脆弱なインベーダー
ベルマー地区部隊は、外に出る為、本部の廊下を走っていた。
「なあ、侵略彗星って何だ?」
「えっとね!侵略彗星ってのはアイツらがやってくる為のドカーン!って感じの奴!」
「分かんねえよ..」
「ルトポロアが、空から小型宇宙船に乗って落ちてくるんだ。そしてその中からルトポロアが出てくるから、街が壊れる前にあたしらが、倒しに行くって訳だ。」
「なるほど、一つ聞いていいか?その侵略彗星一つにつきルトポロアは一体と理解して良いか?」
アロが聞いてくる。
ローズミスカですら、アロの白衣をひらひらさせているから気になって質問が耳に入って来なかったが、
「私達が経験した中ではそうよ。でも、確認した事は無いわ。侵略彗星を回収しても一人乗りだから、ほぼそうと言っていいんじゃないかしら?」
リターネアは遜色なく、返事をする事が出来た。
「なるほど、ありがとう。」
「ってか、そんなに鬱陶しい白衣をずって着てられるの何で?こっちは草過ぎるんだけど。」
コモヌは真後ろを走っているから余計に鬱陶しい。
ベルマー地区部隊は、自分達の基地の外へ出た。
出ると、早速ローズは他のみんなの方を向き、
「みんな、この基地から近い順に、小さい順に番号を振ってミケヒロとレミアは1番に向かって。
あたしとアロは2番、リターネアとコルリアが3番、コモヌは4番をお願い。」
「「リィ!」」
新人とローズ除く三人は声を揃えて言った。
(なんだ!?この返事?そして統率力エグイな..)
1番チームは走って向かい、2番と3番は電車のほうへ、コモヌは団子状に丸まって、飛び跳ねて行った。
~~1番チーム~~
1番チームは、1㎞ほどの場所に侵略彗星が落ちているため、走って行くことにした。
「なあ、さっきのカッコイイ返事は何だったんだ?」
「あれね!あれは返事なの!」
「うん知ってる。なんであの言葉なのかってこと。」
「カッコイイでしょ!?」
「うん..」
「だから。」
「いや、だから..もうちょっと具体的に...」
「知らない分かんない!」
「....もうなんもお前に聞かねえことにするぜ....」
二人は走っていくと大通りに出た。
「ヒロヒロヒロ!人間達よ、我々に降伏せよう!そして、周りの星々ごと資源を献上するのだあ!」
目の鋭い、わかめみたいな髪の毛が腰まできているルトポロアが騒ぎを起こしていた。
「..あれは!彗星から出てきたルトポロアか!?」
「いや、違うよミケヒロくん!彗星の位置はもっと先だし、ルトポロアは、彗星が着地してから2~3分は体を慣らさないといけないの!多分、隣の地区から潜伏して生き残ったルトポロアだと思う!」
「好戦的な生命種族なのに、そんな戦い方する奴がいるのか?」
「うん!ごくまれに非常に弱い個体がとる行動なんだけど。」
「あ゛あ゛ーーー!!!また弱いっていうなあああ!!」
ルトポロアは子供みたいに怒った。
ミケヒロは、ルトポロアの方を向き、
「弱いのか?..にしてもお前、威勢がいいじゃねえか。」
「そうだぞー、私は強いんだぞー!」
「わー可愛い!」
「へ?」
「だって、弱いのに強がるところが子供みたいで可愛い!!」
「あ゛あ゛ーー!!またバカにするなああ!!!」
「いや、本能よりも逃げるを選択するほど弱いのがわりいんじゃねえか?」
「いや、私は強い!強いんだああ!!!人間!見せてやろう!!私の力の中でも一番強い力!!!」
ルトポロアは叫びながら、手の平を差し出し、
「アアアウウオオオオ!!!!」
次の瞬間!
「....ナメ」
赤色の少し大きめのナメクジが出た。
「やっぱり可愛い!」
「なるほど、ツヨイナーホントニツヨイ」
「バカにするなああ!!!」
「...ナメ!」
(カジッ)
ナメクジはルトポロアの手をかじった。
「痛あああああいいい!!!痛てええよお!」
ルトポロアは、オーバーリアクションで痛がりながら、召喚したナメクジを消滅させた。
(ダメだ、おつむの方も弱い。非の打ちどころしかない弱さだ..)
「ミケヒロくん!こいつ捕まえといて!私先言ってるね!捕まえ方わかる?」
「ああ、ちゃんと覚えてる。」
「よかった!よろしくね!」
そう言って、レミアは1番地点に向かった。
レミアが去っていった後。ミケヒロはルトポロアの方に向くと、
「ヒッ!!」
ルトポロアは驚く。
「..っということだ。お前、抵抗しないなら痛くしねえよ。まあ、初めて拘束具を使うから分からないけどな。」
「........」
ルトポロアは頭が真っ白になっているのか、止まっている。
「..どうした?お前、急に止まって。」
「あ!後ろに宇宙人!!」
そう言ってルトポロアは全力で逃げた!
「いや宇宙人はてめえだろ!」
ミケヒロは追いかける!
(なんだコイツ!?逃げ足だけ異様に早いぞ!?)
「止まれええ!!!」
「あ゛あ゛ーーーー!!!!」
しばらく追いかけた後、ビルが集合している場所に逃げ込まれ、
ルトポロアが交差した道を左に逃げる。
そこは、しばらく道が続いているものの三方向にビルが聳え立ち、
恒星の光を遮った、道路なのに路地裏のような雰囲気の場所だった。
そう、行き止まりに追い詰めたのだ。
「ゼェー...ハァー...大人しく観念しろよ....」
「...運がいい。」
「あ?なんか言ったか?」
「運がいいってーいったんだよ!!耳クソ詰まってんのか人間?ヒロヒロヒロヒロヒロヒロ!!!」
ルトポロアは床に手を置く。すると!
「ゴゴゴゴゴ!!」
音が鳴って地面がせり上がり、ミケヒロとルトポロアを中心にした一辺30m程の正方形の外側に分厚く高い壁ができた。
その正方形のライン上にあった建物は、外側に出ていた部分だけが競り上がる事によって、縦に真っ二つに割れる。
同様に電信柱、道路が断層を起こしたような断面を作り、崩れ、壊れたり、落ちたりする。
四方に壁が出来て、その高さは100m程。
身体能力が上昇しているミケヒロでも乗り越えれない。
「なんだ!?壁ができてるぞ!!?これは能力か?俺ーえは閉じ込められたのか?」
「そうさ。残念だってたねえ!?新入りくーん?」
「でも、お前。新入りとはいえ、ナメクジを手の平で躍らせる能力ともう一つの能力で、俺ーえを倒せるのか?」
「んーそうだな。責めてもの情けだ。プライドが傷つかないよう、私の名前でも冥土の土産にするといい。私の名は、ヒルロージェだ。」
「ヒルロージェ!!?お前がか!?」