


『これだけはダメです。代わりの物にしてください』


『じゃあ、その首に巻いているキレイなリボンをもらおうか』


 ネコの首にあるリボンは

 自分で引っかいたのかボロボロです。

 仕方なくちいちゃんのママにもらった

 大事なリボンと交換に

 ネコから糸を返してもらいました。


『ニャア! これで飼い主に怒られずにすむよ。ありがとう』


『あ! 糸を元に戻してよ』


 ネコは糸を元に戻さないまま

 ニャーとひと声鳴いて逃げて行きました。

 あまりにも速いので

 ふーたんの足では追いつけません。

 

 追いかけるのをあきらめ

 ふーたんはその場にしゃがみこみます。


 そして足元にある

 ぐるぐる巻きになった糸を見て

 ふーたんは

 とても悲しい気持ちになりました。


 ひとつだけ残ったガラスの目から

 涙がポロリと落ちそうです。


『ぼくの大事な物をたくさんあげたけど、とうとう糸がこんなになっちゃった』


『でも、最後まであきらめないで、ちゃんと糸を集めるんだ!』


 勇気をもって立ち上がり

 ぐるぐる巻きになった糸を持ち上げ

 残りの糸を引っ張って行くふーたん。

 すると不思議なことに今度は糸が

 だんだんと重くなってきました。


 重くてつらい気持ちになり

 ガラスの目からは涙があふれそうになります。

 でも最後まであきらめずに歩くふーたんが

 おうちまであとひとつの

 曲がり角にたどり着いたとき

 またもやそこには邪魔者がいました。


『チュンチュン、この糸に乗ってみんなで歌おうよ』


 電線と間違えたのか

 糸の上にいるたくさんのスズメたち。

 どおりで急に重くなったはずです。


 糸が引っかかっているおうちまであと少し

 最期の勇気をふりしぼって

 ふーたんは大きな声で言いました。


『スズメさんたち、ぼくの大事な糸から離れてください』


『チュンチュン、ぼくたちも大事な巣をカラスに取られて困ってるんだ』


『新しい巣が見つかるまで、こうやってみんなで糸の上に集まって、歌でも歌うのさ』


『キミが新しい巣をくれるなら、喜んで糸から離れようじゃないか』


 スズメたちは好き勝手に言いました。

 カラスに巣を取られたのは気の毒だけれど

 ふーたんの糸とは関係のないことです。

 出来ればすぐにでも糸を取り戻したいけれど

 たくさんのスズメたちと

 ケンカになるのは困ります。

 

 残念ながら

 代わりの巣を見つけてあげないと

 スズメたちは糸から離れないようです。


 困ったふーたんは考えました。

 そしてようやく思いついたことを

 スズメたちに話します。


『スズメさんたち、ぼくの綿を少しずつあげるから、それを巣にしたらいいよ』


 大事な大事なお腹の綿ですが

 スズメたちにあげるしかないようです。

 ふーたんは糸を地面に置いて

 お腹のなかに詰まった真っ白な綿を

 スズメたちにチラリと見せました。


『良いのかい?』


『綿をもらえるの?』


『やったあ。ぼくたちの巣だ!』


 喜んだスズメたちは

 いっせいにふーたんのお腹に集まります。

 そして綿をくちばしでつまんでは

 次のスズメと交代するのです。


 そして何度も何度も交代するので

 みるみるうちにふーたんのお腹から

 大事な綿が無くなっていきました。


『あ、ちょっとそんなにたくさん取らないで』


 あわてたふーたんが

 スズメたちに注意をします。

 けれどもそんなことおかまいなしに

 綿をどんどん取っていくスズメたち。


『わーん、ぼくの大事な綿が無くなっちゃうよお』


 自分勝手に綿を取っていくスズメたちに

 悲しくなったふーたんは

 大声で泣きだしました。

 それでも止めない意地悪なスズメたちは

 このあと大変な目にあいました。


「こらーっ!!」


 そのとき突然

 スズメたちの後ろから

 とても大きな怒鳴り声がしたのです。


『チュンチュン、逃げろ!』


 いきなりのことに驚いたスズメたちは

 くわえていた綿をほうりだしたまま

 いちもくさんに空へと逃げていきます。


 綿を取られずにすんだふーたんは

 お腹を押さえて安心しました。

 これでもうスズメたちはやって来ません。


「ふーたん、大丈夫?」


 大声の正体はちいちゃんママでした。

 こちらに来るママの片方の手には

 ふーたんが渡してしまった大事な物が。


 それにもう片方の手には

 ふーたんがずっと探していた

 糸の先っぽがあります。


『ちいちゃんママ、どうしてぼくの大事な物ばかり持っているの?』


 不思議に思ったふーたんが

 ちいちゃんママにたずねます。

 その質問を聞いてにこりとほほえむママが

 答えを順番に教えてくれました。


「最初ふーたんの糸が、げんかんのドアに引っかかっていたのを見つけて、ママはあわててふたりを追いかけたの」


「その途中で、近所のイヌがふーたんの耳をくわえていたから、優しくなでて取り返したわ」


「次にゴミ捨て場の前を通ったら、ママにビックリしたカラスたちが、ふーたんの目を置いてどこかに飛んで行っちゃった」


「しばらく歩いてたら、いつもはボロボロのリボンを付けたお隣のネコが、ふーたんのリボン付けて日向ぼっこしてたの。もちろん怪しいからお隣さんにお願いして返してもらったわ」


「最後はさっきのスズメたちね。あのこたちに取られると、もう簡単に取り返せないから、ママ頑張って必死に怒鳴ったのよ、凄いでしょ」


 ママさんのおかげで

 ふーたんの大事な物は

 みーんな元通り返ってきました。

 まわりにちらばったお腹の綿も

 ママさんがていねいに戻してくれます。

 そのときふーたんのお腹で

 なにやらガサゴソという音がしました。


「ん? あーこれ!」


『ママさん、ぼくのお腹になにが入っていたの?』


 懐かしそうな顔をするママさんが

 首をかしげたままのふーたんに

 お腹から取り出した物を見せてくれました。

 

 それは小さな紙切れと

 大きなふるい指輪でした。


「懐かしいわね。これはずっとお友達だったあなたを、自分の子供に譲るときに、ママとおばあさんが、一番大事な物や気持ちを込めて、あなたのお腹に隠した宝物よ」


「これはおばあさんのね。亡くなったひいおじいさんからもらった形見の指輪だわ」


「おばあさんね、大好きだった自分のお父さんに買ってもらったあなたを、なかなかわたしに譲れなくてね。ようやく私がもらったときに、一番大切だったこの指輪をあなたのなかに隠したんだわ」


 古ぼけた指輪がひとつ

 少し涙目のママさんから

 ふーたんの手に渡されました。

 自分のお腹にこんな物が入っていたなんて

 ふーたんは不思議な気分です。


「これは私。クマちゃんのなかにずっとあなたへの感謝の気持ちを残したくて書いたんだっけ。あはは、ちょっと恥ずかしいな」


 次に渡されたのは小さな紙切れ。

 そこにはキレイな文字で書かれた言葉が



 ずっと大好きよクマちゃん

 わたしのむすめとなかよくね


 と書かれています。


 ほんのりと温かみのあるふたつの宝物を

 ふーたんはママさんにお願いして

 元通りお腹に戻してもらいました。


「おうちに帰ったら、この糸でお腹も縫わないとね」


『うん。お願いします』


 ママがふーたんを優しく抱き上げます。

 そしておうちに向かって

 ママが振り向こうとしたとき

 後ろから大きな呼び声が聞こえてきました。


「ママ! ふーたん!」


 それは公園へ行ったはずのちいちゃんでした。

 はあはあと息をするちいちゃんは

 ママとふーたんを見つけると

 あわててこちらへと走ってきました。


「ねえ、どうしてママとふーたんがここにいるの?」


 不思議そうな顔をするちいちゃんに

 ふーたんとママはこれまでのことを話しました。

 糸のためにいろいろと交換したこと

 それをママがちゃんと取り戻してくれたこと

 お腹にあったふたつの宝物のことも。


「そっか、ごめんね、ふーたん。私自分のことしか、考えてなかったみたい」


『ううん、ぼくもちいちゃんをほったらかしにして、糸を追いかけちゃってごめんなさい』


「ふふっ、ふたりとも仲直りしたんだし、一緒におうちに帰りましょうか」


 さんにん仲良く

 おうちへと帰ることになりました。

 並んで歩くママとちいちゃん。

 そして真ん中にはふーたんが

 ふたりの手をにぎっています。


「そういえば、ママとおばあちゃんは、大事な物をふーたんのお腹に隠したのよね」


「そうよ、ママのママ、あなたのおばあちゃんから始まってこれからもずーっと。ふーたんのお腹に大切な気持ちを込めて、次の愛しい子供たちに渡していくの」

 

「ふーん。じゃあ、私の大事な物、今度ふーたんのお腹に入れてもいい?」


「ふふふ、ちいちゃんもう大事なものができたの? もしかして今その手ににぎってる物かしら」


 ママの言葉を聞いて

 少しだけ気になったふーたんが

 ちいちゃんのもう片方の手を見ます。

 それはぎゅっとかたくにぎられていて

 とても大事なものが隠されているようです。


「うん。さっきそこで出来たばかりの宝物よ」


「『さっき出来たばかりの宝物?』」


 ママとふーたんが見せてとお願いすると

 嬉しそうに笑うちいちゃんは

 にぎった手をゆっくりと開いて

 ふたりに見せてくれました。


「えっとね。さっき上の歯が抜けたの! これを今度ふーたんに」


『ちいちゃん。それはごめんなさいしていい?』


 すぐに断るふーたん。

 いくらちいちゃんの大事な物でも

 自分のお腹のなかに

 抜けたばかりのちいちゃんの歯を

 入れられるのは困ります。


「あっそうだ! せっかくお腹が開いてるんだから、今から入れてあげる! 良いよね? ママ」


『ぎゃあ!! 助けてママさん!』


 逃げるふーたん

 それを追いかけるちいちゃん

 ケンカもするけど仲良しのふたり


 いつかちいちゃんの子供に

 ふーたんが渡されるとき


 ちいちゃんママの本当に大切な宝物が

 内緒で入っていると良いですね。



 おわり


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

次作があれば、またよろしくお願いします。


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