『疾走狂い』
『疾走狂い』
㈠
自己は、世界に向けて、疾走する。そんな、疾走狂いに、自分は成れているだろうか。言葉を換言すれば、まだ、走力遅い、少し前段階の、疾走である。人間には、狂いたいという意識があって、短距離のスポーツ選手などは、疾走狂いの範疇に入るだろう、狂っている故に、美学を感じるものだ。
㈡
自分は学生の頃、割と足の速いほうだったが、それでも、特別に、と言う程ではなかった。特別に速い人は、恐らく、招待選手として、その足で、進学したのだろう。まさしく、人生の疾走狂いであろうが、その狂いがズルい訳ではない、アプリオリな、狂いなのだから。
㈢
つまり、人生を疾走狂いに変えてしまう程ではないが、それでも、その狂いは、足の速さではなく、小説の執筆の速さに置き換えれば、疾走狂いだと、自分は言えるのではないか、とも思う。まさに、文字狂いである、そんな、疾走狂いのメタファとして、自己も、疾走しているなら、生き急いでいると、断言出来る。