レミア vs ???4(バトル終)
人間サイド
・レミア
1.蝋を出して操る。出した蝋は、爆発するような燃え方をする。
2.両手を切り離して動かす事ができる。
3.ビームでカラスを打ち落とす事ができる。
侵略者サイド
・???
1.中距離広範囲の衝撃を光と共に与えて、削り、破壊する。クールダウンは1分。下方向にしか打てない。
2.火の玉を貯めて打ち込む。複数打ち込むことも出来る。
3.不明
(お前は死ぬ。私の3つ目の能力で。)
ルトポロアは余裕だった。
彼のペースは崩れていないどころか、順調だった。
(私の3つ目の能力。毒針茨は刺した相手を強烈な毒で殺す事ができる。出して敷ける面積は、丁度この会社の一つの階を埋め尽くせるほど。しかし出したら動かせず、罠として機能する。私は敷いた。4階全体。このまま登ってくるのであれば、私の毒針に刺されて死ぬ。オマケに針は刺激するまでよく見えず、出てこない。気付くのは無理だろう。)
ルトポロアは実は、レミアが泣いている間、毒針茨を4階に仕掛けていた。
そんな事も気づけることもなく、レミアは登り続ける。
(今度こそ登り切れる!でも、あのルトポロアの不気味な笑顔は何だったんだろう?!
...まあいいか!)
レミアは今度は、ガラスを出口以外の3方向を割り、2階から3階に上がろうとする。
ルトポロアは出口から入って左側の方向に行き、火の玉を打ち込むが、不正解。燃えてできた炎が上がる。
レミアは出口とは反対の方面から窓を突き破って上がっていき、
3階に着いた。
茨まであと一階。
「おーい!さっきの惜しかったね!降参する気になった!?」
ルトポロアは真ん中の穴の方に戻ると、
同じく真ん中の穴からレミアは顔を出し、ルトポロアを煽る。
「ああ。」
ルトポロアは答えた。
その回答にレミアはきょとんとしていた。
「え?なんで急に?」
「もう勝てる気がしないからだ。」
しかし本心は..
(お前を誘導して苦しむ様子を見ながら勝つ為だ。さあ、油断して登ってくるんだ。)
ルトポロアは先ほどまで泣いていた少女に馬鹿にされるのは、プライドが許さなかった。
それを戦闘本能が苛立ちを増幅させ、苦しみ息絶える様子を見届けるという残虐な行為を行いたくなったのだ。
「さあ。来て私を捕まえてくれ。」
ルトポロアはレミアを誘導しようとする。
「わかった!でも、一つ聞いてもいい?」
(なんだ。なにを聞いてくる。)
質問の内容によっては答えにくいこともある。
「いいだろう。」
「3つ目の能力、見せて!」
「..!!!」
能力について聞かれてしまった。
ルトポロアの3つ目の能力はもちろん毒針茨だが、それを言っては折角の作戦がバレてしまう。
逆に騙しとおせれば、このまま毒針に足を入れる事を誘導できるだろう。
勿論再び戦うという選択を取る事も出来る。だが..
「わかった。見せよう。」
ルトポロアは心を決め、賭けに出る。
「どんな能力なの?」
レミアは聞いてくる。あまりじっくりし過ぎると、怪しまれる。
(どうすればいい。まずどう言うかだ。騙すなら説得力をつけるため、地味で弱い能力だ。何かないか...
)
ルトポロアは周りを見渡し、何かヒントになるものを探す。
見つけたのは...破壊した建物の瓦礫の破片。
(..やるしかないのか。)
ルトポロアは瓦礫の破片を手に入れ、
「私の3つ目の能力は、頭を固くする能力だ。」
そういって、ルトポロアは瓦礫の破片を頭に叩き付ける。
「ゴツン!」
(痛い。だが、生まれつき石頭だから、耐える事は出来る。)
それを見たレミアは..
「なるほど!」
納得してしまった。
レミアは蝋の坂を出し、歩いていく。勿論その先には4階。つまり茨があり、踏めば死んでしまうだろう。
(よしやりっきた。あと4歩だ。あと4歩でお前は死ぬ。)
ルトポロアはレミアの動きをまじまじと見る。
レミアはまた一歩歩く。
(あと3歩。)
すると、レミアの足が止まる。
「ねえ!卵が腐った臭いがするんだけど!おならした!?」
「...!!...知らない。」
(毒の臭いだ。ここまで張って。身体を。バレる訳にはいかない。バレないでくれ。)
「......」
しばし、レミアは無言になって考える。
「..どうかしたか。」
(頼む。あともう少し騙されてくれ。)
ルトポロアは汗を流し顔に出そうになる。
バレない事を祈るしか、ルトポロアには出来ない。
「わかった!インクの臭いだ!」
レミアは自己解決し、再び歩き始める!
「スタッ」
(あと2歩。)
ルトポロアは見逃さまいとレミアの足元に目を凝らす。
レミアは、ルトポロアの方を見る。
(逃げたりしないかな?)
「スタッ」
(あと1歩。よし、これで勝ちだ。)
ルトポロアが心でそう思ったその時。
「ねえ。嘘付いてるでしょ!」
レミアは、言い放った。
その言葉にルトポロアは、驚きを隠せず、唇が少し歪んでいた。
「...何のことだ。」
シラフを突き通そうとするが..
「貴方の3つ目の能力!近接攻撃系統か、罠を仕掛ける能力なんでしょ?疲弊した私を誘いこんで、倒すつもりなんでしょ!私、ミケヒロの兄貴から聞いて色々分かってるんだから!」
「................」
ルトポロアはもう、自分の感情を隠す余裕すらない。
「その顔。図星..ってことだね!」
レミアは4階の床を前に背を向け、ルトポロアを問い詰めた。
「....食らえ!!」
ルトポロアは火の玉を貯めて、レミアに打ち込む!
火の玉は蝋の床を爆発させ、
その攻撃をレミアは、大きくバックステップでジャンプして避けてしまう!
レミアはその避けた勢いで4階の空中まで飛んでしまった!
(お前は惜しかった。私の能力が近づいたら発動するまで気付く事ができたが、私の能力範囲外であると思ってしまっている。だが、お前は着地と同時に確定する。死が。残念だったな。)
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「レミア。相手の3つ目の能力は分からないが、絞る事が出来る。まず、相手は火の玉が余り効かない事を知っている。しかし戦法が変わる様子が無いなら、恐らく相手の戦法は3つ目の能力がメイン火力なんだろう。サブ火力の能力が効かなくても撃破択が残っているって考えるのが自然だ。1つ目は先ほども言った通り、仕切り直し用と思われる。よって、3つ目の能力でお前を倒そうとするはずだ。じゃないともし俺ーえが敵なら逃げるからな。また、それをまだ使わないのはしっかりと当てる為かもしれないが、もしメイン火力も遠距離攻撃なら火の玉を使う必要が無くなる。よって、考えられるのは近接攻撃系か、罠の能力になる。分かったか?」
「はい!でもそれに気付けたとして、どうすればいいですか!?」
「相手の様子を見ろ。相手の攻撃範囲に入ったり、近づいたら相手は必ず動きを変えるはずだ。相手の様子が変わったら、常に警戒し続けろ。罠や攻撃の可能性を出来るだけ考え、自分を守れ。そして、注意を惹き切ったタイミングで、さっき言った奴をやるんだ。」
「出来るかな!?私!?」
「命と知性をかけて、やりきれ。自信を持て。」
「ありがとうね!ミケヒロの兄貴!」
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(警戒を怠らない!可能性を出来るだけ考えて、自分を守る!)
レミアは、空中で床に向けて、蝋を出し、床を蝋でコーティングする事によって、針に刺されないようにする。
レミアの蝋は床に刺激を与え、レミアが蝋でコーティングした位置を中心に波打って針が露わになり、4階の床は針で敷き詰められる。
レミアは中心の穴まで歩く道を蝋で床をコーティングしながら戻り、ルトポロアと互いに見える所に戻る。
「なぜだ。なぜ分かった。」
ルトポロアは身体を前のめりにして、レミアに驚き凝視する。
「分からなかったよ!針が出て来なかったら、身体全身を蝋で纏うつもりだったから!誘い込もうとしてるのバレバレだったし!」
「じゃあなぜお前は、乗ったのだ?私の作戦。」
「それはね!」
「ドンッ!」
ルトポロアは背中を誰かに押された。そのままルトポロアは穴に落ち、重力は宙にいるルトポロアを地下
に叩き付けようとする!
5階まで落ちて振り返ると、そこには、レミアのマジックハンドによって分離した両手があった。
(なに。あいつはいつ能力を使った。)
その疑問は4階まで落ちてくると分かった。4階では、
レミアはライターを持っていた。そしてライターの火によって半ば溶けているレミアの手は、肌色の塗料が剥がれて、一部、本来の白色が見えていた。
(まさか。その物質は。)
「蝋に肌色の塗料を塗って作った偽物の手にまんまと騙されたね!」
レミアは肌色の塗料を塗った偽物の手を作り、2階から3階に上がる際に入れ替えた。
そして、相手を確実に押して落とせるような体制になるまで気を惹いていたのだ。
「ドスン!」
ルトポロアは地下に叩き付けられる!
そして辺りを見渡すと..
屋上から死角になる位置に大量の蝋が敷き詰められていた!
(大量の蝋、ライター。まさか.......!!!)
ルトポロアは気付き、天を見上げるとレミアはライターを付けたまま落とす!
ライターの火は地下にある蝋に当たり..
「ボッッッガガガアン!!!!!!!!!」
地下室は大爆発を起こし、大穴を突き抜け、屋上まで届く炎の柱が舞い上がる!!
炎が収まり、レミアは地下に飛び込み丸焦げになったルトポロアの姿を見て、
携帯で本部に連絡する。
「午後1時12分、侵略彗星にいたルトポロアを一体撃破しました!」
(ミケヒロの兄貴、ありがとう!)