ミケヒロ vs ヒルロージェ 1
~~三ヵ月前~~
ミケヒロは、体育館のような広間で、能力のトレーニングの休憩時間の時だった。
「リターネア、そういえば、前言っていた死んだ人ってどんな人だったんだ?」
「ああ、あれね。別部隊だから顔見知り程度なんだけど、可愛らしい中学生の男の子だったわ。
可哀想だったわ。彼は部隊に入ったばっかりなのに、とても残酷な死に方をして死んでしまったの。」
「どんな死に方をしたんだ?」
「..聞いて後悔しない?」
「お、おう」
「...体全身を何かに食い破られていたわ。」
「うう...なぜ新入りにそんな強い敵を任せたんだよ...」
「フェーズ1は相手の戦力を調べる為に行っているフェーズだから、ルトポロア側はいい加減な戦闘能力の敵しか来ないわ。そして数も少ない。普通は人間側が死ぬことはないわ。とある場合を除いてね。」
「..そのとある場合ってどんな場合なんだ?」
「囚人よ。ルトポロアは戦闘能力=社会的地位となる社会構造なんだけど、囚人のみ、社会性によって低い地位に立っているの。」
「つまり、囚人の中から更に強い個体いれば、場違いに強い奴が来てしまう事があるって訳か..」
「そう。そしてそういう奴らには、やがて部隊の中で有名になって、異名がついているわ。その中であの子を殺したのは、"喰い裂きのヒルロージェ"。」
「へえ...ヒルロージェね..」
「ヒルロージェは聡明で、敵を油断させ、部隊から戦闘員を分断して、地面を正方形型にくり抜いたかのような形に地面を盛り上げるの。逃げ場を奪い、じっくり仕留め、颯爽と逃げる。そして殺した戦闘員の血で自分の名を書いて、余裕をこいているの。狂気的なナルシストでサイコパスな奴だわ。部隊に入ったら、しばらくは注意しなさい。」
~~現在~~
「...ヒルロージェ..てめえか..喰い裂きのヒルロージェってのは。」
「まあ、その異名は知らないが、その有名になっているヒルロージェだ。」
「お前、ただハッタリかましてるだけじゃねえのか?」
「..3匹だ。」
「..なんだ?」
「この私が殺した人間の数さ。ヒロヒロ。」
「へえ、また変な自慢だな..」
(やばい、コイツマジだわ。)
ミケヒロは動揺を隠せずにいる。
「まあ、戦って味わうといいさ。私の強さをね。私も、苦しみと死が迫りくる恐怖の顔を味あわせてもらうよ。」
ヒルロージェはドッジボール程の赤黒い丸い塊を作り、
「ほらっ!!」
投げつけてきた!
ただ速度が遅く、
ミケヒロは避ける。
「グチャ..」
(塊の潰れた音か?まあよし、これぐらいなら避けれ...)
目を再びヒルロージェの方に戻そうとすると、
「いないだと!?どこ行った!?」
次の瞬間、ミケヒロの顔に影がかかり、
ミケヒロは見上げる。
(クソッ!来...いや、)
ヒルロージェは飛び上がって、ミケヒロを
大きく飛び越し、着地した。
次に、来た道の方を見て、
「スタスタスタ!!」
逃げた。
「やっぱり逃げてるじゃねえかあ!!!」
ミケヒロはすかさず追いかける。
行った先、はヒルロージェは自分で作った壁で止まっていた。
「お前、自分で作った壁で逃げ道無くすとか、やっぱ頭弱いだろ。」
「いやいや逃げた訳じゃない、後ろを見たまえ。」
「なに?」
「ナメナメナメナメナメナメナメナメナメナメ!!」
後ろには、ヒルロージェの生み出していた赤いナメクジが、群れをなし、道路を塞ぎ、溢れそうになる程にいて、こちらに向かってきていた。
「私が逃げている間、溜めていたナメクジの塊だ。」
「な、なにっ!!!追い込まれたのは、俺ーえの方という事か!?」