正体(前編)
やっとの思いで美咲のそばに行き膝を着く。
「美咲……」
待っていても聞こえてくるのは戦闘の音だけで返事が返ってくることはない。
美咲を抱き寄せる。
拳を強く握りしめる。
(俺がもっと強ければ……)
「君は彼女を助けたいかい?」
(!?)
いつの間にか白衣姿に笑う白仮面を身に着けた長身の男が立っている。
「誰だ!」
「怪しいもんじゃないよってこの格好じゃ怪しいのも当然か。別に攻撃したり取って食おうってわけじゃないから安心してよ」
男は身振り手振りをしながら話し続ける。
「あっそうだった誰だって聞いたんだよねごめんね長々とお喋りしちゃって一人語りが癖でね。僕は赤神 光凱って言うんだ。大輝君の名前は?ってもう大輝君って知っちゃってるんだけど初めて会ったんだし改めて名前を言ってくれないかな?」
(なんで名前を知っているんだ?)
「なんでって言われてもさっき聞いたからとしか答えられないよ。いやーそれにしてもよかったよさっきの戦い。あの強化された攻撃を黒い盾を召喚して防ぐなんてさ、あの黒い盾ってどうやってできてるんだい?色が真っ黒だから恐らく魔力だと思うけど……なんでそんな怖い顔をしてるんだい?」
(思考を読まれているのか?それにしても俺の名前をさっき聞いた?しかも俺の戦いを見ていた?)
頭の中でもやもやと疑問が溜まっていく。
そんな俺の疑問を次の一言が吹き飛ばした。
「僕が強化したS級の攻撃を防げるんだ。その力、もっと見せてくれないかな?」
(なんで気づかなかったんだろうか?亀裂攻撃隊の中にこんな奴はいなかった。援軍も来ていない。
それなのにこの戦いを見て聞いていたなんて)
思わず笑みがこぼれて来る。
(こいつが赤い光の正体か)
「おっ!やっと理解したのか!どうだい?素晴らしいだろう?僕の力は。そこに君の力が加われば一体何ができるかさっきから興奮してしかたがないよ」
(美咲の仇!)
白魔鋼剣に手をかける。
「美咲君を蘇らせることが出来るしたら君はどうする?」
さっきまでとはまるで違う低く冷え切った声だった。
動きが止まる。
「美咲を蘇らせる?」
あまりの内容に声を出してしまう。
赤神は声の調子を戻して俺の問いに答える。
「そうだ、大輝君の力と僕の力を合わせれば美咲君を蘇らせることだって、さらには生子を……おっとこれは僕個人の話だから気にしないでくれ。それでどうするんだい?蘇らせるのかい?蘇らせないのかい?」
「……」
(こいつは美咲を殺した元凶だ何をしてくるか分からない。それに美咲を蘇らせれるという保証は無い)
「じゃあ少し質問の仕方を変えよう。君は美咲君を蘇らせたいのか、蘇らせたくないのか?」
(この男は敵だ、でも断ったら美咲を蘇らせる機会はもうないだろう)
「……蘇らせたい」
「じゃあ決まりだ!っとその前に重要なことがいくつかある。その1 出来るかどうかは分からない。それは君も承知のことだろう。その2 僕たちが死ぬかもしれないこと。これはそれほど危険だということを忘れないでくれ。その3 美咲君を蘇らせるのは大輝君、君だ。僕の力は強化だ。美咲君を蘇らせることはできない」
「俺の力ですか?」
「そうだ。最後にその4 どんな結果だろうとそれを受け入れること分かったかい?」
最後の言葉は重くどこか悲しげな声だった。
「はい」
「それじゃあ美咲君の胸の傷に両手を当ててありったけの魔力を注ぎ込んでくれ。僕が強化する」
(魔力を注ぐのか?能力で治すとかじゃなく?)
「魔力ですか?」
「そうだ、美咲君を蘇らせたいならば全身全霊で魔力を注げ。イメージは魔力を全身や周りから手を伝って美咲の体へ押し込む感じだ」
「……いきます」
言われた通りに魔力を注ぎ始める。
すると水晶の騎士と同じ赤い光が俺の体を包み始める。
赤い光で強化されたことにより魔力の出力が格段に上がる。
魔力を注いでいくほどに視界がぼやけていく。
聞こえていたはずの戦闘音はもう聞こえない。
(絶対に美咲を蘇らせる)
魔力を注ぎ始めてどのくらい時間がたったのだろうか。
耳鳴りがひどい。
視界が真っ白で何も見えない。
あるのは手の感触だけだ。
(美咲……)
真っ白の視界が突然真っ黒になった。
読んでくださりありがとうございます。
どうも作者のFuleviaです。
今回は赤い光の正体が判明?しました。
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諸事情により、この話をもちましてベルブの投稿をお休みすることをお知らせいたします。
多くの方に読んで頂き本当にありがとうございました。




