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ミケヒロ vs ヒルロージェ 3(バトル終)

前書きの能力に関する説明。

※不明や一部不明は、戦闘中に明らかになる内容になります。

(不明は能力の全体や一部、一部不明は能力の本来の性質や弱点など)

※能力のその後の成長などは、考慮されません。


戦闘中の能力者の能力

人間サイド

・ミケヒロ

1.不明

2.傘を出して、鈍器のように振り回して戦うことができる。一度消した時のクールダウンは1分。

3.まだ発現していない。

侵略者サイド

・ヒルロージェ

1.赤いナメクジを塊にして投げつけ、ナメクジに人を襲わせることができる。

ナメクジ玉をチャージする事ができて、最低チャージ速度は10秒程。

(一部不明)

2.蜘蛛の巣のようなものを出して、自分の身を守る。

(一部不明)

3.一辺30m程の正方形型に地面をくり抜き、盛り上げて、敵と自分を閉じ込める。

「...助かったぜ」


「ほう?そうなるか!ヒロヒロ!」


ミケヒロは飛んできたナメクジ玉を傘を開き前に向ける事によって防いだ。


「ヒロヒロヒロヒロ!ヒヒヒロヒロ!!」

ヒルロージェはツボに入ったかのような高笑いをする!


「..何が可笑しい!?」


「...グチュグチュ」


ミケヒロの開けた傘が動き出す。


ミケヒロが自分の傘の方を見ると...


傘の皮の端の部分から顔を出すナメクジの群体。


「ヒロヒロヒロヒロ!!お前は、ナメクジを弾くのではなく、防いでしまった!その傘で叩き落とせば良いものを、開いて、守るからそこからナメクジは這ってお前にたどり着く事が出来る!!」


「オオオアアアア!!!!!」


ミケヒロは、自分に群がるナメクジの大群を見て反射的に驚いてしまう。


「そしてお前!..その傘を手放せないんだろう?」


「!!..何故!?」

ミケヒロの弱点がバレた驚きをミケヒロは隠す様子すら作る事が出来なかった。


「見てたら分かるさ、さっきの不自然な動き!傘だけが絡まっているのに手放さない。余りにも不自然過ぎる!お前、頭も弱いだろ?」



(俺ーえはコイツに何処まで読まれているんだ!?)


「そして、今私から傘のナメクジが全て見えなくなった!つまりお前の手元まで先頭のナメクジきている!苦しめ、人間!!」


ミケヒロの手と先頭のナメクジとの距離が2cm。


「そうか!もう傘の内側に全部来ているんだな!」


「バサッ!!」


ミケヒロは強く傘を閉じた。


傘の皮は、芯の真ん中まで包み込むように被さり、取っ手を少し残した状態で傘にいるナメクジを全て閉じ込めた。


ミケヒロはそのナメクジを封じ込めたままの傘を電信柱の線に引っ掛けて、


「食らえ!」


ミケヒロはバナナの皮のようなものを投げつける。だが、

ヒルロージェに大きな蜘蛛の巣を出され、防がれる。


「何だ急に?これは?..」


バナナの皮は汁を出し、ヒルロージェの両手にはヌルヌルした黄色い液体が付く。


手触りを探ろう指と手を動きかした瞬間、


「イテテテテ!!何だ!急に何に引っ張られたんだ!?」


「引っ張られたんじゃない、お前が手を動かそうとしただけだぜ。その痛みは、お前が自分で起こした痛みだ。」


「は!?へ!?」

訳も分からずヒルロージェは、もう一度指を動かすと、


「イテテテテ!!!


...これは!今度はしっかり分かった!誰かに引っ張られたんじゃない!滑っているんだ!しかも、ちょっとした油やローションで滑ってるんじゃない!とてつもない滑りだ!余りにも滑り過ぎて、私の力が私の力じゃないとも思えるような滑りなんだ!


そうだ...!この液はお前が攻撃した時も、電信柱を滑る時にも纏わりついていた液だ!お前は摩擦を減らし身体能力を疑似的に上昇させていたんだ!」


「おー正解、8割方な。俺のバナナの皮の液は、摩擦を調整出来る。」

ミケヒロは、傘を手の平に乗っけてバナナの液をかけ回転させる。


 

回転は次第に早くなり、高速で回転する!

力を加えているのではなく、回転力が増幅しているようだった。





「そしてその上、俺ーえの能力は、物理上存在しない負の摩擦係数を生み出す!擦れば擦るほど早く、加速させるんだ。」


バナナの液によってヒルロージェは、ナメクジ玉を出せなくなった。だが、まだ蜘蛛の巣を出すことができる。


「なるほど..さてお前の能力の全容が分かってしまった訳だが、その能力じゃ、私のスパイダーネットを貫けない!


まあ、お前はそろそろ下からナメクジが這い上がって...


這い上がって...


なぜ這い上がってこない!?」




ヒルロージェはミケヒロのいる電信柱の下を見ると、


バナナの液が電信柱の下の方塗られており、滑って登る事が出来ないままナメクジ達が奮闘していた。


「..塗っておいたのさ。登る時、ついでにな。そして..」


ミケヒロは手の上にある傘を掴み、電信柱の線を傘で切ってブロック状にする。


「俺の能力で、お前を倒せないって?一回食らってから言いな!」


ミケヒロは、ブロック状になった電線をぶっ叩き、ヒルロージェの方に飛ばす!


「無駄だ!」


ヒルロージェは蜘蛛の巣で攻撃を守る。


ミケヒロは電線ブロックを飛ばして攻撃しまくるが、


ヒルロージェは蜘蛛の巣を潰れかけては再び出し、を繰り返す事によって、ミケヒロの攻撃を防ぎ切る。

そして、ヒルロージェの体力より先にブロック電線が弾切れになった。



「俺ーえの攻撃を守り切れたか。だが、放出系の能力で出して戻してを繰り返したから、かなり疲れているだろうな。」


「ぜぇー..お前..調子に乗るなよ..はぁー..ナメクジに食われそうなのはお前の方なんだからな..」


「....ガリガリガリガリ」


「なんだ..?」

ミケヒロは音のなっている、丁度真下の方に目を向けると、


ナメクジが、電信柱を食べていた。

もうすでに、柱に食い込むほどに侵食しており、

もう少しで電信柱は倒れるところだった。


「ヒロヒロ...人間、訂正する。お前は中途半端に強い。電信柱に逃げ、一方的に攻撃する。いい作戦だ。デメリットが強すぎたがな。お前ともう少ししてから戦っていたら私は負けていた。だが、さすがのお前でもこれ以上は...」


「いや、まだ俺ーえは終わってないぜ!ヒルロージェ!!」


電信柱は少し傾く。

「まだ終わってないって...まさか!」


電信柱は倒れる!


そう、ヒルロージェの方向に!



ヒルロージェは走馬灯のように思考が加速した。

(なるほど、コイツの最後はこれって訳か...


お前の全力と俺ーえの策略、どっちが強いかいざ勝負!


アイツの自信有り気なセリフは、そういう意味なのだろう。


人間、最初は弱い者を馬鹿にするだけの少し弱い奴だと思っていたが、一番骨のあるやつだった。小馬鹿にしてしまったせめてもの憂いだ!

全力で受け止めさせてもらう!)


ヒルロージェの精神と本能、身体全てが一つになった。


ヒルロージェは、力を振り絞り、大量の蜘蛛の巣を生み出す!

それは、ヒルロージェの限界を優に超えた速度と量だった。

それが、ヒルロージェの名も知らぬ強い人間に対するせめてもの礼儀だと思ったからだ。

「オオオオオオオ!!!!!」



ヒルロージェは、電信柱が傾き、倒れきるまでに繭のような糸の塊を作った。


電信柱は、繭の上に落ちるが、貫く事は出来ず、繭に引っかかったまま、電信柱は止まってしまった。


「はっ、すげえなヒルロージェお前。」

ミケヒロは、友達のノリのような優しい語りかけだった。


ミケヒロの称賛の言葉。

敵同士ながら、ヒルロージェは友情のようなものが、生まれた気がした。

ミケヒロはもうすぐ自分の能力で死んでしまう。

今、言える事はすべて言おう。

ヒルロージェはそう思い、

「人間!お前のような者が私の残虐な能力によって死ぬ事を悲しく思う!許してくれ!お前はとても強かった!そして、良き友と成りたかった!お前に出会えて本当に良かった!!」


「ん?なんかいったか?」

凄く冷静に聞き返してきた。


(あんなに冷静でいられるのは、余程強い信念を持っているのだろう。流石だ、人間。)


「まあいいか、後で聞けば。」


((;'∀')?は?)


ヒルロージェは耳を疑った。

ナメクジに集られて、まだ向かってくるどころか、勝ちを確信した様子だった。


「ブスッ!」

ミケヒロは繭の中に傘を突き刺し、傘の先端を中にいるヒルロージェの顔の所まで持ってきて、



ミケヒロは能力を解除する。



すると、中に封じこめていたナメクジが中で飛び出し、ヒルロージェの顔に噛みつく!


「オエアアアアア!!!」


ヒルロージェは断末魔のような声を上げて、体力の限界に来て、能力を全て解除してしまった。

繭も、ナメクジ達も全て消えて、精神的にも肉体的にも燃え尽きたヒルロージェのみがそこに残っていた。



「ガタン!」


倒れて来ていた電信柱は、今度は盛り上がった高い壁に突き刺さった。


「よし、えーっと倒した後についてのマニュアルは...どこだっけ?あ、でもまず、拘束具か。」


「カチン!」


手錠のような拘束具をヒルロージェの腕を引っ張って、後ろに組ませて両手に付け、拘束する。


「...人間、聞いていいか?」

「なにをだ?」

「私の能力の特性をいつ知って、この展開をどこからどう思いついたのかだ。」


「そうだなぁ..まず、最初出会った時、仮に弱い事を演じるにしても、ナメクジに手を噛ませるなんて体の張った事、やらなくていいと思ったんだ。

そして、決め手になったのは、お前が蜘蛛の糸で俺ーえの攻撃を防いだ時。

俺ーえの傘をずっと絡めていれば良かったのにバックステップで逃げた。

そしてその時の目線は俺の足元。見ていたのはお前自身の能力であるナメクジだと一瞬で分かった。

お前はナメクジを完全には操れない。

せいぜい、攻撃する優先順位を指定する程度で、自分も含めてナメクジは攻撃してくるんだって分かった。

そして展開の方も同じタイミングだ。

傘で蜘蛛の糸の硬度を体感して考えた時、攻撃手段に直接攻撃は、俺ーえの能力では不可能だと思った。

そして、カタツムリがコンクリートを食うのを思い出してたんだ。

ナメクジも似たもんだろって、思ってこの電信柱攻撃をしようと思ったが、まだ気がかりだった。

お前の能力が、電信柱攻撃を防ぎきれた場合、負けてしまうと。第一、限界がどこか分からなかったからな。

で、ナメクジ玉を封印するタイミングをわざと遅らせた。

一撃くらって、傘に封じこめてから電信柱攻撃をしようと思ったんだ。

覚悟をしても気持ち悪かったけどな。

そうすれば、相手は疲弊した状態で蜘蛛の巣まみれの中で動けない。

いくら糸の層が厚かろうと、バナナで摩擦を減らせば、糸は糸だ。突き刺せる。

あと、お前は気付いてすらいなかっただろうが、電信柱に塗ったバナナ液は、お前の反対側に近づくにつれて、多く塗っていったんだ。そして、倒れる方向をコントロールするっていう事も裏でやってた。

っていう感じだ。でもヒヤヒヤしたぜ?あそこでナメクジ玉を投げず、冷静に見守られていたら負けだったからな。ナメクジ玉から出てくるナメクジの量も賭けみたいなものだったし...

あ、そうだ。」


ミケヒロは携帯電話を取り出し、本部に連絡する。

「午前13時75分、喰い裂きのヒルロージェ、一体確保しました。


そして、出られません。助けてください。」


ヒルロージェはミケヒロの姿を見て思った。

(強い...この人間、私よりも遥かに策を練っていたとは...能力差を上回るほどに考えていた。瞬間的に。いや、私が弱いのかもしれない。私が人間を侮っていたのかもしれない。もう少し、謙遜に生きようか。最も、私の一生はこれで終わったようなものだが。

ん?ということは、さっきの自信や冷静さは、別に友情ではなく、勝つ確信によるものだったのか?)


「なあ、ヒルロージェ。そういえばお前、繭の中で何を言ってたんだ?」


(ヤバい。凄い恥ずかしい状況だ。)


顔文字はその内消すと思います。

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